
西村優菜、涙の出場権獲得!「滝行」が勝負強さを引き出した!?
2025年シーズンを年間ランク115位とした西村優菜は、シーズン終盤の好調をそのままに、12月のQシリーズ(QT)へ出場権奪還に挑んだ。
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勝負強さを引き出したものは「滝行」西村優菜がQT通過

4日間の短縮競技(*元々は5日間協競技)となったQTでは、最終日の最終ホール(パー4)をパー以上でフィニッシュしないといけない状況に陥った。
ティーショットはフェアウェイ右にある木の手前約20ヤードに打ってしまい、ピン方向は完全なスタイミー。この危機的状況で、西村は第2打を木の右側からインテンショナルフックでピンを狙った。ショットは惜しくもグリーンオンせず、右のアプローチエリアに止まった。

ピンはグリーンエッジから約5ヤードのショートサイド。ボールからグリーンエッジまでは上りスロープで、エッジからピンまでのグリーン面は少し下っているという難しい場面で、西村はパターを持ち絶妙なタッチでOKの距離に寄せた。最後のパーパットもお先に沈めてホールアウト。25位タイまでに与えられるカテゴリー15(*24年に山下美夢有らがQTで獲得した)に入ることができ、2026年シーズンの試合出場の道が大きく開けた。

最後の寄せの場面はかなり緊張を強いられる状況だったが、「練習日には『あそこに行くだろうな』と思って練習していた」と本人が語ったように、想定して練習を重ねたことが功を奏したのだが、この寄せワンを引き寄せた理由はもう一つあった。“滝行”だ。

もちろん、会場のアラバマ州の滝に行って修行をしてきたのではないのだが、当たらずしも遠からず、なのだ。
QTで西村が宿泊していたのは、キッチン付きのホテル。実はこのホテルに筆者も宿泊していたのだが、なぜか温かいお湯の出る時間がものすごく限られていた。どうもホテルのボイラーの調整がうまくされておらず、お湯の出る量がホテル全体で少なかった。そのため、試合から帰ってきてすぐにシャワーに入っても、他の部屋の人が大勢入っていればすぐお湯が出なくなり、水シャワーを浴びるしかなくなってしまう。

西村はそれでも試合後にはシャワーに入らないと汗を流せないし、疲れも取れない、とのことで、少しだけ温まっただけのほとんど水という状態のシャワーに「エイっ!」と気合を入れながら入った。その毎日を本人が“滝行”と言っていたのだ。聞くと、7泊したうちの実に5日間、滝行をしたそうだ。事前に部屋を暖房で十分に温めて入るという対策も取ったという。

最終日、最終ホールをパーで切り抜け、QT通過を決めて感極まり、涙する西村に「滝行の効果があったね」と声をかけると、西村は爆笑。緊張からの解放感と通過した嬉しさが相まった満面の笑顔をいせてくれた。

フォトグラファー 田辺安啓 (通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。
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