歳をとっても飛ばすコツ!シニアプロが飛距離アップの秘密をレッスン

人気連載企画「55歳からうまくなる」からドライバーのレッスンを厳選!シニアになっても活躍する選手たちは飛ばしに貪欲。

落ちた飛距離を取り戻し、昔以上に飛ばせるテクニックは、シニアゴルファーだけでなく、55歳未満のアマチュアの飛距離も伸ばします!

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肩や腰の回転は二の次!ヘッドを大きく動かす

肩を回さなくても飛ぶんです!
トップで左腕をやわらかく使うのもひとつの方法。
こだわりを捨てればスイングが楽になりシンプルに打てる。
体力が衰えた中高年でも、ヘッドの運動量を増やして効率よく走らせれば、まだまだ飛ばせるという。

歳をとると、肩まわりの関節が硬くなって回りにくくなる。また、体の柔軟性が失われてしまい、腰の切れが悪くなる。それらを考慮せずに肩や腰の動きにこだわり続けると、スイングがおかしくなり、故障の原因にもなると水巻善典はいう。

「一番大事なのは、ヘッドの運動量を増やして、速く振ることです。体を大きく使っても、ヘッドが走らなければ意味がありません。この視点でスイングを考えましょう。クラブをソフトに握り、手打ちでもいいので腕をしっかり振れば、若いころの飛距離が戻ってきます。」

Point1:グリップをゆるめてヘッドの運動量を増やす

クラブをソフトに握って腕を振ると、ヘッドが円を描くように走る。本番でもこの感覚でスイングする。

Point2: 腰は切らずに腕を振る

切り返しで左足を踏み込んだら、腕をしっかり振ってヘッドを走らせる。腰を切るという意識は必要ない。

シャフトのしなりが使える!体の回転に右手のスナップを加える

石を投げて水切りする感じです!

レギュラーツアー時代はインパクトで腰の動きを止めてヘッドを走らせていたが、故障のリスクを考慮。体の回転に右手のスナップを加える打ち方に改造したと白潟英純はいう。

「体を止めずに最後まで回し続けることが第一。そしてフォローで右手のひらが上を向くように、右手のスナップを使ってスイングをします。手首の使い方は、石を池に投げて水切りするときの感じですね。こうするとシャフトがしなってヘッドが加速。マン振りしなくても効率よく飛ばせるようになりました」

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右手のスナップを使うことで体に負担をかけずに飛ばせるようになった

Point1:右手のスナップを使ってヘッドを走らせる

体の回転を主体にして、右手のスナップを加える。体の一部を止めてヘッドを走らせるよりも効率的で、近年のフェースターンがしにくい大型ヘッドに適した打ち方だという。

Point2:8割の力でシャフトをしならせる

目いっぱいの力で振りちぎっていたが、現在は8割の力で「クラブに仕事をさせる」スイングに改造。シャフトのしなりを生かすことが重要だという。

長尺を打ちこなせる!力感半分でゆったり、大きく振る

強く叩かないほうが曲げずに飛ばせる!
余計な力を入れずにタイミングよく打つ。長さを活用すれば現状の体力でもまだまだ飛ばせる。
クラブの長さを活かし、遠心力を働かせて、大きなフォローを作ろう

歳とともに体の切れが悪くなり、振りが鈍くなってきたため、ドライバーのシャフトを2インチ弱、長尺化。長くて軽いシャフトに変更したことで、ヘッドスピードがアップし、飛距離が伸びたと柳沢伸祐はいう。

「長尺ドライバーを打ちこなすには、力感を従来の半分くらいにするイメージで、ゆったり振るのがコツ。それにはクラブを振るのではなく、振られるという感覚でスイングしましょう。ゆったり振ろうとすると緩んでしまう人は、体幹を意識し、スタンスの幅からはみ出さないよう振ることが大切です。長尺はタイミングをしっかりつかむことが重要なので、よく練習する人にオススメです。」

Point1:クラブに「振られる」感覚でスイングする

肩や腕の力を抜き、クラブの長さやヘッドの重さを感じながら「振られる」感覚でスイングすると、結果的に軸が安定し、スイングアークが大きくなる。

こうやって「クラブに仕事をさせる」ことが何よりも大切。

Point2:体幹を意識してスタンス幅からはみ出さない

飛ばしのパワーが外に逃げないように、お腹を中心とした体幹に力を入れて、スタンスからはみ出さないように振る。打ち急がずに、ゆったり、大きくスイングしよう。

ボールに力がしっかり伝わる!体重移動は「左斜め前」

頭や右肩が突っ込まないように注意!
頭を残しつつフットワークを使って左つま先に体重移動

歳をとると弱くなった足腰を安定させようとして、どっしり構える人が多い。するとカカト体重になり、下半身が動かず手打ちになる。これが飛ばなくなる原因だと手嶋多一は指摘する。

「トップで体を右に回すと、体重は右足の土踏まずからカカトに乗ります。その体重をダウン以降、左足のツマ先に向けて移動させましょう。真横でなく、左斜め前への体重移動を意識することで、クラブがインから下りやすくなり、ボールにパワーが伝わります。こうやってフットワークを使えば、体全体が動いて飛ぶようになりますよ」

Point1:右カカトから左ツマ先へ体重移動

トップで右足の土踏まずからカカトに乗った体重を、左足のツマ先方向へ移動させる。こうするとクラブがインから、かつ体の近くを通るため、パワーがボールに伝わる。

Point2:ヒザを深く曲げずにゆったりと構える

構えるときは、ヒザにゆとりをもたせて深く曲げすぎないことが大切。カカト体重にならないように、拇指球から土踏まずに体重を乗せる。

ヘッドが走る!“スルーインパクト”で加速力アップ

インパクトを意識しない!
ボールをぼんやりと見てインパクトすれば振り抜きがよくなる。ジッと見るのはNG

若くて体力も腕力もあれば、ボールを強く叩いて力まかせに飛ばせるが、歳をとるとそれは容易でなく、故障にもつながる。力に頼らず効率よく飛ばすには“スルーインパクト”が決め手だと山添昌良はいう。

「インパクトを通過点として考え、当てようとする動きをなくせば、ヘッドは加速していきます。それには素振りで振り抜くラインを決めたら、そこに向かって一気に振ってください。今まで何千、何万球と打ってきたベテランなら、もうボールを見なくても当たるはず。インパクトを意識しなければフォローが大きくなり、ヘッドがきれいな円を描くので、体力が落ちても効率よく飛ばせますよ」

Point1:振り抜くラインを決めたらそこに向かって一気に振る

素振りのときに打つ方向と球筋を決めたら、左腰の高さで振り抜くラインも定める。本番はそこに向けて一気に振れば、ヘッドが加速し、大きなフォローで飛ばせる。

フィニッシュのポジションを決めて、それを再現してもOK。

Point2:フットワークを使ってパワー不足を解消

フットワークを使うと体が大きく動くため、パワー不足の解消に加え、インパクトを意識せずに振りやすくなる。1本足打法は素振りとして有効で、足が動いて体重移動がスムーズになる。

軌道もバランスもよくなる!シャフトで”背中”を叩く

ムチのようにピシッ!
シャフトで背中を叩くつもりでスイング。
シャフトが当たる部位はどこでもOK

インパクトでボールを強く叩くと、飛んだ感じはするが、実際はヘッドスピードが上がらず、力を入れているわりに飛距離が出ない、と久保勝美はいう。

「とくに下半身の筋力が低下している中高年は、ボールを叩かないほうがいい。肩や腕の力を抜き、フィニッシュに向けてヘッドを走らせていきましょう。シャフトで背中を叩くつもりで振れば、正しい円軌道になってバランスが向上。余計な力を入れなくても、ヘッドが効率よく加速し飛ぶようになりますよ」

Point1:肩、ヒジ、手首の関節をやわらかく使って振り切る

肩や腕の力を抜いて、ヒジや手首などの関節をやわらかく使うことがコツ。グリップもやわらかく握ったほうが、シャフトで背中を叩ける。

Point2:ボールを叩きすぎると最後まで振り切れない

ヘッドが走らず、思うように飛ばない。またクラブが上から入るため、スピン量が増えてフケ上がってしまう。

いかがでしたか? このレッスンを参考に、飛距離アップを目指していきましょう!

水巻善典
●みずまき・よしのり/1958年生まれ、東京都出身。178cm、82kg。89年の関東オープンで青木功を破ってツアー初優勝。レギュラーツアー7勝。昨季のシニアツアーはコスモヘルスカップ シニアトーナメントで優勝争いを演じて2位。鳴尾GC所属。

白潟英純
●しらかた・ひでずみ/1966年生まれ、福岡県出身。172㎝、70㎏。19年に日本プロシニア選手権でシニアツアー初優勝。悲願のシニア優勝をメジャータイトルであげた。九州GC八幡コース所属。


柳沢伸祐

●やなぎさわ・しんすけ/1966年生まれ、埼玉県出身。182cm、85㎏。20年のシニアツアーで優勝するなど、シニアツアー3勝の実績をもつ。300ヤード超の大きな飛距離が魅力。アビバHD所属。

手嶋多一
●てしま・たいち/1968年生まれ、福岡県出身。172m、70㎏。01年の日本オープンや15年のミズノオープンを制し、レギュラーツアー8勝。19年からシニアツアー入り。デビュー戦で優勝を飾った。ミズノ所属。

山添昌良
●やまぞえ・まさよし/1967年生まれ、大阪府出身。172cm、72㎏。正確無比なショットが武器。シニアツアーのすまいーだカップを18、19年と2年連続で制した。シーミュージック所属。

久保勝美
●くぼ・かつみ/1962年生まれ、埼玉県出身。171cm、72㎏。シニアツアーでの成績は、2位が18年は4回、19年は1回と惜しい戦いが続く。今季こそ悲願のシニア初優勝が期待される。高根CC所属。

構成=小山俊正
写真=圓岡紀夫、中野義昌

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