スイングを見るなら動画より連続写真!星野コーチが活用法を解説

パソコンやスマホでプロのスイング動画を簡単に見られる今、写真を見てうまくなるのは過去のこと?

「いいえ、そうではありません!」と言い切る星野豪史コーチが、連続写真のよさやうまくなるための最新の活用法をレクチャーする。

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「写真を参考にレッスンする」は30年前から変わっていない

動画が主流の時代?
いいえ、スイング上達の教材は今も“分解写真”ですよ!

近ごろは、撮影や再生機器、配信方法の進化によって、トッププロのスイング動画が身近になりました。映像もひと昔前よりもキレイに映っていて、見るだけでなくアマチュアも自分のスイングを簡単に撮れる時代ですよね。

となると、レッスンなどの上達法も動画のほうがすぐれているかといえば、必ずしもそうではなく、連続写真は今でもかなり活用されています。

僕は約30年前に選手として渡米し、アメリカでコーチを受けていました。その後、コーチングを学ぶためにも渡米しましたが、お手本となるスイングを見ての指導法や上達法は、じつは30年前から変わっていません。スイングを動画で見るにせよ、見たいポジションや形は一時停止やコマ送りでチェックしたり説明するので、そのときは静止画の写真を見ているのと同じですからね。

動画がハイテクのように感じますが、連続写真もまた進化しています。そこで、雑誌やネットに掲載されている”現代版・連続写真”の活用法を紹介します。ぜひ、スイングレベルアップの参考にしてください。

【連続写真が役に立つ1】すぐ見れる!

星野のスクールの壁にも連続写真が貼ってある。
レッスンや練習中に活用するだけでなく、その前後に見る生徒も多いそうだ

動画はパソコンやスマホを立ち上げたり、アプリやサイトを開く手間がかかりますが、写真、とくに書籍や雑誌など紙にプリントされたものはページを開けばすぐ見れる。リビングに置いたり壁に貼っておくのがいいですね。

ふとしたときに見て、目指す形のいいイメージや形を記憶することは必ず上達につながります。

星野が額に入れて大事にとっているレジェンドゴルファーたち(B・ホーガン、J・ニクラス、T・ワトソンなど)の連続写真。スイングやクラブは進化しているが、ゴルフの絶対的な基本も上達の真髄も決して錆びず、彼らの連続写真に集約されている

【連続写真が役に立つ2】大事なポジションだけが載っている!

渋野日向子/アドレス、ハーフウェイバック、トップ、切り返し、ハーフウェイダウン、インパクト前後、フォロー(1、2枚)、フィニッシュの8点前後がセレクトされている。いずれもスイングのとくに大事なポジションで、その形を見ることでミートや飛距離アップのコツを知ることができる

連続写真は「スイングにおける大事な部分」がすでに抽出されて載っています。雑誌だと6から12枚くらいの写真が並んでいますが、それらはすべて「ここではこの形」というお手本がセレクトされているのですから、見たいところで停止する手間が必要な動画よりも便利ですよね。

また、プロのスイングを動画で見ると軽く振っているように見えませんか?そう見えても分解写真の止めた状態で見ると、パワーを出力する体の使い方や形などさまざま秘けつを知ることができます。

重要なところがすでにセレクトされています

【連続写真が役に立つ3】写真がキレイではっきり見える!

ローリー・マキロイ/ツアー屈指の飛ばし屋のマキロイのヘッドスピードでも、カメラ性能の向上でインパクトゾーンでのフェースの向きがはっきり写っている

動画の場合、撮る環境やカメラ、データの種類や容量、再生する機器によっては、止めて見たときに「溶ける」といわれるシャフトやヘッドが消えたような状態になることがありませんか?

連続写真はプロカメラマンが高性能のカメラで撮りますが、シャッタースピードなどカメラ自体の機能も上がっている。ヘッドスピードが50m/秒以上ある選手のインパクトゾーンでもフェースがどこを向いているかがはっきり写っていて、これがとても参考になります。

ひと昔前の松山英樹のインパクト前の写真。短いアイアンでドライバーほどスピードが出ていなくても、ヘッドが溶けてしまってフェースの向きがわからない

【連続写真が役に立つ4】形や向きの比較がしやすい!

ザンダー・シャウフェレ(上写真)、リッキー・ファウラー(下写真)/同じくらいの身長でも、比べて見るとトップの高さや大きさが違うザンダーとリッキー。足の使い方も異なり、ザンダーはトップまでにヒールアップして切り返しで左カカトを下ろす。リッキーはトップまでにヒールアップはしないが、ハーフウェイダウン以降で左カカトが浮く、などを比較して見よう。「トッププロですから、どちらも正解です」と星野

連続写真は比較がしやすいのもメリットです。複数の選手の写真が掲載されていたら、ほぼ同じポジションの写真が載っているので、選手どおしのクラブの軌道やフェース向き、体の捻転の度合いなどを比べて見ることが簡単にできます。

スコッティ・シェフラー/トップから切り返したときに体が屈曲するので、後方の看板が見える範囲が増えてくる。「屈曲したら体がこれだけ右に傾いてもいいと、背景の位置や見え方でわかります。それを前のコマと比較して見るとよくわかるのは、写真が並んでいて比較しやすい連続写真のよさですね」(星野)

そのときに「背景を目盛りにする」のが上級者の見方。たとえば、選手の奥に見える、看板や木などを目印に、頭や体、クラブが各ポジションでどのくらい動いている(または動かない)かを見ます。これも動画より写真のほうが比較しやすいですよね。

背景を基準に体の動きを見比べています

動画のメリットや見るべき点とは?

リズムとスピード感、打音をチェック!

動画のよさと見るべきポイントは、リズムやスピード感ですね。リズムの大切さはみなさんもご存じだと思いますが、トッププロでも十人十色。バックスイングのスピード感ならアマチュアもマネできますから、参考にしていろいろ試してみるといいでしょう。

それと「音」もよく聞いてください。とくに聞いてほしいのはインパクト音で、ショットからアプローチ、パットまで、そのプロと同じ「打音」が出る打ち方を目指すのも上達に役立ちます。

いかがでしたか? 連続写真を見ながら練習してみてくださいね。

解説=星野豪史
●ほしの・ごうし/1972年生まれ、東京都出身。94年に渡米し、ゴルフ理論を学ぶ。以後も最新の理論を研究し、プロや一般アマチュア、ジュニアを指導。東京都・虎ノ門の54GOLF CLINIC代表。

写真=田辺案安啓
協力=54GOLF CLINIC

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