有村智恵、ツアー復帰!初戦は「自分でも驚くほど普通でした」

2024年4月に双子のお子さんを出産した有村智恵プロ、今年3月に行われたヤマハレディスから、ついにレギュラーツアー復帰を果たしました。そんな有村プロにリハビリからここまでの道のりを語っていただきました。

”弱さ”よりも”硬さ”がきつい

みなさんこんにちは。プロゴルファーの有村智恵です!

先月開催のヤマハレディスから、選手としてツアー復帰をさせていただきました。ファンの皆様からたくさんの応援をいただきながらプレーさせてもらい、「やっぱり楽しいな。幸せだな」と再確認することができました。調子をあげていき、活躍する姿をお届けできればと思っています!

昨年の4月に無事出産を終えたのですが、私自身初めての子育てに奮闘する日々で、練習を本格的に再開できたのは今年に入ってからでした。実際に球を打ってみると、思っていたよりはちゃんとボールを打つことが出来ましたが、ドライバーなどの長いクラブになると振り遅れが目立ち、クラブを振る力が弱まっていることを実感しましたね。でもそのときは、久々のゴルフができた喜びの方が大きかったです。しかし翌日になると、首や肩回りなどに、今までに感じたことのない”重さ”がありました。「久しぶりだし、筋肉痛みたいなものかな?少しづつほぐしていけばいいや」くらいに思っていたのですが、練習を重ねていくうちに、ゴルフと子育ての両立が、いかに難しいかを理解していくことに。嬉しいことに双子を授かったのですが、考えてみれば1人育てる倍の時間抱っこしているんですよね。そうすると肩甲骨や首まわりがどうしても固くなり、ゴルフスイングに必要な柔軟性が損なわれてしまいます。そのような体の状態で練習量を増やすと痛みが出てしまうんです。もちろんトレーニングやストレッチでケアするのですが、終わりのない”イタチごっこ”になり、練習が思うように進んでいきません。よく、ママさんアスリートの現役復帰!なんてニュースを見て、「軽い気持ちで、すごいなー」と思っていましたが、いやいや、とんでもないです!(笑)

初戦は「自分でも驚くほど普通でした」

そんな中でも時間は過ぎていき、あっという間に3月を迎えることになりました。復帰戦は、契約ホストプロとしてヤマハレディスに決まっていましたが、上位進出や予選通過など目標を掲げられるほど状態を上げることは出来ていませんでした。でもやれることはやりたいと思っていましたので、Vポイントレディスのとき現地入りし練習ラウンドだけこなしました。関係者への挨拶回りを終わらせ、トーナメントの雰囲気にも慣らし、ヤマハで会場入りするときは”2試合目”のような感覚で入りたいという狙いで、アイアンのライ角や、入れ替えたクラブを調整も大きな目的でした。とにかく、復帰戦が自分のゴルフのことで頭がいっぱいになることはわかっていたので、事前に出来る準備をすべてやろうと決めていました。ヤマハの週は月曜日にコース入りしたのですが、緊張や復帰への高揚感はなく驚くほど普通で、「私、休んでたよね?」と思うくらい。初日のティーグラウンドで名前をコールされでも、それは変わらず、ちょっと拍子抜けでしたね。(笑)

初日は、工藤遥加選手、山内日菜子選手とのペアリングで、主催者推薦で出場したトーナメントで初優勝を果たすという同じ境遇を持つ2人とのラウンドでした(工藤選手はヤマハ前週のアクサレディスで初優勝)。通常、シード選手たちは翌年のスケージュールが決まっているので、試合中に滞在するホテルなどの手配は完了した状態で開幕を迎えているのですが、彼女たちは、まだその対応に追われているみたいで大変そうでしたね。とはいえ、優勝している選手。プレー内容は流石で、「スロープレーなどで迷惑だけはかけたくない!」と思いながらついていくのに必死。実は、練習ラウンドでショットに手応えを感じていて自身があったのですが、実際試合がはじまると、風や芝の状態によって変わるショットのイメージが出ないことに苦労しました。ブランクですね。2日目の後半になると体力的な問題も出てきて、下半身の粘りがなくなり、切り返しが早くなったりなどミスが目立ってきました。それでも、ショットは及第点だったかなと思いますね。2戦目のバンテリンカップに向けてよい準備が出来れば、予選通過を狙える自信がつきました。

思ったように準備が進まない2戦目

バンテリンカップまでの時間は2週間ほどあったのですが、初戦での体のダメージが予想以上に大きく、首や肩の痛みがまったく取れませんでした。ショットの練習はほとんど出来ず、パッティングの練習に時間を費やしたくらい。子供たちも、ちょうど保育園に通いはじめ環境に慣れないストレスでご機嫌ナナメ。あっという間に時間だけが過ぎていく毎日。とはいえ、コントロール重視なコースは得意ですし、ショットの調子はわるくなかったので予選通過を狙っての現地入りでした。初戦の反省点として、プロアマや練習ラウンドで力を使いすぎなように徐々に状態を上げていき、成功するイメージをつくり体が縮こまることがないよう大きく動かしていくよう心掛けました。残念ながら結果は予選落ちとなったのですが、パッティングさえ決まってくれれば予選通過も夢じゃないと感じれましたので、最初の2試合としては満足しています。同組が、不動裕理選手と横峯さくら選手だったのですが、お2人とも若いときとは違う調整方法を模索されていて、練習前のウォーミングアップ時間を多くとることと短時間で集中して練習することが大切だとアドバイスしてくれました。

挑戦は、まだ始まったばかり

2試合を終えて、正直体はボロボロですが、思っていたよりも手応えを感じることが出来ました。まずは、体の痛みをとり、トレーニングを中心に準備していきたいと思っています。まずは、自分の納得いくプレーを2日間やることが今の目標です。穴井詩選手から「やっぱり智恵ちゃんは、ゴルフ場が似合うね」と言ってもらえたのですが、そんな仲間の声に結果で応えたいですね。「ちょっとなめていた?ママさんアスリート」でしたが、2人の子供たちにカッコいいママの姿を、大勢のファンに見せられるよう頑張ります!

いかがでしたか?トーナメント最終日のグリーン上で双子のお子さんを抱っこする有村智恵プロが見れる日が楽しみですね!

有村智恵
●ありむら・ちえ/1987年生まれ、熊本県出身。159cm。通算14勝(メジャー1勝)4月に双子の男の子を出産。

構成=岡田豪太
写真=田中宏幸
協力=エースゴルフ赤坂、LADY GO CUP

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