このボール、セーフ?OB?米女子ツアーのシビアな判定を突撃取材

OBライン(境界線)は「杭を結んだライン上」と理解している人が多いが、じつはもっとシビアなルールがある。それを垣間見たシーンに突撃!

【関連記事】まさに「全アマチュア向け」! 飛ばせる“限定シャフト”がついに発売開始!

このボール、セーフ?OB?

EPSONツアー(米女子下部ツアー)「ワイルドホース女子ゴルフクラシック」(8月15~17日・オレゴン州)の最終日、同ツアーで奮闘を続ける谷田侑里香は16番(パー3)でホールインワンを達成。同組の選手も別のパー3でホールインワンを出しており、この日の注目組となっていた。そんなイケイケムードの谷田だったが、18番のティーショットは左に曲がり、ボールはOBゾーンの境界を示す白杭の近くに止まった(写真①)。暫定球をフェアウェイに置いたのち、谷田は1打目のボールを確認しに行くと、かなり際どい場所にあったのでルール委員を呼んだ。

OBラインは「ボールを挟んだ2本の白杭を結んだ線」となるのだが、その線が地面には引かれていない。ただ、谷田のボールは2本の白杭を結んだライン上にあるようには見える。そのOB杭は、写真のように見慣れたものよりかなり背が高く、形状も筒状で、さしずめ杭というよりも“OBボール”といったところ。しかも、その筒は直径5センチくらいあって、けっこう太い。

白杭の太さがOBラインだと考えると、ボールは確実に5センチの線上にある。だからセーフ!と思いきや・・・・・・、現場に到着したルール委員はあらゆる方向から目視したあと、カートから細いロープを取り出した(写真②)。そのロープをボールを挟んだ2本の白杭に結びつけると、真っすぐに引っ張って直線を作り、白杭に結んだロープの位置を調整してロープのラインを白のフェアウェイ側に寄せている(写真③④)。

この確認の仕方だと、谷田のボールはロープに触れていない。距離にするとわずか2センチ「ロープよりも外側(OBゾーン側)」にある(写真⑤)。結果、このロープのラインを基準として、谷田の第1打は「OB」と判断された。

これは私もカン違いしていたことなのだが、地面にOBラインを示す白線が描かれていた場合、ボールがその白線に少しでも触れていれば「インバウンド=OBではない」。白線が描かれていない場合は、直近の2本のOB杭を結んだ線がOBラインとなるが、そのラインは杭の太さに関係なく「杭のコース側の側面から伸びる線」と規定されている(写真⑥)。そのため、ルール委員は細いロープを取り出して判定したのだ。

第1打がOBと判定された谷田は、暫定球でプレーを続行。3打目となってしまったが、気持ちを切り替え前向きな姿勢でプレーを続けているように見えた(写真⑦)。ホールアウト後、谷田のキャディはがっくりと肩を落とし、同組の選手のキャディに励まされていたが、谷田はコースに深々と一礼(写真⑧)。その姿に好感をもった。

カップの大きさは10.8センチ。ボール大きさは42.67ミリ。100ヤード以上も離れた場所から、わずか10センチのカップに入ることもあれば、たった2センチでOBになってしまうのもゴルフの現実。アマチュアのプライベートラウンドなら、OB杭を結んだ線上から出ていないように見えるなら「オッケー!」といってプレーしてしまうが、プロの世界は本当に厳しいものなのだ。

いかがでしたか? 実はシビアなルールがあるのです。

フォトグラファー田辺安啓(通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。

取材・写真=田辺安啓
TEXT&PHOTO Yasuhiro JJ TANABE

【あわせて読みたい】

旅好きゴルファー必見!タイのリゾートで優雅なコンペ!

“激スピン”で話題のウェッジを石井良介が試打!即買い換えることに…!?

竹村真琴、“初の写真集”が発売!

関連記事一覧