
女子プロのアプローチを解説!上げる・転がすを使い分けるコツとは?
アプローチは状況に応じて、上げる球と転がす球を使い分けることがピタリと寄せる秘けつ。
この2種類のアプローチの連続写真を比較して、狙いどおりに打ち分けるポイントを解説する。
アドレスの時点で「上げる」と「転がす」のテイストをきちんと入れる

転がす:右寄りのボールにクラブをセットするとフェースが開くので、ロフトを立たせて構える(下写真)
河野選手の「上げる」と「転がす」アプローチの打ち分けで、最初にポイントとしてあげたいのはアドレスの違いです。球筋を変える場合、アドレスの仕方も変わります。ボール位置とフエースの向きを見てください(①)。
高く上げるときはフェースを開き、ボールを左足寄りにセット。オープンスタンスで構えています(①上)。この構えから手先ではなく、体をしっかり回してクラブを振り上げていくので(②上)、インパクト前のヘッドの入射角はゆるやかになる。
フェースにボールを乗せて高く上げる打ち方ですが、これはボールを下手で投げるような感覚をもってマネてみてください。
転がすアプローチは、右寄りにセットしたボールを低い軌道でロフトを立てて打つシンプルな方法。転がしでも体を回して打つのは「上げる」と同じです。
インパクト(⑤下)では、ハンドファーストになりすぎないように注意してください。手が目標方向に出すぎるとシャンクが出やすくなってしまいます。アドレス時にオープンスタンスにすると腰が少し開きますが、その形をインパクトで再現すれば、強く意識しなくても自然と適度なハンドファーストで打てます。

カット軌道にすれば強く打っても飛びすぎない

転がす(下写真)
林選手の「上げる」のアドレスは、オープンスタンスでボールを体の近くにセットしています(①上)。そこからアップライトのカット軌道でスイング。ボールを上げて寄せたいけど、カット軌道は入射角が鋭角になってヘッドが地面に突き刺さるのが怖い。
だから、ボールから離れて構えてフラットな軌道で振る人が多いですが、林選手のようにインパクトからフォローにかけて腰を回転させ、バックスイングでコックした手首を元に戻して打てば、アップライトなカット軌道でもクラブをきれいに振り抜けます(⑤⑥⑦上)。ボールに近づいて構えるのは、スイングがゆるみにくいからです。上げる球は大きく強く振っても飛びすぎませんから、ゆるまず思い切り振ってください。
転がすときは、アドレスはオープンスタンスですが、カット軌道ではなくインサイド・イン軌道でスイングしていますね(④下)。インサイドからクラブが入っていくと、ヘッドの入射角がゆるやかになり出球が低くなります。
インパクト後は手首のリリースを抑えて、ハンドフアーストの形を保ったままフォローへ。ロフトを立ててボールをヒットできるので、意図したとおりの転がすアプローチが打てます。

手首を支点にクラブを振り子のように動かす

転がす(下写真)
西山選手の「上げる」は鋭角に打ち込まず、入射角がゆるやかになるゆったりスイングでボールを拾って打つタイプですね。特徴的なのは体と腕とクラブを同調させるのではなく、コックを使う。その使い方が抜群にうまいです(③上)。
バンカーやアプローチがうまい人は、手首の使い方が上手な人が多いので参考にしてください。
西山選手のようにコックを使うと手元の動きが小さくなります。これはスイング軌道のバラつきがなくなるのがメリット。手首を支点とした振り子のイメージですね。
アプローチは派手に大きく体を動かすショットではないので、ヘッドの重みを感じながら手首を支点に振り子のようにヘッドを動かしていく打ち方もアリ。やわらかくボールを高く上げることができます。
転がすときは、コックの量が少ないですね。「上げる」のインパクトと比べると、腰がもっと回っている体の回転主体のスイングをしています(⑤下)。右足寄りにセットしたボールをノーコック気味で打つので、ヘッドの入射角はシャロー。
ソールを上手に滑らせて打てる、クラブを低い位置から入れて低い位置へと振り抜く打ち方で転がしています。

いかがでしたか? アプローチを上げる・転がすを使い分けられるよう、練習しましょう。

河野杏奈
●こうの・あんな/1999年生まれ、東京都出身。162cm。7歳からゴルフを始め、ジュニアの大会で優勝。19年のプロテストに合格。ドライバーの平均飛距離は260ヤードと、女子プロきっての飛ばし屋でもある。フリー。

林菜乃子
●はやし・なのこ/1997年生まれ、神奈川県出身。153cm。18年のプロテストに合格し、ステップアップツアーの京都レディースで優勝。20年は開幕戦のアース・モンダミンカップで10位タイに入った。ユピテル所属。

西山ゆかり
●にしやま・ゆかり/1982年生まれ、神奈川県出身。162cm。26歳でプロ入りし、芹沢信雄に師事。13年のmeijiカップで初優勝をはたすと、17年のバンテリンレディスで2勝目をあげる。フリー。

解説=真弓伸仁
●まゆみ・のぶひと/1975年生まれ、神奈川県出身。USGTFティーチングプロ。現在は東京・三鷹市の東京ゴルフスタジオでレッスン中。ゴルフが楽しくなるタイプ別のスイング作りに定評がある。
写真=相田克己、圓岡紀夫
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