パットが簡単かつすぐに上達する練習法を解説!

「パットがうまい人はメンタルも強い」といわれるが、大ベテランのティーチングプロ上田栄民は、その定説に異論を唱える。「技術もそうですが、メンタルもイメージあってこそ。単にメンタルといってもそこにはさまざまな思考が絡み合うため『ゴルフ版ゲシュタルト崩壊』が起こりやすいのです」。

聞けば簡単、想像するだけなら誰でもできる!パットがすぐに上達するイメージのつくり方をレクチャーする。

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パットの大敵!「ゴルフ版ゲシュタルト崩壊」をなくそう!

「ゲシュタルト崩壊」とは知覚における現象のひとつで、まとまったものがバラバラになっていく感覚のこと。

考える時間が多いゴルフではさまざまな思考が働くため、脳や精神の混乱を引き起こしやすい。メンタルが影響しやすいパットはとくに当てはまることが多く、ひどくなるとイップスに陥ってしまう

構えたらもう考えない!
“イメージルーティン”で心の迷いを断ち切る!

距離感のイメージに集中しやすいルーティンワークで迷いなくストロークする

パットで何が一番いけないかといえば、気持ちの整理ができていないこと。「構えてからモジモジしてはダメ」と頭ではわかっていても、余計な思考を片づけておかないといろいろなことが頭をよぎり“ゴルフ版ゲシュタルト崩壊”を引き起こしてミスが生じてしまいます。

そこで心がけてもらいたいのが「イメージルーティン」。要はイメージを高める所作です。ストロークのチェックは、打つ前に済ませておくべきこと。構えてから「ヘッドをこう動かそう」とか「腕をこう振らなくちゃ」などと思考を働かせてはダメ。

パットのうまい人たちはイメージルーティンがしっかりできていているから、アドレスへの入り方やストロークなどの所作がスムーズ。いざ打つ順番がきたら頭の中を切り替えて、距離感のイメージだけに集中してください。

カップに正対して素振りする

パットの名手としても知られる鈴木愛や渋野日向子は、最初にカップとボールを結んだ延長線上(ボールの後方)で、体をカップに正対させての素振りを数回繰り返して距離感のイメージを高めている。これは大いにマネるべき!

アドレス位置のすぐ横では素振りをしない。打ち出す方向にフェースを合わせてアドレスの姿勢を整えたら、距離感のイメージが消えないうちに打とう

「入りそうだなぁ」がちょうどいい!

「入れてやろう」と思うと気負ってしまう。「入りそうもないな」もネガティブなイメージなので気持ちよくストロークできない。「入りそうだなぁ」という曖昧な気持ちがベスト。声に出していうのもオススメ。ほどよいポジティブなイメージで打てる

頭のブレを完璧に防げる!
“ボールの下の芝”を射抜く目線でストローク

インパクトで顔が早くカップを向いて頭が上がる。頭が上がらなくてもインパクトのときに目線が構えたときの向きからズレている人は、9割はいるといっても過言ではありません。ヘッドの動きやボールの行方に気を奪われてしまうのが原因ですが、これもイメージのもち方で防げます。

構えるときはボールを直視しますが、ボールではなくその下の芝を見るイメージにしてみましょう。ストローク中もボールの下の芝を見たまま打つと、ボールの下の芝が残像となってぼんやりと黒っぽい円が見えるはずです。私はこれを「ブラックポイント」と呼んでいて、多くのアマチュアに教えています。この効果は絶大で、目線を釘付けにできる。頭や顔が上がるクセも簡単に直ります。

アドレスやストローク中はボールを直視しない。ボールの下の芝を見続けるイメージをもつと視線を釘付けにできる(画像右)

ボールの下の芝を見て打つとボールの残像として黒っぽい円が見える。頭が動いたり目線が泳ぐ人はこれが見えない(画像左)

ボールの下の芝を見るのは、ボールの場所を「視線で射抜く」イメージ。打点がズレてしまう大きな原因となる頭や視線のブレ(×)を防げるので、芯に当たりやすくなる(〇)

ヘッドは見なくてOK!
“シャフトを平行に動かす”イメージで軌道が安定!

ヘッドの動きはいっさい無視。シャフトをラインと平行に動かすイメージをもってストロークしよう

パットで一番悩みがちなのはヘッドの動きですよね。真っすぐ動かそう、フェースがズレないように動かそうと考えると、頭が混乱して動きも乱れやすくなってしまいます。ヘッドのことは頭から切り離してかまいません。

イメージするのはシャフト。構えたときのシャフトプレーンに沿って振ることを意識して、シャフトをラインと平行に動かしてください。すると、ヘッドは自然にゆるやかなイントゥ・イン軌道を描きます。

私なりの表現でいえば「軽いフック回転をかけるイメージ」ですが、ヘッドの動きを考えなくてもフェースの開閉がわずかに行われるので、狙った方向に打ち出して転がりもいいパットが打てます。

シャフトをラインと平行に動かすイメージは、ラインと平行に向けたスティックをシャフトに当てて、シャフトが離れないように振るとわかりやすい

シャフトは斜めに傾いて、ヘッドはストローク中に上昇するため、ラインと平行にセットしたスティックに当てたまま振ると、パターは真っすぐではなくイントゥ・インの軌道を描く。フェースはナチュラルに開閉する。これが正しいストロークだ

ヘッドを真っすぐ動かしているようで、じつはアウトトゥ・アウトの軌道になっている人が多い。シャフトがスティックから離れてしまうこの「悪しき真っすぐ」は、インパクトでフェースが開いてしまうので、ボールを右に押し出すミスが出る

ロングパットの寄る確率がアップ!
カップに向かって広がる“太い帯”をイメージ!

ロングパットのラインはカップに向かって幅が広がっていく太い線をイメージする。
最終的に半径1メートル幅の中に止まれば楽々2パットで上がれる

10メートル以上もあるロングパットは、距離感を優先させるためアプローチ感覚で打ってください。アプローチですから、カップを中心とした半径1メートルの大きな円に入ればベタピン。そう考えて寄せるのはとてもいいことです。

寄る確率を上げるためには、太いラインをイメージしましょう。そのラインはカップに向かって幅がどんどん広がっていき、カップ付近では2メートルの幅にする。ラインに幅をもたせると細い線よりも方向が安定。タッチも合いやすくなりますよ。

打ち出し方向も乗せるラインも細い線上を狙うと難しい。確実に2パットで決めるには幅をもたせた余裕が必要。心にも余裕ができて寄る確率がアップする

いかがでしたか? 『ゴルフ版ゲシュタルト崩壊』が起こらないように、イメージのつくり方を実践しましょう。

レッスン=上田栄民
●うえだ・えいみん/1964年生まれ、東京都出身。JPGA公認A級ティーチングプロ。19年にJPGAティーチングアワード最優秀賞受賞。「エイミンゴルフアカデミー」を主宰し、多摩センター校など7つのスクールを運営。プロの指導のほか、これまで1万人を超えるアマチュアをレッスン。

構成=三代 崇
写真=高橋淳司
協力=八王子カントリークラブ

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