
シングルプレイヤーが教える「大人になってからゴルフが上手くなる方法」
先日、打ちっぱなしに行ったときのこと。友人同士と思われる30代くらいの2人の男性が練習をしている様子を見て思ったことがある。
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よく見かける練習場でのやりとり、ふと疑問が沸いた
細身で青いTシャツを着ている男性の方がスコア100切りを目指してプレーする後輩ゴルファー、黒いポロシャツを着た体格のいい男性が80台くらいで回る先輩ゴルファーのようであった。後輩ゴルファーはドライバーショットを練習していて、先輩ゴルファーがアドバイスを送っていたのだが、「タメが足りないから、飛距離が出せない」ということを何とか教えようとアドバイスを続けていた。確かに、私が見ても”タメ”を作ることが出来ていないように見受けられたし、それが原因で飛距離が思うように出せていないことも事実のようだ。しかし、このとき私は「タメがつくれなくて飛距離がだせない=100切れない」は正解なのだろうか?と疑問に感じた。そして同時に、きっと大人になってからゴルフをはじめたほとんどのプレーヤーが、「何を練習したら上手くなれるのか?分からないまま練習をしているんだろう」ということに気づかされた。

「練習のやり方」が分からない方へ
これは、2人のやりとりへの皮肉や批判ではない。お互い熱心に話し合い練習に打ち込んでいることは、とても素敵なことだし、飛距離を伸ばすことがスコアアップに繋がることも間違いない。でも、もっと簡単に100を切るためにできることは沢山ある。上達には、センスや運動神経も大事だが、それは火種にしかならない。きちんと花を咲かせるためには、適切な順番で必要な練習を行なっていくことが上達に1番必要なことだ。
「そんなことを言っても、それが分からないんだよ! 」と怒られてしまうかもしれないが、そんなときは、「子供は、どうやってスポーツを上達していくのか」をヒントにしてみてほしい。子供たちは、”練習にゲーム性を組み込む天才”だと私は思っている。最初に、クラブの握り方や構え方など簡単なことを教えるとまずは熱心に練習をする。しかし、少し球が飛ぶようになっただけでも「どっちが先に、あそこの30ヤードの看板に当てられるか勝負しよう! 」「次はワンバウンドで当てよう! 」「違うクラブに変えてみよう!」などと、勝手に練習を考え出す。14本のクラブと、練習場という空間の中で、ありったけの想像力を働かせて”遊び”ながら学び出す。彼らは何にも縛られていない、まさしく自由なのだ。私たち大人は頭が良くなりすぎてしまった(これは皮肉です)ようで、「練習は真面目にやらなけらばならない」「正しいスイングを勉強してそれを目指すべき」だと勘違いしてしまっている。これこそが”上達を妨げるワナ”になっている気がする。

世界NO,1でも罠にはまって、上達に悩む
私が、20代の頃アメリカに練習へ行ったとき、こんな話を聞いたことがある。当時、最高の女子プロゴルファーであったアニカ・ソレンスタム選手が「とにかく球を曲げたくない、狙ったところへ真っすぐ飛ばせるようになりたいの」とコーチに質問したら、「まずは、球を曲げる練習をしなさい」とアドバイスをされたそうだ。アニカ選手は、一瞬腑に落ちない表情をしたものの言われた通りフックやスライスを打つ練習をしてみると、すぐにコーチの意図を理解した。「球の曲げ方を研究していたら、真っすぐボールをコントロールする方法もわかったわ! 」と。それからは、オフシーズンにフロリダのゴルフ場でタイガー・ウッズ選手などと一緒に「次は、ドライバーで低い球を打って、右の100ヤードの看板の外を通して黄色い旗に寄せるわよ! 」と球を曲げて遊ぶアニカ選手の姿が度々目撃されるようになったとのこと。

いつもじゃなくてもいい、悩んだときは”遊んで”みてほしい
何が言いたいかというと、まずは得意な1本のクラブを持って、色々な場所を狙ってみたり、高い球を打とうとしてみたり、フックやスライス、しいてはわざとトップボールやシャンクを打ってみたりしてほしい。そうするとなぜか打ちたかったはずのナイスショットが偶然出てしまうこともあるはずで、それを足掛かりに練習を進めてみてはいかがだろうか?スイングの形や理論は大切だが、正直、ジュニアゴルファーのように理論を形にする柔軟性(体だけではなく脳の)や時間が大人には足りない。”不可能”とあえて定義してもいいのではないかとすら思っている。だからこそ、子供以上に自分に合うゴルフ探しを柔軟にやることが”大人が上達する近道”であり、何より楽しいと思う。綺麗なスイングを目指すのは自由だが、ベストスコアは自分流のスイングでもだせる。
絶対に大人になってからでもゴルフは上手くなれる。

岡田豪太
●おかだ・ごうた/1983年生まれ。20歳から30歳までプロゴルファーとして活動しミニツアーで複数回優勝を経験。現在はイベントの運営サポートやライターなど幅広くゴルフ界に関わる
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