“7W”を使う女子プロが激減した理由とは?専門家が徹底解説!
選手、キャディ、ツアー担当者に聞いた最新のセッティングトレンドは?
女子プロのクラブ選びをもっと詳しく調査したところ2024年の新しいトレンドが見えてきた!
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なぜ7Wを使う選手が激減したのか?
女子プロのセッティング特集(23年12月号)の解説をしたときに、とても気になることがあって女子ツアーのトーナメント会場に取材に行きました。気になった点は「FWを1本にする選手が増えた」こと。数年前の女子ツアーでは5Wはもちろん、7Wを使っている選手がかなりいました。
しかし、23年シーズンに活躍した選手のセッティングを調べると、3Wだけの選手が急増していて、7Wを使う選手は大幅に減っている。今回はその理由について選手本人やプロキャディ、ツアーレップといろいろな方面からの取材を決行。また、23年のトレンドだけではなく、24年シーズンに流行しそうなクラブも調査してみました。
最近の女子プロに急増! 「FW1本」の理由は?
最初に話を聞いたのは新世代の飛ばし屋・神谷そら選手。FWは3番のみで、19、22度のUTを入れている今どきのセッティングです。その理由を聞くと、
「5Wは22年くらいまで入れていました。でも吹け上がるショットが多くなったので、今は19度のUTを入れる試合が多いです」
7Wはどうですか?
「ゴルフをはじめてから、ほとんど使ったことがないと思います」
神谷選手だけではなく20歳前後の選手は、ジュニア時代からUTを複数本入れたセッティングで、7Wを使ったことがない選手が多かった。
ドライバー、フェアウェイウッド、アイアンはヤマハの新「RMX VD」シリーズを使用
1W RMX VD/M(ロフト/10.5度)
3W RMX VD(ロフト角/15度)
3、4UT RMX VD(ロフト角/19度、22度)
5I-PW RMX VD/R
ウエッジ ジョーズフォージド(48度、54度、58度)
パター オデッセイ 2-BALL イレブン
トリプルトラック プロト
「コースによっては5Wを使うこともあるけど 基本は3W1本です」 ━━神谷
コンパクトなUTはラフや傾斜でも使える
選手もキャディもツアーレップも「やさしいのはショートウッド」という意見は一致していました。ショートウッドとUTを比較すると打球が上がりやすくてミスに強いのはショートウッドですが、女子プロのレベルが上がったことで「やさしいショートウッド=球が上がりすぎる」という印象に変わってしまったようです。
また、プロは顔へのこだわりが強いので、ヘッド体積が大きいFWよりも、コンパクトなUTのほうがラフや傾斜地で構えやすいという選手も多かったです。とくに7Wのロフトになると、ターゲットに対してスクエアに構えるのが難しいという声もありました。
クラブが短いUTは芯に当てやすい
「3Wでもロフトが大きめ、15度より寝ているFWを使う選手が増えたことで、5Wが要らなくなった。また、UTのほうが“芯に当てやすい”という声が多いです」
パワーがあるから3UTでも球を上げられる
「最近の若い選手はジュニア時代からUTを使っていて、パワーもあるから3UTでも球の高さをきちんと出せてグリーンで止められるようになりましたよね」
7Wのクラブを作る回数が減りました
「確かに最近は5Wや7Wを作る機会が減りました。当社はFWとUTの中間の“UW”もあるので、5W以外のクラブの選択肢が増えたことも理由だと思います」
ジュニア時代から5Wよりも3UT
「ジュニアのころから5Wは打球が上がりすぎて使いにくいと思っていたので、3UTを使っていました。3Wと3UTの飛距離の差は15ヤードくらいですね」
ダウンブローに打てる選手が増えた
「一時期は7W、9Wを使う選手も多かった。でも今は、ダウンブローに打てる選手が増えたので高さよりも操作性を重視してUTを使うようになりました」
抜けのよさはFWよりもUT
「UTのほうが構えやすくて、ラフからの抜けもいいと思います。今はラフからでも出すだけではなく、グリーンを狙う時代なので選手はUTで攻めますね」
19度のUTは「お助けクラブ」ではない
FW1本派の選手が増えたとはいえ、FW2本派の選手もいます。さらにFWとUTの組み合わせを調べると、FW1本派は19、22度のUTを、FW2本派は22、25度のUTを使う選手が多いですね。
FW1本派が増えた理由のひとつは女子プロのレベルが上がり、ヘッドスピードが上がったことです。ヘッドスピードが上がったことで5Wは球が高く上がりすぎてしまう。でも、ヘッドスピードが遅いアマチュアが同じようなセッティングにするとハードすぎます。
個人的にはドライバーのヘッドスピードで43m/秒以上ないと19度のUTは難しい。43m/秒未満であれば、FW2本派のセッティングを参考にするのが賢明です。
24年の流行予想は? 飛び系アイアンのブームが終わる!?
23年シーズン終盤の女子ツアーでの取材や、メーカー担当者から新製品の話を聞くと、24年シーズンに流行しそうなクラブの傾向がわかりました。
パターは「Ai-ONE」に代表されるようなハイテクノロジー系のパターが大流行すると思います。今まではテクノロジーよりも感性を重視して選ぶ選手が多かったですが、最新のテクノロジー系は感性を使える部分を残しているのが大きな魅力です。
ドライバーでは「G430 10K」や「Qi10」のような、上下左右の慣性モーメントが1万g・㎠以上のドライバーが主流になるでしょう。そしてアイアンでは、ついにストロングロフト化の終わりが見えてきて、飛び系アイアンブームが終息していく予感がします。
流行予想1 ハイテクノロジー系のパターが主役に
「ハイテクノロジー系のパターは以前からありましたが、24年モデルの“Ai-ONE”などはあきらかにミスヒットしたときの球の転がりが違うことが実感できる。打球のスピードだけではなく、スムーズに順回転するのもプロが使いたくなる要素のひとつです」
流行予想2 ドライバーは超・高慣性モーメント時代に
「今までも慣性モーメントの大きいドライバーはありましたが、24年はもう一段階上の超・高慣性モーメントのドライバーが主役になるでしょう。海外ツアーではプロが使いはじめていて、曲がらないから思い切り振れて飛距離を伸ばせるのがメリットのようです」
流行予想3 アイアンのストロングロフト化の終わり
「飛び系アイアンが大流行して7番アイアンが28度未満のモデルが増えましたが、昨年後半から7番アイアンのロフトが30度前後に戻りつつあります。プロもアマチュアも極端にロフトが立ったアイアンは使いにくいというのを実感したのではないでしょうか」
解説=鹿又芳典
●かのまた・よしのり/多くのゴルフメディアで活躍する人気クラブコーディネーター。現役ツアープロのクラブ調整やサポートだけでなく、ジュニアゴルファーの育成にも注力している。
構成=野中真一
写真=田中宏幸
取材トーナメント=樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント
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