
真っすぐ打てない、オーバーする…パッティングの苦手克服レッスン
クラブやボール、弾道計測機の進化によってスイングデータの分析も日々進み「構え方、振り方、打ち方」も日々進化している。その最新の理論を学び、多くのアマチュアを上達させている若手コーチが、アプローチ、バンカー、パッティングの〝今どき〞の上達法をレッスン!
アマチュアのみなさんに「コレを教えたい!」と厳選した『50』の最新版の寄る技、入る技で、ショートゲームがうまいゴルファーになろう!
【関連記事】まさに「全アマチュア向け」! 飛ばせる“限定シャフト”がついに発売開始!
ボールとスタンス位置の「間合い」を正そう!

ラウンド日やラウンド中に「スムーズにヘッドが引けない」「ストロークが波打っている」と感じることがありませんか?
その原因はアドレス時のボールと体との“間合い”にズレが起こっていることが多く、普段よりも遠くや近くに無意識に立っていることを疑ってください。その“間合い”さえ正せば、ヘッドを真っすぐ引くことができますよ。
インに引いてしまう人は「間合いが遠い」

普段よりもボールから離れて構えると、テークバックはインに上がりすぎてしまう。「パターのストロークの〝真っすぐ〟とは、ゆるやかな〝イン・トゥ・イン〟軌道。インに引きすぎるとアウトに出てしまうのでボールを押し出す。またはイン・トゥ・インがきつくなりすぎて引っかけが出ます」(巣山)。
アウトに上がってしまう人は「間合いが近い」

「近いほうが安心するためか、無意識に近づいてしまう人が多いんです」と巣山。テークバックは外に上がりやすくなるのでアウト・イン軌道で引っかけるか、カット軌道なので当たりが弱くショートする。また、きゅう屈な構えなのでスムーズにストロークできず、ヘッドが波打つこともある。
真っすぐスムーズに引ける間合いを素振りで確認

間合いのズレでストロークが乱れたときは、素振りでチェック&修正してください。ヘッドを気持ちよく真っすぐ動かせる間合いを素振りで見つけ、本番はその間合いで振れる位置にボールをセットしましょう。
真っすぐ向けたはずなのに
合わせた線がズレて見えるのは目線のせい!

ボール上に描かれた直線をターゲットに向けて合わせる。ところが構えて見たら「あれ? ズレてない?」と感じることがありませんか?
そのズレの原因はボールを見る目線の角度で「ボールの近くに立つ、前傾が深い」とボールを奥側から見てしまいがちなので、ラインが左を向いているように感じてしまう。「ボールから遠く離れる、前傾が浅い」のは目線がボールを手前から見る角度になるため、右を向いているように感じてしまいます。
どちらも「ボールを真上から見る」角度にすればターゲットを向いて見えますが、アドレスの取り方を直さずとも真っすぐ見えるようになる方法もあります!
真上から見ると真っすぐ

手前から見ると右向きに見える

奥から見ると左向きに見える

ラインを手前や奥に傾けて合わせればアドレスを変える必要なし!

真っすぐ合わせたはずのラインが、構えて見ると〝右向きに見える〟人はボールのラインをターゲットに向けてから「ボールを少し左回転、構えたときにラインが手前に傾いている状態」に。〝左向きに見える〟人は「ボールを少し右回転、構えたときにラインが奥に傾いている状態」にセットすると、真っすぐに見えます。
もちろん、傾けてもラインはターゲットに対して真っすぐの向きです!
遠く、前傾が浅い構えはラインを手前に傾ける

近く、前傾が深い構えはラインを奥に傾ける

ボールをつかまえて良質な転がりを生み出そう!

ネック形状によってもスクエアなフェースの位置は変わってくるので、まずは自分のパターの「スクエアポジション」を探すことが大切。
つかまえやすいボール位置で構える

パターの形状にもよりますが、ボールをもっともつかまえやすいポジションは「左目の真下」です。ここがイン・トゥ・イン軌道のストロークをしたときに、フェースがちょうどスクエアになるポジションだからです。ここでインパクトすれば、フェースの重心がボールをしっかりつかまえるサポートをしてくれるので、良質な転がりを得ることができます。
ラウンド中はどうやって「ポジション合わせ」する?

ラウンド前、練習グリーンでフェースのスクエアな向きを確かめたら、セットアップのボールポジションが自分の足からヘッド何個ぶん離れているかをチェックしよう。これを確認しておくことで、ラウンド中もポジションの「ズレ」を修正することができる。
終始ストレートは×
イン・トゥ・イン軌道が○

「つかまったボール」を打つには、パターでもイン・トゥ・インの軌道が必要になります。アマチュアはヘッドを真っすぐ動かそうとする人が多いですが、終始ストレートな軌道だとヘッドの重心がボールから逃げていく軌道になるので、打ち出しや転がりが安定しません。軌道を重心が追いかけるようなストロークをすることで、効率のいいインパクトを得られます。
前傾角でストローク軌道を調整する

どうしてもストレート軌道で振らないとイメージがわかない人は、前傾角を深くすることで肩がタテに回転し、ストレート軌道に近づけられる。このストロークをする場合は、ヘッド重心がシャフトプレーンからズレているブレードタイプのパターよりも、フェースバランスのパターやいま話題の「ゼロトルク」のパターのほうがマッチする可能性が高いです!

ラウンド当日は異なるタイプのパターを2本、練習グリーンでテストし、その日の感覚に合わせて使用パターを選ぶのもアリ。
ラインを直線的に!大オーバーのピンチも作らない!
インパクトに「圧」をかけよう!

パットといえども「インパクト圧」はかかります。これは転がりに影響し、プロのパットの転がりがいい打球とは単に強く打ったものではなく、ボール初速が速く、しっかり打ちながらもカップ際できちんと止まる球質です。
上りのラインや曲がりを抑えたい、または複雑なラインで左右どちらに曲がるか決めきれないときはカップをオーバーする強めのタッチで打ちますが、思ったよりもオーバーしてしまい次打のパットも厳しくなることが多い。そんな人は、インパクトで「圧」をかける打ち方をマスターしてください。

「圧」をかけるインパクトは、打球が早く曲がるのを防ぐのでラインを直線的にして入る確率を上げられる(○)。カップまでしっかり届かせるショートNGのパットも「圧を入れた強め」にしないと、大オーバーのケースが増えてしまう(×)
低く長いフォローが○
フェースを上に向けるは×

インパクトでの「圧」のかけ方は、フォローを低く長く出し「ボールをフェースに乗せて打つ」イメージで打ちます。
転がりをよくするには「ボールに順回転をかける」と思っていて、打ち出しからトップスピンをかけようとするのは×。ロフトが上を向いてしまうアッパーブローの打ち方は、トップ気味の薄い当たりになってしまいますよ。
グリップを5秒間「ギュッと握ってから」ストローク

「パンチが入ってしまった!」とミスを嘆くことが多い人は、グリップを5秒間、マックスの力で握ってから打ちましょう。目一杯の力を入れてから抜くことで、グリッププレッシャーが適度に弱まる。そのゆるめた状態をキープしたままストロークしてください。
肩の力もきちんと抜く

パンチ防止は、手や腕だけでなく肩の力も抜いてください。5秒間ギュッと強く握ったときは、両肩にも力が入って上がります。力が抜けてリラックスできているかは「力を入れたときよりも両肩が下がっている」もチェックポイントのひとつですね。
しっかりヒットは「ボールの中心から左側」をインパクト!

インパクトする位置はボールの右側、実際にフェースとボールが当たる位置を意識しますが、しっかりヒットしたいときは「ボールの中心か、それより左側でインパクトを迎える」とイメージすると、パンチが入らず強めのタッチで転がせます。
使いどころは「短いパット」!

パットはジャストタッチよりも「強め」に打ちたいシーンに多々出会います。とくにショートパットは入る確率が高くなる距離ですが、カップに届かないタッチでは絶対に入らない。クラッチパット(スコアを左右する、ここぞというときのプレッシャーのかかるパット)は、必ずカップをオーバーするタッチで打つ。
そのときにパンチを入れずにしっかりヒットできる、これらのレッスンを実践してください。
いかがでしたか? スムーズにヘッドが引けないときは、「間合い」をぜひ意識してみてくださいね。

巣山新太郎
●すやま・しんたろう/1998年生まれ、東京都出身。高校卒業後にTHAILAND PGA トーナメントプレーヤーを取得しプロ転向、タイツアーに参戦。帰国後、ティーチングの魅力に気づき、レッスン活動をスタート。現在は東京都の「Futako Golf Club」でインストラクターを務める。

吉本裕貴
●よしもと・ゆうき/1996年生まれ、千葉県出身。東北福祉大学ゴルフ部出身。千葉県旭市にある「ゴルフプラザ72」を拠点に、アマチュアやジュニアへのレッスン活動をしながらトーナメントにも参戦。自ら工房(JAM’s GOLF LABO)を営むほど、ギアへの深い造詣をもつ。

大原健陽
●おおはら・けんよう/1996年生まれ、広島県出身。東北福祉大学ゴルフ部を経て、奥嶋誠昭プロコーチのもとでスイングとギアの知識を深く学ぶ。現在は「THE REAL SWING GOLF STUDIO」(神奈川県横浜市)で多くのゴルファーのレッスンやクラブフィッティングを行なっている。
構成=編集部、石川大祐
写真=田中宏幸
協力=日神グループ 平川カントリークラブ
【あわせて読みたい】

































