
女子プロが不調を乗り越えた方法は?ポイントは「基礎から学ぶこと」
イップスは「自分はならない」と思っていませんか?決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!
なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。
イップス改善とゴルフ上達は似ている

「イップスの克服、技術の向上のために多くのコーチに師事しましたが、結果的にはスイングがバラバラになってしまいました……」(幡野)
基礎から学んで症状が改善された
これまでの挑戦のなかで、もっとも合格に近づいた2019年の最終プロテストの3日目に、パッティングのイップスを発症し、それ以来、私の選手生活はテストだけでなく、イップスとも戦うことを余儀なくされました。幸い、パッティングのイップスはコーチから指導を受けることでだいぶ回復。それまでは、打つたびに構えが変わったり、手先を使ってインパクトを自分で作っていました。
それを、パターのライ角どおりに構える、メトロノームでテンポを一定に保つなど、感覚に頼らずに打つ練習をし、アドレスとアライメント、そしてテンポといった基礎から学び、知ることで技術を再構築しました。
グリップは順手とクロスハンド、クロウグリップをそのときの感覚に応じて使い分け、振り子に近いパッティングを行ないやすくする。感情を入れずに打つスタイルを習得したことで、イップスの症状は改善していきました。
同時期にショットでもイップスを患う
パットイップスと同時期には、ショットのイップスも発症。アイアンショットが何10ヤードも左右に曲がって、パー3のティーショットでは隣のホールに飛んでしまうような深刻な状況でしたね。そこまでのひどい状態になる前に、その兆候を感じていた時期があって、そのときは手を使わず、体の回転で打つことに取り組みました。手を使わなければ再現性が上がり、ショットが安定すると考えていたのです。
ところが、大きく振り遅れることがあって、それを嫌がるように体が反応してしまう。頭で「こうしたい」と考えていることがあるのに、意図せず違うことをしてしまっている状態なので、心理的にもとても気持ち悪い······。
自分が打ちたい球とはかけ離れた、とんでもない曲がりの球を打つわけですから、コースマネジメントを考えることも活かすこともできません。とても苦しい時期でした。
恐怖心が芽生えるとゴルフが難しくなる
パターコーチから指導を受けて、パットのイップスがよくなったので、ショットも同様にコーチにつけばよくなるのではないかと考え、それから何人ものコーチにレッスンを受けました。
スイングを修正するために、そのときそのときで最善と思える選択をしてきたつもりですが、結局、それぞれのコーチの描くスイングモデルが異なることもあり、取り組む課題もバラバラで、それらがひとつのスイングとしてつながらない。思い返すと、多くのコーチからいろいろなスイングを教わって、それがスタックしてしまいました。終わりのないスイング改造を続けたことで、イップス症状がかえって悪化してしまったのです。
しかし、これまで知らなかったスイングの基本的な知識を得ることができたのはよかったですね。じつは、イップス改善とゴルフの上達は似ていると思います。知識を得ることで、どこに問題点があるかを突き止めて、それに対して合理的に対策することがイップス対策には効果的ですが、それはまさに上達のプロセスだからです。
【Lesson】クラブを逆さに持って右手1本で振る

クラブのネックを握って、右手1本で振るドリル。リキみがとれてクラブの自然な動きに沿って振れるので、安定した正しい軌道を体感しやすい。ビギナーにも適した練習法だ
強すぎるハンドファーストは振り遅れになりやすい

右手1本で振るのに慣れたら、普段どおり両手でグリップしてスイング。右手1本のときと同じ軌道で振るのがポイント。ハンドファーストが強すぎると振り遅れるので注意
いかがでしたか? 基礎から学ぶことが大事です!

解説=幡野夏生
●はたの・なつき/1997年生まれ、神奈川出身。2018年の「フジサンケイクラシック」では予選会から勝ち上がり、本戦でホールインワンを達成。2019年「富士通レディース」5位。現在はティーチングプロ資格取得も目指して活動中。
構成=コヤマカズヒロ
写真=竹田誉之
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