
「逆目、向かい風」難状況でのトラブルショットをプロ4人が解説
向かい風、逆目ラフ、中途半端な距離など予期せぬシチュエーションに遭遇してもあせらずに対応したいもの。
そんな場面で役立つヒントをプロがレッスンします!
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右サイドでグッと押し込むと中弾道の重い球になる

アゲンスト(向かい風)のとき、僕は球の高さよりも、「球の重さ」を重要視します。なぜなら、いくら低く打ち出しても、球が軽ければ風に負けてしまうからです。
いわゆる重い球を打つには、インパクトで右腰を中心とした体の右サイドを使ってボールをグッと押し込みます。頭の位置と前傾姿勢をキープしながら、腰をレベルに回し、右サイドを中心とした体全体の力をボールに伝えることが大切。クラブを加速させてボールを弾き飛ばすのではなく、一定のスピードで「ボールをつかまえて、もうひと押しをする」イメージです。
フォローでクラブを低く長く出してボールを押し込めば、スピン量が減り、中弾道の重い球になりますよ。

右腰を中心に右肩や右足など体の右サイドを使ってボールを押し込む。頭が流れるのはNG

クラブを高く振り上げると、球が軽くなり、アゲンストでは風に押し戻されてしまう

レベルブローにボールをとらえて、余計なスピンを減らすことが重要。低いフォローのほうがボールを押し込める
高くティーアップして肩から肩の振り幅でボールをクリーンに打つ

高くティーアップしたボールをレベルブローでクリーンに打つイメージなら芯でとらえられる
ボールがラフにあるとき、沈んでいたら脱出優先で打ち込むしかありませんが、ボールが浮いているときはうまく打てばしっかり飛ばせます。でも打ち込みすぎるとフェースの上っ面に当たって全然飛ばせませんし、アッパーに打っても下っ面に当たってトップやチョロをしてしまいます。
ラフでボールが浮いているときは、レベルブローでボールをクリーンに拾って打つことが大事。高くティーアップした球を打つようなイメージで、軸を意識して頭を動かさず、コンパクトに振ればナイスショットできますよ。

アドレスからインパクトまで、頭の位置が変わらないように注意。軸を意識してシャープに回転しよう


浮いている球をアッパーに打とうとすると(左)下っ面に。打ち込むと(右)上っ面に当たるミスになる

芯で打つには大振りは厳禁。クラブを短く持って、肩から肩くらいの小さな振り幅でコンパクトにスイングしよう
クラブの接地面積を小さくすればヘッドの抜けがよくなる

グリーンまわりのラフが苦手という人は、芝目の向きをチェックしましょう。順目と逆目では、芝の抵抗とヘッドの抜け方が異なり、同じ打ち方では通用しません。順目の場合は芝の抵抗が小さく、ヘッドがスッと抜けますが、逆目はそれが大きくなり、ヘッドが突っかかる。
このときにフェースを開けば開くほど、抵抗がさらに増して、失敗してしまうんです。
つまり逆目のラフは、フェースを開かないほうが簡単。僕は、ややハンドアップに構えて、フェースのトゥ側(先端)で打ちます。クラブの接地面積を小さくすることで、抵抗が減り、抜けがよくなるわけです。これはディボット跡などライが悪いときにも有効なテクニックです。


フェースを開けば開くほど抵抗が増して、ヘッドの抜けが悪くなってしまう
フェースは開かない(右)
順目のときは開いてもいいが、逆目はフェースをスクエアにセットするのが基本
ボールを右に置いてハンドアップに構える

パットのように、クラブを吊る感じでハンドアップにして、フェースのトゥ側が地面に触れるように構える
左手のリードで振ればハンドファーストに打てる

60~70ヤードはアプローチとしては長めの距離ですが、最悪でもグリーンに乗せておきたいところ。そうはいってもスイングの振り幅を加減して打つ必要があるので結構難しいですよね。
こうした中途半端な距離をコントロールして打つためには、ボールにきっちり当てることが大切です。アドレスで左腕をスッと伸ばして構えたら、左腕の長さをなるべく変えないでスイングしましょう。手先の動きに頼らず、体の回転を使って左手のリードで振る。
振り幅が自然にコンパクトになるうえに、アドレスよりもロフトを立てるハンドファーストで打てるので、ボールをうまくミートできますよ。

ロフトを立ててインパクト
クラブはSWでもAWでもいいが、構えたときよりもロフトを立てて打つ意識が必要。左手主導で振ればハンドファーストでインパクトできる


左腕を長く使えばフォローでは左ヒジが下を向き、ヘッドの先端が上を向く。左ヒジから先が自然にターンし、ボールを正確にとらえられる
いかがでしたか? ぜひ明日からの練習に活用してください!

嘉数光倫
●かかず・てるみち/1989年生まれ、沖縄県出身。168㎝、72㎏。19年のANAオープンでは初優勝のチャンスだったが、プレーオフで惜しくも敗れる。

工藤遥加
●くどう・はるか/1992年生まれ。埼玉県出身。11年にプロテストに合格し、その年の新人戦「加賀電子カップ」で優勝。

大槻智春
●おおつき・ともはる/1990年生まれ、茨城県出身。172㎝、94kg。

今野康晴
●いまの・やすはる/1973年生まれ、岐阜県出身。175㎝、75kg。日大ゴルフ部を経て96年プロ転向。
構成=小山俊正、鈴木康介、三代崇
写真=中野義昌、小林司
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