
アイアンの再現性が高まる女子プロの“ねじらないスイング”とは?プロが解説
スイングは体を大きく捻転させることが大事だといわれるが「アイアンは体をねじらないほうが、再現性が高くなって正確に打てますよ」と、坂本龍楠コーチ。
ショットメーカーの女子プロのスイングをお手本に“ねじらないスイング”を解説する。
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”左足体重で体が一直線になる”&”Ⅰ字フィニッシュをとる”

体をねじるとフェースが開閉してしまうので、
フェース向きが安定しない人はねじらないで振り上げる(②)
フェース向きは骨盤と肩の向きにつられてズレやすい
ゴルフクラブにはライ角やロフト角があり、それによって番手なりの球筋が打てるようにできています。そのため、アドレスで構えた角度をインパクトで再現することが大事。この「クラブの角度を保つ=再現性をよくする」ために必要なのが「体をねじらない」ということです。

体がねじれると骨盤と肩の向きにズレが生じます。するとフェースの向きもズレ、設計されたクラブの角度が変わるのです。今回は、「再現性を高めるために体をねじらずに打つ」スイングの特徴を、3選手を例に解説していきましょう。

大西選手の注目ポイントは❽のフィニッシュです。右サイドの肩と腰、ヒザの位置がそろって、アルファベットの「Ⅰ」の字のカタチになるフィニッシュをとっています。ここまでのバックスイングやダウンスイング、フォローで体のねじれが大きすぎると、右肩が前に出たり、のけ反ってしまいます。

右サイドの肩と腰、ヒザの位置を
一直線にそろえた左足体重のフィニッシュ(⑧)
Ⅰ字フィニッシュをとるコツは、体をねじることよりも体重移動です。フォローからフィニッシュにかけて、右足を引きずるようにスライドさせることを意識して、体重をしっかり左足に移してください。
”体の正面を抜けて高く振り抜く”&”フォローをとる”

高いフォローは剣道の「面打ち素振り」でマスターする
宮田選手の場合、フォローでクラブが高い位置に抜けていく(❼)のが、体をねじらないで打つためのポイントになります。体をねじるとクラブは、肩のラインより下の低い位置へと抜けてしまう。これは手打ちのスライサーに多いフォローの抜き方です。

ねじらないスイングをするためには、手元やクラブが体の正面を通るように振り抜いてください。体の正面を抜けるフォローの感覚がつかめない人は「剣道の面打ち」をイメージしましょう。体の正面で竹刀を振り上げて面を打つ動きをフォローで意識すると、高く振り抜くフォローが身につきます。

インパクト以降はクラブが体の正面を
高く抜けていく軌道を意識して振り抜く(⑥)
練習方法は簡単で、バックスイングからトップまでに剣道の面を打つつもりで振りかぶる。トップからクラブを振り下ろしたら、今度はフィニッシュまでに竹刀を振りかぶるつもりでスイング。両サイドで繰り返し面を打つ素振りをすると、体をねじりすぎずに高いフォローをとるスイングがマスターできます。

充分に体をねじっているが
柔軟性の低い人は手元を動かして高く振り抜いてもOK(⑦)
足を使って骨盤を回しトップのポジションを安定させる

アドレスのときから体を傾けず、両腕の
位置や長さをそろえるのも体のねじりすぎを防ぐコツ(①)
足を固定しすぎると上半身の向きがズレてしまう
3人の中で、もっとも体のねじれが少ないのが有村選手で、❹のトップが参考になりますね。肩から骨盤までが大きくねじれすぎず、骨盤と肩、体の側面を結ぶラインが、きれいな長方形になっていますが、この長方形が歪まないようにクラブを振り上げるとトップの位置が安定します。左のワキ腹が縮まったり右のワキ腹が伸びたりすると、頭が目標方向に倒れやすくなって長方形が歪んでしまうので注意してください。

肩と骨盤のラインが平行になるような
歪みのないバックスイング(3丁目)
❹のように、きれいな長方形を作ってトップを迎えるためには、バックスイング(❸)で足(大腿骨)を先に動かして骨盤を回していくことが大切です。アマチュアの多くは足を固定しすぎてしまい、上半身だけを動かそうとしますが、それには高い柔軟性が必要です。もっと足を動かしてほしいのですが、うまく動かせない人は左足のカカトを体の外側に向けるように動かしてバックスイングすると、足の動きで骨盤を回せます。

体をねじらないスイングは、フェースの余計な開閉かなくなるため、再現性が高くなります。すると、方向性がアップするだけでなく、エネルギーの伝わりもよくなるので飛距離も伸びる。体を無理にねじることがなくケガもしにくいので、ぜひ試してみてください。

いかがでしたか。“ねじらないスイング”のポイントをぜひ参考にしてください!

解説=坂本龍楠
●さかもと・りゅうなん/1981年生まれ。大学入学とともにゴルフを始め、オーストラリアへ単身ゴルフ留学。帰国後、関東一円でレッスンを開始。体に負荷のかからないゴルフ理論を構築し、YouTubeで配信するなど、幅広く活躍中。新宿御苑ゴルフスタジオ主宰。

大西葵
●おおにし・あおい/1994年生まれ、千葉県出身。163cm。開幕戦のアース・モンダミンカップは10位タイ。

宮田成華
●みやた・なるは/1997年生まれ、東京都出身。165cm。10歳から競技を始め、17年にTPD単年登録でプロ転向。

有村智恵
●ありむら・ちえ/1987年生まれ、熊本県出身。159cm。09、11、12年に賞金ランキング3位。
写真=高橋淳司
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