
飛ばしたくて力任せに打ってない?ショットが安定するコツは“脱力”にあり
ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。
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リラックスはある意味安定力でもある

毎記事、毎日練習ができない私たちアマチュアゴルファーが、いかにしたら感覚をわずかでも維持できるのか、またはミスの確率を下げられるかを考えてきました。しかし、実際にボールを打つのと違って限界があることも事実です。
そこでもうひとつ別の方策として考えられるのが”リラックスして打つことでショットを安定させる”というもの。ショットに対する向き合い方を変えることで、安定性を求めるということです。
ネットなどで「最近は体力も衰えてきたので、軽いシャフトに替えてみた」という話を目にすることがあります。私は体力には問題がないので、体力の衰えの影響は本当のところは理解できていないのかも知れませんが、クラブの重さを利用すれば、重たいクラブであってもパワーなどは必要なく、楽々打てるはずです。
もし、力まかせのスイングが成り立たなくなってきたのでクラブを軽くした、というのであれば、それはちょっと違う気もします。何をいいたいのかというと、ショットスピードはパワーとイコールではないということ、パワーを抜いてもいいショットは打てるということです。
かつてテニスプレーヤーの錦織圭がなかなか勝てなかったころ、毎ショット全力で返球していたのを、力を抜いてつなげるプレースタイルに変えたら勝てるようになった、という話を聞いたことがあります。テニスのトッププロの痩身のラリーはパワフルですが、決してギャンブルではなく、レッドゾーンに入らない余裕の領域でチャンスを待っている。それはパワーや技術の問題というより、どこか達観した精神的にリラックスした状態でボールを打ち合っているということです。
恐らくニュアンスはゴルフでも一緒のはずで、飛距離を求めるのであっても冷静でリラックス(脱力)した状態でスイングに臨むのと、ガチガチの状態でマン振りするのでは、確率という部分でどうしても違いが出てきてしまうことになります。
スロースタート、クイック加速、スローフィニッシュで打つ
そこで今回は、技術の習得、維持というよりは、精神面からリラックスして安定していい結果を出すためのスイングを考えてみようと思います。
ここでは7番アイアンを用意して、トップから不安定にならないレベルでゆっくりとフォワードスイングに入ってください。このときテニスでするように右ヒジを右ワキ側に引き寄せ、体幹の回転に乗せて押し込んでやると右ワキ腹に押し出されるような安定したスイングが行なえます。
とはいえ、スローなスイングであっても飛距離はしっかり7番アイアンでのフルショットのキャリーを目指します。そのために必要なのは、インナーカウンターによる強めの左手ブロックでの二重振り子運動で、一気に自然に加速させることです。
ただ、この加速も左前腕とシャフトが一直線になるインパクトまで、インパクトではフェースをターゲット方向に向けて一瞬固定し、ハンドファーストでボールをぶ厚くとらえます。以前の記事で図示したように、インパクト後も手首は固定した状態から返さず、体幹にスクエアな状態で回転させ振り抜きます。インパクト前のスイングアークは右ヒジがある意味起点になるのでコンパクトになり、インパクト後は若干大きくなるイメージで胸をターゲット方向に向けてリラックスしてフォロースルーへ。
ここでは、最後はライン出しのコントロールショットのように浅いフィニッシュにしたあと、刀を鞘に納めるようにグリップエンドをゆっくり右ワキ腹に引き寄せて終わらせます(イラスト参照)。ここで手首を返してしまうと、右ワキ腹に引き寄せられないので確認をしてみてください。
ここで重要なのは、フォワードスイング(構えてからボールに当たるまでの動作)をゆっくりはじめていることです。
静止状態からしっかり打つことを意識すると緊張してしまうものですが、自動車レースのローリングスタートのように、すでに動いている状態から左手ブロックで一転加速に転じられるため脳に考える暇を与えず、自然な加速ができます。これはテニスのラリーのときに強いボールがくるほど、反射的にいいボールが打てるのと同じで「反射」が本能的に正しいスイングを導いてくれるのです。
また、加速は左手ブロックの強度調節というごく小さな範囲でのコントロールで済むので再現性が高まる。インパクト後は脱力・リラックスしてフォロースルーを行ない、最後に右ワキ腹にゆっくり引き寄せることで、緩急緩のリズムでスイングを終わらせることができます。このスイングではパワーではなく、緩急・強弱のリズムの制御で加速して打てるようになる。
リラックスした状態でフルショットが安定したら、今度はインパクト圧(左手ブロックの強度)の調節でフルショットから20、40ヤード飛距離を抑えたマイナスの縦方向の距離を打ち分けてみてください。ここまでできれば、狙ったところに余裕をもって文字どおり「投げるように打つ」感覚がみえてくると思います。
いかがでしたか? リラックスして打つことをぜひ意識してみてください。

文・イラスト=サンドラー博士
●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。
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