
アプローチはフィニッシュで打ち分ける!上げる、転がすも自由自在
アプローチは状況に合わせて「寄る球筋」を打ち分ける必要がある。
打ち分けは、軌道やフェースコントロールを変えるのが常識だが「フィニッシュの形を決めて、そこに向かっていけば意図した球筋が打てますよ」と今野一哉。
それも普通のフィニッシュではなく、大袈裟に動いた “オーバードゥ”で形を作るといいそうだ。
打ち終わったあとに大袈裟な形を作ろう!
ヘンテコな形だが、試してみるとあら不思議!球筋が簡単に打ち分けられるぞ。
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フック回転をかけて前に進む球を打つ


寄る球筋の打ち分けは、弾道の高低だけでなく、ボールの横回転まで意識してください。スタンダードなピッチ&ランでも「高いドロー」をイメージするのが超オススメ。ボールが落ちてからしっかりランが出てラインに乗る。ショートしない「前に進む球」は、多くのトッププロも多用している寄せ技です。
ハイドローを打つためのオバードゥのフィニッシュの形を作るうえでのポイントは6つ。ボールを高く上げるために、手元とヘッドを高く上げる。ドロー回転をかけるために体よりも手、手よりもヘッドを先行させてフェースを大きく返します。
実際に打ったときはこの形にならなくてもOKですが、イメージすることはとても大事!打つ前に「この形を作る!」とフィニッシュを予行練習しておくのもいいですよ。
ハイドロー(ベースとなるピッチ&ラン)

→手前のラフを越えるように打ち上げて、ショートさせない
イメージするフィニッシュはこの形!

★ヘッドを高く上げる
★フェースを地面に向ける
★体よりも手元、手元よりもヘッドが先行
★クラブが左方向を指す
★右ヒザを右斜め前に出す
★左カカト、右ツマ先体重

体よりも手元、手元よりもヘッドを先行させることでフェースが返る。軌道はインサイド・アウトだが、ヘッドを返すのでクラブは左を指す。曲げたい方向にクラブを向けるのもポイント。

高く上げるため左カカト・右ツマ先体重の右軸でフィニッシュ。右ヒザを右前に出すと左肩が上がり、アッパーカットの軌道になる。
スライスをかける意識ももつ


高さをしっかり出して、スピンもかけてピタッと止める球筋は、スライスを打つ意識ももってください。高く上げるためにヘッドを高く上げて、右ヒザを右斜めに出すのはハイドローと同じです。ハイドローと異なる点は、ヘッドより手元、手元よりも体を先行させる体の回転のリード。フェースを返したくないので、ヘッドが左ヒジを追い越さないように振り切る。こうするとアウトサイド・インのカット軌道と併せて、ハイスピン・ハイボールの球筋が打てます。
イメージするオーバードゥのフィニッシュは、体を回せるだけ回す。手元はヘッドと一緒に高く上がっていきますが、左ヒジを背中まで引いて開いたフェースを確実にキープする。フェースが自分の顔を向く形を作ってください。
ハイボールスピン(高さとスピンで止める)

→バンカーや深いラフを越えながら、
ランを抑えてグリーンにピタッと止める
イメージするフィニッシュはこの形!

★ヘッドを高く上げる
★フェースを自分に向ける
★ヘッドより手元、手元よりも体が先行
★クラブが右方向を指す
★右ヒザを 右斜め前に出す
★左カカト、 右ツマ先体重

体の回転が最優先。ヘッドが左ヒジを追い越さないようにして開いたフェース向きをキープする。クラブを曲げたい方向(スライスなので右)に向けるとフェースが返るのを防げる。

ボールを高く上げるためにフェースは開く。体を大きく回していきたいので、オープンスタンスで構える。

スタンスに沿って軌道はアウトサイド・イン。終始、振り遅れている感覚をもってフィニッシュに向かおう。
打ったあとのヘッドの高さとフェース向きが大事

上げるアプローチの動きをしている(右)。
ヘッドの位置が低くフェースが閉じている人は、転がしが得意だったりする(左)
球筋の打ち分けはフォローからフィニッシュまでの長いゾーンで、ヘッドの高さとフェース向きを操作したほうが簡単。インパクトの一瞬を意識するよりも、打ったあとにどこに向かって振り出し、どこを向けるのかを意識してください。また、球筋は打ったあとの形に現れるということは、自分のアプローチの傾向を知ることができる。フィニッシュでのヘッドの高さやフェース向きを見ると、自分はどんな球が打ちやすいタイプなのかがわかります。
ドローならスムーズに長く転がる


転がしもフック回転のサイドスピンをかけると、きちんと低く打ち出しながら転がりのいいボールが打てます。ハイドローと同じくフェースを返しながら打つので、オーバードゥのフィニッシュの形は、フェースが地面を向くまでしっかり腕や手首を返す。体の向きはほぼ正面を向けたままでいいので、ヘッドを先行させてフェースをしっかりターンさせてください。
長く転がるローボールを打つので体重は左足荷重。上ではなく低く前に力をかけていくので、右ヒザを左ヒザに寄せるようにして、ヘッドを低く動かし続けてください。
ロードロー(転がし)

→ボールを低く抑えて、手前から転がして寄せる
イメージするフィニッシュはこの形!

★ヘッドをヒザよりも高く上げない
★フェースを地面に向ける
★体よりも手元、手元よりもヘッドが先行
★クラブが左方向を指す
★右ヒザを左ヒザに寄せる
★左足体重

地面を引きずるくらい低く動かすイメージで、フェースを大きく返してフィニッシュ。フェースを返すとロフトが立つので低く打ち出せる。上から打ち込んでロフトを立てるより安全で確実だ。

ローボールのニーアクションは、右ヒザを左ヒザへ寄せながら打つ。体重が左に移り、左軸で打つと出球が低くなる。
落下地点よりも通過地点をイメージする

スライスやドローを意識すると、距離感も合いやすくなります。とくにアプローチが苦手な人は、ボールの落としどころを決めてそこに落とすよりも、空中に立てた的をイメージして、的を通過させる狙い方がオススメ。その的も十字に4分割して、ハイボールスピンなら的の中心から左上、ロードローなら右下を通すように狙うと、意図した球筋を打ちながら距離感が合ってきます。

空中にイメージする的は十字に4分割し、高い球は上、低い球は的の下を狙う。さらに曲げて打つつもりで、スライスは左、ドローは右を狙うと球筋がもっと明確に打ち分けられる。
止まりにくい状況で止められる必殺技


グリーン奥の傾斜など、左足下がりでボールが上げにくい、下り斜面にキャリーさせるので高いボールだと前に跳ねてオーバーしてしまう。そんなときに有効な寄せ技がローボールスピンです。オーバードゥのフィニッシュは、ハイボールスピンとローボールの複合形。スピンをかけるために開いたフェースを終始キープ。アウトサイド・インで振って低いスライスを打ちます。
アウトの高い位置からインの低い位置へと振り抜いていきますが、球の上がりすぎを防ぐのはスタンスとヘッドの高さがポイントです。ハイボールほど体の回転をリードさせないので、フィニッシュに向かって体を回しやすいオープンではなく、スクエアスタンスで構える。振り抜くヘッドはできるだけ低く左へ。実際はヘッドがヒザよりも高く上がってしまっても、意識的にはヒザより下に収めるようにしてください。体の重心ごと低く下げたフィニッシュをとりましょう。
ローボールスピン(低く出て止まる)

→左足下がりなどボールが上がりにくい状況から、スピンをかけて止める
イメージするフィニッシュはこの形!

★右ヒザを左ヒザに寄せる
★ヘッドをヒザよりも高く上げない
★フェースを上に向ける
★ヘッドより手元、手元よりも少し体が先行
★クラブが右方向を指す
★左足体重

スライスを打つがスタンスはスクエアにする(○)。右側が高いライでオープンスタンスにすると右足が邪魔なり、クラブを振るスペースが窮屈になってしまう(×)。

左足下がりなら傾斜なりにスイングすれば、ボールをうまく拾って打てる。傾斜に沿ってとことんヘッドを低く出す。
フィニッシュからの逆回転でトップの位置も自然に決まる

すと、アウトの位置にヘッドが収まる。ここがハイボールスピンの正しいトップポ
ジョン
オーバードゥのフィニッシュから余計な動きを加えず、クラブが動きたい方向に従いながらトップまで振り戻してみましょう。たとえばインサイドに高く上げたクラブは、アウトの低い位置へと戻っていきます。この逆回転でできたトップが、その球筋を打ち分けるための軌道を作る正しいトップになります。
いかがでしたか。フィニッシュに濃い味付けをするとクラブの動きが自然に変わります!
”オーバードゥ”フィニッシュをぜひ試してみてください!

レッスン=今野一哉
●こんの・かずや/1982年生まれ、千葉県出身。小誌で連載中のプロコーチ。東京都・平井駅近くの「子供が主役のゴルフ施設」キッズゴルフクラブを主宰。東京都・幡ヶ谷駅近くのゴルフエイティーンなどでレッスン活動も行っている。キッズゴルフクラブ代表。
構成=野中真一
写真=中野義昌
協力=日神グループ 平川CC
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