女子プロ3人が全米プロを観戦!男子のプレーを見て何を思う?

全米プロ選手権の取材・撮影時に日本人らしい女性を発見。よ~く見るとよく知る女子プロたちだった。そんな彼女たちに「男子を見た感想」を聞いてみた!

全米プロを観戦!男子のプレーを見て女子プロは何を思う?

全米プロ選手権の初日、午後スタートの松山英樹の組には大勢のギャラリーが集まった。そのなかに竹田麗央、吉田優利、勝みなみの姿が。全米プロの週は米女子ツアーの試合がないオープンウィークだったため、3人は普段観戦できる機会の少ない男子ツアーの試合を見にきていたのだ。お目当ては松山のほか、ブライソン・デシャンボーといった人気選手で、1番のティーイングエリアの大勢のギャラリーの隙間からティーショットを凝視。その後もラウンドについて歩いた。

ちなみに、竹田、吉田、勝の3人は示し合わせたわけではなく、会場に着いたらたまたま一緒になり、それぞれ観戦を楽しんでいたが、その様子はまるで遠足を楽しむ小学生のようだった。そんな彼女たちを見て、ふと「女子プロゴルファーは、男子プロの試合を何を感じながら観戦しているのだろうか……」というのが気になり、後日、女子ツアーのKPMG全米女子プロの会場を尋ねた際に聞いてみた。

試合観戦中の竹田は、スマホで動画を撮影するなど男子選手のプレーに興味津々で、とても楽しそうなのが表情からも伝わってきた。そんな竹田は、すでに米女子ツアーでも優勝し、次はメジャー優勝を視野に入れているが、男子のプレーを見て「すごかったです。アプローチをフワッと上げる打ち方などがとくにすごい。

自分はいつもスイングテンポが早くなっちゃう傾向があるので、そういうところも参考にしたいです」と、男子選手の技術を自分のゴルフに取り入れようとしていた。「歩いて観戦することがないので、とても新鮮だった」と語る吉田は、普段は味わえないギャラリー目線を楽しんでいた。「ロープ外から見ると、パットはこんなに曲がるんだ!とか、ギャラリーでの目線で見ることができたし、普段、私もギャラリーにはこんなふうに見られているのか、というのもわかりました」。

また、松山のプレーに関しては「球が速くて見えない! すごいね、すごいね、とずっといっていました」と、同じプロなのにアマチュアゴルファーのような感動を抱いていたのがおもしろい。ちなみに「男子のプレーから取り入れたい技は?」との質問には「無理です!何もマネはできません」とのことだった。そんな吉田と一緒に観戦した勝は、ロープの外から試合を観るのは日本を含めてはじめて。

第一印象は「人の多さとゴルフのスケールの大きさに驚いた」で、「あれだけ飛距離が出るのに、球のコントロールとか細かい部分がうまい。男性のほうがイメージの出し方だったり、その上で体を動かす技術だったりとかが長けているのかな、と思いました」とのこと。

練習場での観戦では「インパクトの音が好き。みんな乾いた音がする。アイアンで力があるのにターフが薄かったり、球の曲げ方によって、ヘッドの入れ方が違っていたり、その意識がすげーと思いました」と、プロらしい感想を述べた。勝にも「男子プロの技術で参考になったことはあるか」と質問したが「ない!」と即答。「男子と女子では全然違う。参考にしようと思って観戦に行きましたが、やっぱり男子ツアーはショーだな、と途中から見方を切り替えました」。

しかし、「ティーショットとかで、ここでこのクラブを使うんだ、というようなところはすごい参考になりました。ほかの選手がドライバーで打っているところをアイアンで打つのは、自分の得意な距離だったり、納得できる距離だったり、狙っている距離を残すという判断力は男子のほうが高いと感じ、そこは自分が取り入れるべきところだと思いました」と、レベルアップに貪欲な見方もしていた。

感じたことは三者三様だったが、今回の貴重な体験は、きっと彼女たちのこれからの活躍の糧になるだろう。

全米プロを勝みなみ、吉田優利、竹田麗央が観戦中!

全米プロを観戦中の米女子ツアーに参戦する日本人3選手。ギャラリーなので私服姿だったが、ギャラリーらしいラフな服装がとても新鮮だった

いかがでしたか? 各選手の活躍から目が離せませんね!

フォトグラファー 田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓 
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

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