
女子プロ、集中しすぎてハプニング!同伴者に平謝り
今シーズンから米LPGAに参戦を開始し、メジャーの「AIG全英女子オープン」で優勝を飾るなど、華々しい成績を挙げている山下美夢有。各種スタッツでも上位に位置し、昨年は西郷真央が獲得したルーキーオブザイヤーを、今年は竹田麗央、岩井千怜らとともに争っている。
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「集中しすぎて…」

米ツアーで戦う日本人選手の中でも最も小柄で、飛距離ランキングは146位(245.17ヤード、9月第1週時点)と下位から数えた方が早い順位なのだが、平均スコアは5位(70.27)、スクランブリング率1位、サンドセーブ率4位などショートゲームの強さが光る。フェアウェイキープ率3位(80.44%)というショットの安定力も見逃せない。

山下の強さはデータによって可視化されているが、データからは見えない強さがある。それは、やはりプレー中の集中力の高さだろう。
これは最強アスリートの共通点でもある。プレー中は、周りで何が起きようが一切聞こえない、見えない、気にならない。その極地が“ゾーンに入る”という状態かもしれない。また、片山晋呉は調子の良い状態を「まるで自分が登場するゲームを自分でプレーするように、自分を俯瞰で見ているようになる」とも言っている。これは「集中しすぎて冷静になれている」という意味なのだそうだ。

さて、山下に関しては今年のシーズン序盤の試合であったお茶目なシーンを当コラムで紹介した。「ティーショットを打ったあと、自分のドライバーを同伴競技者のキャディーに渡そうとしてしまって大笑い」というエピソードだったが、これは本人曰く「集中していたので」とのこと。これと同じような“失態”を、9月のFM選手権でもやってしまった。

二日目の最終18番ホールでのこと。先にホールアウトした山下が、キャディーのジョン・ベネットから何かを指摘されて大笑い、というか、少々苦笑いを見せた。その後、同伴競技者との挨拶の場面では、同伴競技者に恐縮しながら何かを伝えていた。

何を言われたのか?山下は、最後のパットをカップインさせた後、拍手に応えながらカップから離れる際、同伴競技者の最後のパットのラインを踏んでしまっていたのだ。

「『お先でーす』って行こうとした時にラインを踏んでしまっていたみたいで、自分で気づいてなかったんですけど、終わってからキャディーさんに『ちょっと、ラインを踏んでたかも』て言われて。集中しすぎててマジで気づかなかったです、って言って笑ってたんです」(山下談)

ホールアウト時には、平謝りする山下に同伴競技者も笑顔で応え、ハグで挨拶。優勝を争う場面であればちょっと問題になっていたかもしれないが、この場面では事なきを得たようだった。メジャー優勝も成し遂げ、集中力の高さとお茶目さを兼ね備えた山下は、今後も楽しませてくれる存在だ。
フォトグラファー 田辺安啓 (通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。
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