ミニドライバーはどう選ぶ?専門家が最新モデル6選を試打解説

今年はテーラーメイドやキャロウェイだけではなく、タイトリストやPXGからもミニドライバーが発売された。

はじめてミニドライバーを選ぶ人に向けた鹿又流のアドバイスとは?

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「ミニドライバー」選びのスターターガイド

正直にいうと数年前にテーラーメイドからミニドライバーが発売されたとき、他のメーカーが追随するほど大流行するとは思っていませんでした。私のその予想は、完全に間違っていましたね(笑)。私が流行しないと思った理由は「ミニドライバーを使うくらいなら、やさしいドライバーを使ったほうがいいし、3番ウッドが打てないなら、もっとロフトのあるフェアウェイウッドを使えばいい」と考えていたからです。

しかし、ミニドライバーの本質は違っていました。ミニドライバーは〝新しいクラブのカテゴリー〟で、ドライバーや3番ウッドとも違います。ミニドライバーを入れたからドライバーを抜くのではなく、ヘッド体積460ccのドライバーを入れたまま、ミニドライバーを入れるというセッティングがオススメ。

昔でいえばブラッシー(2番ウッド)的な存在です。

また、メーカーによってコンセプトやスペックはバラバラ。今年はミニドライバーを発売するメーカーが増えて、購入を検討する人も多いと思うので、今回は私なりの視点でミニドライバーの選び方を紹介します。ぜひ参考にしてください。

ミニドライバー用の”カスタムシャフト”も登場

ドライバーでも3Wでもない新しいカテゴリーです

この企画が動画で見られる!ワッグルオンライン順次更新中!www.waggle-online.jp

「今は海外メーカーが中心ですが、今後はさらにミニドライバーを発売するメーカーが増えると思います」

ミニドライバー選びのポイント①サイズ
ミニのサイズは1つじゃない、アスリート仕様の「280」万人向けの「300」cc

GT280 ヘッド体積280cc(左)バーナーミニカッパー ヘッド体積304cc(中央)インプレスドライブスターステディバージョン ヘッド体積460cc(右)

最近のドライバーはほぼへッド体積460ccのフルサイズですが、ミニドライバーのヘッド体積はメーカーによってさまざま。タイトリストの「GT280」は280ccとミニドライバーのなかでもっとも小さい。キャロウェイの「エリートミ二」は340ccと安心感があるサイズ。

テーラーメイドは中間的なサイズの305cc前後。ミニドライバーではありませんが、同じような長さ(43.5インチ)に設定された「インプレスドライブスターステディバージョン」は460ccあります。

このヘッドサイズによって性能やターゲットゴルファーが違う点が、ミニドライバー選びの第一歩です。300cc未満になるとつかまりを抑えたアスリート仕様になっています。340cc以上になるとアベレージゴルファーでも使いやすい。300ccくらいがもっとも万人向けですね。

ヘッドサイズによってボールのつかまり方も違ってきます
「まずは300ccのタイプを試して、もっとやさしさがほしいなら340cc以上を。打球が高く上がりすぎるなら280ccを検討しましょう」

ミニドライバー選びのポイント②ロフト角
抜けのよさはディープフェース、球の上がりやすさはシャロー形状

ミニドライバーを選ぶときの重要なポイントが、直ドラを「するのか」「しないのか」。つまり、ティーショット以外で使うことを前提にしているのか、です。そもそも、ミニドライバーは米ツアーの選手たちが600ヤードを超えるバー5で、直ドラをしたいというリクエストから生まれたクラブ。

だから、テーラーメイドやタイトリストはややディープフェースになっていて、抜けのよいソール形状になっています。一方「エリートミニ」(上の写真左)は、アマチュアをターゲットにしたシャロー形状。低重心設計なので打球は高く上がりやすくなっていますが、フェアウェイから打ったときの抜けを重視したソールではありません。

もし、直ドラするならディープ形状で、ロフトは13度以上がオススメ。ティーアップしたとき専用で使うなら、シャロー形状の11.5度でも打球は高く上がるでしょう。

次の投稿から各社の新作を試打インプレッションするので、そちらも参考に合うミニドライバーを選んでください。

PGAツアーの選手は直ドラする前提で使っています
「米ツアーでミニドラを使っているトミー・フリートウッドは、セカンドショットでも多用しています」
「ティーアップしないで11.5度のミニドライバーを打つのはかなりハード。打球が高く上がらず、飛距離が出ません」

キャロウェイ エリートミニ
進化したAIフェースで下側ヒットにも強い

ヘッド体積は前作と同じ340ccだが、フェース面上のコントロールポイント(弾道を補正するポイント)は10倍進化
ヘッド体積340cc/クラブ長43.5インチ
SPEC●ロフト角/11.5、13.5度●ライ角/57度●シャフト(フレックス)/TENSEI GREEN 60forCallaway(SR、S)など●重さ/328g(フレックスS)●価格/8万8000円

ティーショットでの方向性やタテ距離のズレに悩んでいる人にとっては、お助け系のクラブとなるミニドライバー。エリートシリーズのドライバーに採用されているAIフェースをミニドライバーに搭載しているので、オフセンターヒットに対する寛容性が高い。下側でヒットしたときでも打球が高く上がってくれますし、ヒールヒットでもストレートに近い、曲がり幅が少ない弾道になります。

ボールのつかまりもよくて、弾道が高いのでアベレージゴルファーやシニアゴルファーでも十分に使いこなせます。

タイトリスト GT280
アスリート好みの低スピンと操作性

ヘッドはシームレスなコンポジット構造になっており、クラウンは独自素材のポリマーを使った超軽量設計
ヘッド体積280cc/クラブ長43.5インチ
SPEC●ロフト角/13度●ライ角/56度●シャフト(フレックス)/TENSEI 1Kブラック65(S)●重さ/約328g(フレックスS)●8万8000円

フェアウェイウッドの性能に近くて、ティーアップしないで打つことも想定しているミニドライバーです。スピン量が少ないので、ヘッドスピード45m/秒以上のゴルファーが打っても吹け上がらず、低スピンで飛距離をかせげます。また280ccというシャープなサイズになっているので、ドロー、フェードの球筋も打ち分けやすい。

それと、タイトリストらしい正統派の顔で、とにかく構えやすくて顔のよさはナンバー1!アスリートゴルファーにとっては、パー5で2オンを狙うときに最高の武器になるでしょう。

テーラーメイド r7クアッド
初速はナンバー1!飛距離性能が高い

2004年に可変式ウェイトを搭載して大ヒットした「r7クアッド」がミニドライバーとして復活した
ヘッド体積305cc/クラブ長43.75インチ
SPEC●ロフト角/11.5、13.5度●ライ角/57度●シャフト(フレックス)/2025 r7QMD ディアマナシルバーTM55(S)●重さ/約318g(フレックスS)●価格/8万8000円

いちばん驚いたのは、飛距離性能です。ミニドライバーは長さが43.5インチ前後なので、一般的なドライバーに比べると飛距離は落ちますが「r7クアッド」はドライバーに近い飛距離が出ていました。ボールスピードは今回打ったミニドライバーのなかでもナンバー1。

ミニドライバーブームの火つけ役となったメーカーだけに完成度も高いし、もっとも万人向け。4つのウェイトによって弾道を調整することも可能。往年の「r7」を彷彿させるシブいデザインもベテランゴルファーにはたまらないでしょう。

テーラーメイド バーナーミニドライバーカッパー
レトロな雰囲気に最先端のテクノロジー

高い反発性能を誇るZATECH素材をフェースに採用。前方こ13gと後方の5gのウェイトを入れ替えて重心位置を調整できる
ヘッド体積304cc/クラブ長43.5インチ
SPEC●ロフト角/11.5、13.5度●ライ角/57度●シャフト(フレックス)/USTマミヤPROFORCE 65 M40X JP SPEC(SR、S)●重さ/約331g(フレックスS)●価格/7万1500円

はじめて購入する人に、最初に打ってほしいミニドライバーがコレ。すべてのミニドライバーの中間的なサイズ、つかまり、重さ、弾道になっているので、ミニドライバー選びの指標になると思います。レトロな雰囲気のデザインですが、ツイストフェースや貫通型スピードポケットという最先端のハイテクノロジーを搭載しています。

マルチマテリアル設計にもなっているので、見た目以上に慣性モーメントは高い。特徴的なKソールデザインになっているので、地面からのショットも打ちやすいヘッドです。

PXG シークレットウェポン
クセがなく1球目からナイスショット!

同社の3番ウッドと比較したときにボールスピードが1.3m/秒伸びて、スピン量が300回転も減少する結果になった
ヘッド体積300cc/クラブ長43.75インチ
SPEC●ロフト角/13度●ライ角/58度●シャフト(フレックス)/ディアマナV3 PXG 60(S)など●重さ/210g(ヘッド単体)●価格/7万7000円

とてもいい意味で、クセのないミニドライバーです。純正シャフトとヘッドのバランスがいいので1球目からナイスショットが打てました。幅広いゴルファーにとって打ちやすいクラブになっています。ヘッド体積は300ccに抑えられていますが、かなり重心が低くて見た目以上に慣性モーメントが大きいのでミスヒットにも強い。

やさしいだけではなく、ボール初速も速い。ロフトが13度なのでセカンドショットでも使えますし、ティーアップしたときでも構えやすくて安心感のある形状になっています。

ヤマハ インプレスドライブスターステディバージョン
長さがミニ!1Wが苦手な人にオススメ

重さが280g台になっているので、ヘッドスピード40m/秒未満のゴルファーが振りやすい
ヘッド体積460cc/クラブ長43.5インチ
SPEC●ロフト角/11.5、12.5度●ライ角/61度●シャフト(フレックス)/スピーダーNX for ヤマハTM-425D(R、SR、S)など●重さ/287g(フレックスS)●価格/9万7900円~

「長さが「ミニ」の短尺ドライバーですが、43.5インチになると、460ccのヘッド体積は通常のフルサイズヘッドのドライバーと比較しても安心感が大幅にアップします。そのヘッド体積によって、ほかのミニドライバーよりも慣性モーメントははるかに大きい。

オフセンターヒットしたときの安定感は抜群です。ただし、43.5インチで460ccは、ヘッドスピードを上げにくくなるため飛距離性能はそこまで高くありません。飛ばしたいという人ではなく、ドライバーが苦手なゴルファーにオススメのクラブですね。

コンポジットテクノ FIRE EXPRESS SコンセプトMD
ミニドライバー専用シャフトも誕生!

ヘッド体積が小さくて重心距離が短いヘッドを想定し、中弾道でコントロール性を高めるシャフトを“ミニドライバー用として開発した
SPEC●フレックス/R、SR、S、SX●価格/4万6200円※9月末発売予定

コンポジットテクノから発売される「SコンセプトMD」は、史上初の“ミニドライバー専用設計”のカスタムシャフト。ドライバー用のシャフトを短くしたり、フェアウェイウッド用のシャフトを挿すのではなく、最初から43.5インチ前後の長さで組むことを前提に開発。切り返しの挙動が安定し、インパクトでフェースをスクエアに戻しやすい。

最大の特徴はフレックスによって個性が違うこと。SとSXはアスリート仕様のしなりを抑えた設計で、RとSRは適度にしなることによって高さを出しやすくなっています。

ミニドライバーの試打はココに注意!
計測だとボールスピードは速いでも、コースでのキャリーは・・・・・・

最近はクラブを購入する前に試打をして弾道データを調べる人が多いと思いますが、ミニドライバーの弾道データは、コースでのショットよりも数値がよくなる傾向が強いです。計測上では標準のドライバーより飛距離が出るケースもあります。

なぜミニドライバーは計測結果がよいのか?その理由はヘッド重量が重いことによってボールスピードが上がる。さらに、重心が浅いのでインパクトロフトが適正になりやすい。クラブが短いので芯に当たりやすくミート率もよくなりやすいのです。

でも、実際にコースで打つと43.5インチのミニドライバが45.5インチのドライバーほどのキャリーが大きく出ることはほとんどありません。計測して購入する際は、それを踏まえて選ぶことも大切ですね。

「私も270ヤード以上飛ぶデータが出ましたが、実際のコースではミニドライバーでこの飛距離は出ません」

いかがでしたか? 気になるミニドライバーはありましたか?

試打•解説=鹿又芳典
●かのまた・よしのり/多くのゴルフメディアで活躍する人気クラブコーディネーター。現役ツアープロのクラブ調整やサポートだけでなく、ジュニアゴルファーの育成にも注力している。

構成=野中真一
写真=田中宏幸
協力=ジャパンゴルフスクール

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