
プロツアーの存続が危ない?本当の危機回避に必要なものは…
5月に日本で行なわれた「インターナショナルシリーズ·ジャパン」は、アジアンツアーの単独開催。国内男子ツアーとして、ではなく、ひっそりと開催されたがそれには事情があった。しかし、その事情は果たして正解だったのだろうか?
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ツアー存続の本当の危機回避は“原点回帰”では!?

ハローエブリバディ!今月もズバッ!と斬り込みますよ。さて、「もっとも強い者が生き残るのではなく、もっとも賢い者が生き残るものでもない。唯一、生き残ることができるのは、変化できる者である」とは、英国の自然科学者・ダーウィンの言葉。強者生存ではなく適者生存。
変化することは生き残りの条件であるが、単純に変化さえすれば生き残れるのかといえば、それも違う。大切なのは適時、タイミング、そう【機】を見極めるということ。なぜ、こんな話をするのかというと「瀕死のプロツアーを救う適切な方法」を考えたいからだ。
先日、PIF(サウジアラビア政府系ファンド)が、欧州女子ツアー(以後・LET)に1300万ドル(約19億円)の投資を決定した。PIFはLIVゴルフに資金提供をしている潤沢なオイルマネーのファンド。ただ、今回サウジアラビアが女子ゴルフに試合構築をもちかけるのははじめてではなく、2020年に1試合、2025年は4試合、「アラムコ・チームシリーズ」としてLETでの試合を開催している。
では、なぜPIFがLETを?じつは、LETは存続危機の時期があり、米女子ツアーとの統合の話も浮上したが最終決定の【機】はないままだった。そこにPIFという救世主の登場の【機】が訪れた。ただし、PIFの資金提供が止まればLETの存続は、再度あやぶまれる。危機の本当の回避とはいえないはずだ。
今年、日本国内でアジアンツアーが開催されたことをご存知だろうか?5月第2週に千葉県のカレドニアンGCで「インターナショナルシリーズ・ジャパン」と銘打ってアジアンツアー単独開催での試合が行なわれたが、このシリーズの資金源もPIFだ。
日本ツアー側は喉から手が出るほどほしい賞金と試合数だったが、PIFを敵対視するDPワールド(欧州ツアー)とPGAツアー(米国)とのアライアンスを組んでいるため、勇気をもって共同開催の【機】を踏みとどまった。LETの【機】、日本ツアーの【機】、どちらも正解なのだろうか。生き残りを何にかけるのか?
他国の原資に頼ることが本当に自国のプロスポーツ発展の糧になるのだろうか?資金提供は提供が止まれば、ツアーの存続は不可能であることは一目瞭然である。日本男子ツアーが1番輝いていた90年代前半。そのときの試合構築のスキームは、テレビ用コンテンツのためのプロの試合で、テレビ局、代理店、スポンサードの三位一体だった。
現在、プロスポーツのテレビコンテンツはすでに終わっている。では、どうすべきか?プロゴルフの原点、米ツアーの試合構築方法への原点回帰ではないのか。各地域・地区のオープンの創設。地域の商工会や青年会議所、地場産業、中小企業を巻き込んで数多くのスポンサードの獲得。
少額での長期スポンサードで数10年続く試合の構築。日本ツアーは100年続く米ツアーの試合構築方法を、この【機】を見て変化するのも悪くないはずだ。
いかがでしたか? プロツアーの今後に、目が離せませんね。
タケ小山
●小山武明(こやま・たけあき)/1964年生まれ、東京都出身。プロゴルファー、ゴルフ解説者。テレビ「サンデーモーニング」(TBS)、ラジオ「Green Jacket」(InterFM897)ほか、多数メディアで活躍
イラスト=北沢夕芸
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