
「ただ打つだけ」冷静さを欠かさない米女子プロが注目する日本選手は?
ニュースだけじゃ伝わらない米女子ツアー選手たちの魅力を現地からレポートします!
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もっと優勝争いをしたい経験を力に変えて戦いに挑む

4月下旬に開催された「シェブロン選手権」で、リンディ・ダンカンは最終日、最終組で優勝争いを演じた。最後の18番、同組のユ・ヘランがチップインイーグル、西郷真央がバーディパットを決め、プレーオフ進出を決めた。首位と1打差のダンカンがプレーオフに進むには、バーディパットを決めるしかない。メジャー制覇という重圧がのしかかるが「落ち着いていた」と心境を振り返ってくれた。
上りのパット、右から左へ切れる、約3メートル。「こういうパットは何度も経験して慣れている。ただ打つだけ」と、自信をもって放ったボールはカップに吸い込まれた。大歓声に包まれるなか、ダンカンはガッツポーズをして吠え、駆け寄ったキャディから、ギューっとハグをされた。「この場面で決められた自分が誇らしいけど、プレーオフがすぐはじまるからグリーンから降りなきゃ」と極めて冷静になろうと努めるダンカンとは裏腹に、喜んだキャディはしばらくハグをやめてくれなかった。

史上最多となる5人でのプレーオフは、1ホール目で西郷真央がバーディパットを決めて決着がついた。「真央は精神的に強く、判断力も非常にすぐれた選手。プレーのペースもよいし、メジャー覇者にふさわしい」と、ダンカンは勝者を讃える。
ツアー11年目の34歳は、ツアー未勝利。21年にシード権を喪失し、下部ツアーとレギュラーツアーを行き来した時期もある。「辞めようと思ったことは何度かあるけど、やっぱりゴルフが好きだから」と踏みとどまってきた。はじめての栄冠はスルリと逃げたが、その悔しさよりも自己最高位を素直に喜んだ。「試合を終えた日曜日の夜は眠れなかったです。寝る時間になっても興奮していて、笑顔が止まらなかった」。
だが、「もっともっと優勝争いをしたい。どういうプレッシャーがかかるのかを肌で感じることができたので、次回はこの経験を活かせると思う」と、ダンカンはここで満足して終わるつもりは毛頭ない。
Lindy Duncan / リンディ・ダンカン
●1991年生まれ、アメリカ出身。25年は「フォード選手権」5 位、「シェブロン選手権」2位などで結果を残し、ツアー11年目の初優勝に向けて期待が高まる。
いかがでしたか? リンディ・ダンカン選手のこれからの活躍に期待しましょう!
写真・文=南しずか
PHOTO&TEXT Shizuka MINAMI
●みなみ・しずか/東京都出身。 2009 年より米女子ゴルフツアーを取材。ゴルフ雑誌や「ナンバー」「SportsIllustrated」などスポーツ誌に写真を提供。
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