シングルプレイヤーが教える上手くならない理由!レッスンに通っているのに…
「定期的にレッスンに通っているのに思うように上達しない! 」という悩みを抱えている人は少なくないのではないでしょうか?もちろん、レッスンプロの教え方が悪い場合もあるとは思いますが、ほとんどの原因は「教わる側の教わり方」に問題があると私は考えています。

同じレッスンを受けたとしても、差がでてしまうのはなぜ?
例えば、車の運転に例えて考えてみましょう。あなたは運転手で、道に詳しい友人が助手席に座っている。「次の信号右折で」とか「突き当りまで道なりね」などの指示通りに目的地へ向かい、何も考えずに言われた通り目的地へ到着。さて、次に同じ場所へ行きたいと思ったとき、あなたは道を覚えているでしょうか?
たぶん、安全面にだけ注意をはらっていたものの、言われたまま走っていただけの人は道を覚えることはできません。対して、トラックの運転手さんのように日常的に道を覚える作業に慣れている人は、道だけでなく飲食店や車屋さんなど、普段から気にしている店舗などと同時に道も覚えてしまいます。
ゴルフレッスンもこれと同じ現象が起きてしまいます。言われたとおりのことを、何も考えずにただこなしてしまうと身になりません。「素直に言うこと聞いているのにダメなの?」と思うかもしれませんが、素直にレッスンを受けること自体は大切です。なんかモヤモヤしますよね? 言われたとおりにやってもダメ、でも素直にレッスンを受けろ。「どっちなんだよ!」って。そうなんです。このモヤモヤしたところに、レッスンを受けても効果が出ない理由は隠れています。
”上達できる”人は、誰がコーチでも上達する

例えば、「バックスイングでの手首のコックの仕方」みたいなことを教わったとしましょう。あなたはどのように話を聞くでしょうか? 自分の手首だけを見ながら教わった形を一生懸命に覚えようとしませんか? または、先生の目を見て一生懸命話を聞いているが、まったく手首を見ていない、なんてことにはなっていませんか? もちろん両方とも大事なことですが、これだと上達は難しいと思います。では、”上手くなれる人”は同じ指導を受けたときどうするでしょうか?
私が生徒なら、まずレッスン施設にある鏡で自分の全体像を見たくなります。正面、左右など最低でも2方向を確認して「手首の角度」「クラブの角度」「そのときのフェース面の向き」「上体の傾き具合」「下半身の形」などなるべく多くのチェックポイントを見つける。それと同時に、体の感覚も覚える要素として追加します。例えば「右のワキ腹がこんな風に伸びている」とか「背中の真ん中変がこんなふうにツライ」のようにです。ここまでは出来ている人もいるかもしれませんが、最も大事なことはこの”正しい形”を動作の中に組み込むことです。バックスイングのコックということはその前にアドレスから少しのあいだクラブを後方へ振り上げはじめるので、アドレスからコックするところまでの”上げ方”についても形や感覚とあわせてセットにして覚えます。運動神経のいい人や勘のいい人というのは、こういう作業を自然と出来てしまうところがあります。皆さん嫌いな(笑)何でもすぐに上手くなる人というのはこういう人たちです。
受けたレッスンをどれだけ深められるか

レッスンを受けても、なかなか上達出来ないという人は、指導されたワンポイントレッスンをツーポイントやスリーポイントに増やす努力をしてみてください。難しい言葉を使えば、1つのことを多角的に捉えられるかが重要です。そして何より”形”ではなく、”動きの1部”として覚える作業がゴルフスイングにはとても大切です。その形をつくることが重要ではなく、スイング中のあるポジションに来たとき、その形になっているのが正解です。
その作業にチャレンジしてみたけれど上手くいかないという人は、コーチを変えることも視野にいれてください。「え?結局それ?」と思うかもしれませんが、それが1番早いと思います。これは、決して今教わっているコーチがダメだと言っているわけではありません。ただ、そのコーチは、あなたが上達できない理由をコーチできない人なんです。そのコーチがそのことに気が付くまでは「一生懸命教えてくれる → 一生懸命レッスンを受ける → 上手くならない」の無限ループが続くことが予想されます。
設備やネームバリューにだまされない

「良い生徒は誰が先生でも上手くなる。本物のコーチはどんな生徒でも上手くさせる」。私は、昔からそう思っています。たとえ有名でなくても、たとえば近所のゴルフ好きなおじさんでも良いコーチはいます。その人を見つけることは生徒の仕事です。良いコーチの見つけ方のポイントは、生徒が上達しているかどうかであり、賑わっているかどうかとか、レッスン料が高いとか、設備が充実しているかとは関係ありません。まずは、近くにいるゴルフが”ちゃんと”上手い人(最低でも平均スコアが80以下。ベストスコアはあてになりません)に教わっているコーチを紹介してもらうのもいいと思います。「私なんか」とか「まだ下手だから」なんて言わないでください。上手くなった人ほど、上手くなる苦労を知っていますから親身にアドバイスしてくれるはずです。
上手くなるまでの時間というのは、人によって差が出てしまいます。ですが、”上手くなるコツ”を自分なりに見つければ、誰でも100を切れますし、80台でも回れるようになります。もし、それでも上手くならないのであれば・・・わかりますよね? 「コーチのせい」です!

岡田豪太
●おかだ・ごうた/1983年生まれ。20歳から30歳までプロゴルファーとして活動しミニツアーで複数回優勝を経験。現在はイベントの運営サポートやライターなど幅広くゴルフ界に関わる