シングルプレイヤーが教える“良いスコアで回る方法”!打つ前の考え方が重要

「コラムを書いてほしい」編集者の方に、そうお願いされたのは数日前のことだ。人生において経験のないことでテーマに迷ったが、気の合う友人Aとコンペに行った時のことが思い浮かんだので、お伝えしたい。

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朝イチのミスショット、気持ちに余裕があるはずだったけど、、、

その友人Aは、社会人になってからゴルフをはじめたのだが、ゴルフが大好きだ。定期的にレッスンに通い、ゴルフ中継やゴルフ雑誌、SNSなどでの研究も欠かさない。平均スコアは90前後で、アマチュアゴルファーに一番多くいるタイプと言っても大袈裟ではないと思う。しかし、この日はドライバーの調子が悪そうで、朝イチのショットから右の林の中へ飛んでしまい、ダブルボギーを叩いてのスタートとなった。

Aは、「ここはハンデホールだな!次だ!次だ!」と明るく振る舞いながら楽しくラウンドを続けていたが、その後もドライバーの調子が戻ることは無く、14~15ホール目くらいになると暑さによる疲れも重なり、明るさも消えていった。

「全然ダメだな~」と口に出しながらも同伴競技者に「ナイスショット!」と声をかけ続けるゴルファーの鏡のようなプレー態度はいつも通りだったが、思うようにいかない自分のプレーへの不満と落胆は手に取るようにわかった。おそらく近日中にレッスンへ通いスイングの問題点を見つけることができるだろう。調子を取り戻し80台で回れる日は、すぐに訪れるはずだ。

ミスが出る前提だから、他人よりも気づけた

しかし、私は友人Aがこの日のスコアを10打以上良くするチャンスがあったと思っている。その真意をお話するためにも、ここで少し自己紹介をさせてほしい。

私は10年前まで、レギュラーツアーに上がることの出来ない”そこそこ上手い”プロゴルファーだった。学生時代は勉強に厳しい学校で進級していくことすら難しかったので、毎朝の登校前に1時間ほど早起きして勉強したり、休み時間に宿題をやったりして練習時間の確保を試みていたが、ライバル達が費やす半分の時間くらいしか練習出来なかった。

だが結果的に、今ある実力で最良のスコアを出すための方法を学ぶことが出来たと思っている。それは、ゴルフをやめた今でも生きていて、月に1~2回(練習場へ行っても100球打つことは絶対にない)しかクラブに触ることはないが、フルバックからプレーしてもスコアが75を下回ることはほとんどない。ショットの質は年々下がっているにも関わらずだ。

「ポジティブ」は「ネガティブ」よりマシなだけ、解決にはならない

さて、ここで本題に戻りたいと思う。私が友人Aのプレーを見ていて、最もまずかったと思う点はスイングではない。希望にあふれて放った朝一番のミスショットで、自分がどれくらい動揺し、ショットに不安を抱えていたにも関わらず、”楽しいゴルフ”を信じてポジティブに振舞おうとしてしまったことだ。

友人Aも無策だったわけではない。教わったことや学んだこと、経験から予測されるスイングの問題点を修正しようと試みながら、次のショットへと向かっていた。目標を決め、クラブを決定しイメージしたとおりに思い切ってスイングすることは大切なことだ。しかし、私は今から打つドライバーショットが林に飛び込む可能性を100%排除しようとすることでは、何の解決策にもならないと思っている。

トッププロが打つショットや、絶好調の人が打つショットでも、ミスショットしてしまう可能性は少なからずいつもそばにあるものだ。その前提に立つことこそゴルフには必要なことだと思っている。そしてこれはネガティブシンキングなどではなく”真実”だ。今から打つ自分のショットに起こりうるすべての可能性を理解して、はじめて最良の選択はできる。そして最良の選択は、成功率を飛躍的に上げてしまう魔法のような効果があることを私は知っている。

例えば、この日私のドライバーショットの調子はまずまずだったが、感覚的には成功率6割、失敗率4割といったところだった。そんなとき、友人Aのようなゴルファーは、失敗率4割を無いものにしようとしてしまう。そのため、ナイスショットを信じて打ったときにミスが出てしまうと必要以上に落胆し動揺してしまったり、4割の不安にメンタルが支配されスイングリズムを崩し、6割あったはずの成功率を自ら下げていることに気が付かずにプレーを続けてしまう悪循環にはまっていくのだ。

都合よく考え、素直に信じてみよう

私は、競技者だった当時、誰よりも自分が”常に練習不足”であることを自覚していたので、ミスショットが起きることを予見する必要性があった。なので、私は失敗4割としっかり寄り添う。その上で、ナイスショットを信じて覚悟を決めてスイングすると7~8割の成功率に上がることを私は経験上知っている。覚悟を決めれないほど不安なときは、クラブを変えたり、ハーフスイングにしたり、絶対に6割を下回ることが無いショットを探して打つ。

すると、これもまた7~8割の成功率に上がる。この現象はとても面白い。たぶん、これは脳の錯覚が影響しているのではないかと思っている。友達に悩みを相談して、親身になって話を聞いてもらっただけで気分がラクになった経験は誰でもあると思う。実際に解決していないはずなのに、気持ちが上向き頭がクリアになる。そうすると表情も明るくなり、声に元気が戻ってくる。ゴルフも同じで、まずは自分の不安にきちんと寄り添う。すると気持ちがラクになり結果的にスイングまで良くなってくる。私は、そこにゴルフの面白さと奥深さを感じている。

この作業に卓越してくると様々な応用を利かせることも出来るようになる。たとえばショットの調子がとても悪いとき、いつも通っている練習場で打っている自分を一瞬イメージしてから打つと曲がり幅が少なくなるし、ティーショットでコースが狭く感じたときは左右のO.B.ラインを練習場の左右のネットだとイメージするとフェアウェイに打てる気がしてくる、スイングを変えることなく成功率を自然と上げる方法はいくらでもあるのだ。コツは、脳が都合よく考えている時間はあまり長くないようなので、イメージしたら思い切ってサラッとやってしまうことだ。ぜひ試してみてほしい。

もちろん良いスイングを手に入れることは大切だ。私も昔から自分のゴルフスイングが大嫌いなので、どうしたらカッコよくなるかと今でも悩んでいる。しかし、スイングがカッコよくなくてもスコアアップすることはできるし、調子が悪くてもベストスコアを更新する日だってあるのだ。これからゴルフを”上手くプレーする”ヒントを少しずつ書いてみようと思う。誰か1人でもスコアアップしてもらえることを願って。

岡田豪太
●おかだ・ごうた/1983年生まれ。20歳から30歳までプロゴルファーとして活動しミニツアーで複数回優勝を経験。現在はイベントの運営サポートやライターなど幅広くゴルフ界に関わる

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