
女子プロ15人の最新セッティング!専門家がトレンドを詳しく解説
ベテラン、中堅、初優勝した選手まで。女子プロのセッティングには、鹿又も驚く新しいトレンドがあった!※選手の成績やデータは10月11日現在
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セッティングが「男子プロ化」した!?

今季の女子ツアーで活躍している約20人のセッティングを見て、いちばん驚いたのはフェアウェイウッドが1本だけの選手が約4割もいたことです。数年前であれば3、5番はもちろん、7番や9番ウッドを使う選手も多かった。しかし、今季好調の神谷そら選手、菅楓華選手、稲垣那奈子選手などは3番ウッドしか入れていません。
その要因としては、女子プロのヘッドスピードが速くなったことがあげられます。年間の平均飛距離を調べると2017年は、平均飛距離250ヤード以上の選手が6人でしたが、2025年は12人もいます。スピード、パワーが上がったことでショートウッドよりもユーティリティや5番アイアンのほうが、グリーンを狙いやすくなった。女子プロのセッティングが、男子プロに近づいてきたといえるでしょう。
ドライバーは「TR」。3Wだけ前作

「ZXiシリーズ」で唯一450ccのドライバーで、重心距離がもっとも短い「TR」。ドライバー、UT、アイアンは最新モデルだが、3Wだけは前作を継続使用している。

200ヤードを超える長い距離の2打目は、3Wのみで対応。打球痕はややヒール寄り

ドライバー:ダンロップスリクソン ZXi TR(ロフト角/9度、シャフト/テンセイプロブルー1K・50-S)
3W:ダンロップスリクソン ZX MkⅡ(ロフト角/15度)
3、4、5UT:ダンロップスリクソンZXi(ロフト角/19、22、25度)
#6-PW:ダンロップスリクソンZXi5(シャフト/N.S.プロ850GH neo・S)
GW・AW・SW:クリーブランドRTZ(ロフト角/48、54、58度)
パター:オデッセイ トライビーム#2

菅楓華
●すが・ふうか/2005年生まれ、宮崎県出身。「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」優勝。ニトリ所属。
ツアーNo.1の飛ばし屋は「◆◆◆」

クラブ契約フリーの神谷は、ドライバーも3Wも「エリートトリプルダイヤモンド」を使用。ドライバーの平均飛距離は262ヤードでツアーNo.1。

打球痕がやや上下に広がっていて、3Wの球の高さを意図的にコントロールしている

ドライバー:キャロウェイエリートトリプルダイヤモンド(ロフト角/9度、シャフト/ベンタス ブラック・5-X)
3W:キャロウェイエリートトリプルダイヤモンド(ロフト角/15度)
3UT:キャロウェイAPEX UW(ロフト角/19度)
4UT:タイトリストGT3(ロフト角/21度)
#5:キャロウェイXフォージドスター
#6-PW:キャロウェイXフォージド(シャフト/ダイナミックゴールド105・S200)
GW・AW・SW:タイトリストボーケイSM10(ロフト角/48、54、58度)
パター:オデッセイAi-ONEジラフビームジェイルバードミニ

神谷そら
●かみや・そら/2003年生まれ、岐阜県出身。今シーズンは2勝をあげる。郵船ロジスティクス所属。
ウエッジは6度から4度ピッチの時代に

フェアウェイウッドを1本もしくは2本にしたことで、ウエッジを3本にする選手が増えました。10年前の女子ツアーは52度と58度が定番でしたが、今は48度を入れたウエッジ3本セットで、ロフトピッチは6度から4度間隔が主流に。48度が必要な理由は、アイアンのストロングロフト化です。最近のアイアンはPWのロフトが44度前後なので、その下が52度だと飛距離があきすぎてしまいます。
男子ツアーで増えた60度のウエッジを使う選手はほとんどいませんね。60度はスピードとパワーが必要なので、女子プ口だと使いこなしにくいクラブになってしまいます。
「アイアンの延長で打ちやすい」

昨年のTOTOジャパンクラシックから「OPUS」ウエッジを使っている河本は「アイアンの延長で打ちやすいのが気に入っています」とコメント。

河本のウエッジはノーメッキ。フェースの下側にも打球痕があり、低い球のアプローチも打っている

ドライバー:キャロウェイ エリート トリプル ダイヤモンド(ロフト角/9度シャフト/スピーダー NX バイオレット・50-S)
3(HL)W:キャロウェイ エリート(ロフト角/16.5度)
3・4UT:キャロウェイ XROS(ロフト角/19、22度)
#5-6:キャロウェイ APEX プロ(シャフト/N.S.プロ 850GH・S)
#7-PW:キャロウェイ APEX TCB(シャフト/N.S.プロ 850GH・S)
GW・AW・SW:キャロウェイ OPUS(ロフト角/48、52、58度)
パター:オデッセイ ホワイト・ホットOGロッシー

河本結
●かわもと・ゆい/1998年生まれ、愛媛県出身。「北海道meijiカップ」の優勝で通算3勝目をマーク。RICOH所属。
54、58度だけHグラインド

3本のウエッジは同じ「s159」だが、54度と58度は新形状のHグラインド。トレーリングエッジを落とした、テクニックを活かしやすい形状を選択。

トゥ側に打球痕があるのは、意図的に芯を外して距離を落としている可能性が高い

ドライバー:ピンG430 MAX 10K(ロフト角/9度、シャフト/N.S.プロレジオフォーミュラMB+・S55)
3・5W:ピンG440MAX(ロフト角/15、19度)
4・5UT:ピンG440(ロフト角/23、26度)
#6-PW:ピン ブループリントS(シャフト/N.S.プロ プロトタイプ・S)
GW・AW・SW:ピンs159クロム(ロフト角/50、54、58度)
パター:ピンスコッツデールDS72

佐久間朱莉
●さくま・しゅり/2002年生まれ、埼玉県出身。今季3勝でメルセデスランキング1位。大東建託所属。
開幕戦から新作ウエッジを投入!

ウッド、アイアンなどは前作の「ZX5 MkⅡ」を使っているが、ウエッジは開幕戦から新作の「RTZ」を投入。スピン性能と「顔」が気に入っているそうだ。

フェースにある斜めの打球痕は、カット軌道でスピンをかけるアプローチを多用している証拠

ドライバー:ダンロップスリクソンZX5 MkII(ロフト角/10.5度、シャフト/アッタス キング・5S)
3・5W:ダンロップスリクソンZXMkⅡ(ロフト角/15、18度)
4・5UT:ダンロップスリクソンZXMkII(ロフト角/22、25度)
#6-PW:ダンロップスリクソンZX5MkⅡ(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
GW・AW・SW:クリープランドRTZ(ロフト角/48、52、58度)
パター:オデッセイトリプル・トラックTEN

安田祐香
●やすだ・ゆうか/2000年生まれ、兵庫県出身。「富士フイルム・スタジオアリス女子オープン」優勝。NEC所属。
3本ともハーフキャビティ

「アプローチが苦手だった」と語っていた稲垣だが、今季はプロには珍しい、寛容性の高いハーフキャビティのウエッジ「T-3」を使ってプロ初優勝をゲット。

稲垣の打球痕は全体的にややトゥ側。58度のソールは三日月型のCグラインドを使用

ドライバー:ミズノST-X(ロフト角/9.5度、シャフト/スピーダーNXゴールド・50-S)
3W:ミズノプロトタイプF121(ロフト角/15度)
3・4・5UT:ミズノJPX FLI-HI(ロフト角/19、22、25度)
#6-PW:ミズノM-13(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
GW・AW・SW:ミズノT-3(ロフト角/48、54、58度)
パター:オデッセイAi-ONEジェイルバードMINI

稲垣那奈子
●いながき・ななこ/2000年生まれ、埼玉県出身。プロ2年目で同期いちばん乗りの初優勝を飾った。三菱電機所属。
飛ばし屋も人気シャフトにチェンジ

飛ばし屋の穴井のドライバーのシャフトは、今季前半は「べンタスブルー」を使用していたが、女子ツアーでの使用率の高い「スピーダーNXゴールド」にチェンジした。

今季後半戦から使いはじめた「APEXUW」。新作モデルなので打球痕はほとんどついていない

ドライバー:テーラーメイドQi35LS(ロフト角/9度、シャフト/スピーダーNXゴールド・50-S)
3・4W:テーラーメイドQi35(ロフト角/15、16.5度)
4UT:キャロウェイAPEXUW(ロフト角/19度)
5UT:キャロウェイローグ(ロフト角/24度)
#5-PW:ミズノJPX921ツアー(シャフト/KBSツアーFLT・S)
AW・SW:クリーブランドRTZ(ロフト角/52、58度)
パター:L.A.B.GOLF OZ.1i

穴井詩
●あない・らら/1987年生まれ、愛知県出身。37歳で平均飛距離260ヤード以上を放つ飛ばし屋。GOLF5所属。
10年以上前から4、5UTを使用

2014年のプロデビュー直後から4、5UTを使用し続けている。今年は2年間使っていた「G430」から新作の「G440」のユーティリティにスイッチ。

ユーティリティの精度に定評がある鈴木。打球痕はフェースセンターにそろっている

ドライバ―:ピンG440LST(ロフト角/9度、シャフト/ALTA J CB SLATE・S)
3W:ピンG440LST(ロフト角/15度)
5W:ピンG440MAX(ロフト角/19度)
4・5UT:ピンG440(ロフト角/23、26度)
#6-PW:ピンブループリントS(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
GW・AW・SW:ピンs159(ロフト角/50、54、58度)
パター:ピン スコッツデールDS72

鈴木愛
●すずき・あい/1994年生まれ、徳島県出身。「ニトリレディス」優勝でツアー通算21勝。セールスフォース所属。
5UTと6UTで別モデルを使用

プロ1年目、新人選手の吉田は5UTが23年モデルの「パラダイム」、6UTは24年モデルの「パラダイムAi SMOKE」と別モデルを使っている。

ドローヒッターの吉田だが、ユーティリティではフェードボールも打っていて、ややヒール側の打球癖もある

ドライバー:キャロウェイ エリート トリプルダイヤモンドTD(ロフト角/9度、シャフト/スピーダーNXバイオレット・40-S)
3・7・9W:キャロウェイエリート(ロフト角/15、18、21度)
5UT:キャロウェイパラダイム(ロフト角/24度)
6UT:キャロウェイバラダイムAi-SMOKE(ロフト角/27度)
#6-PW:キャロウェイXフォージドスター(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
AW・SW:キャロウェイOPUS(ロフト角/50、58度)
パター:オデッセイジラフビーム#7

吉田鈴
●よしだ・りん/2004年生まれ、千葉県出身。期待のルーキー。今季最高は7位タイ。大東建託所属。
ロフト28度の6UTを活用

ジュニア時代からテーラーメイド一筋。2023年シーズンからいち早く6UTを使いはじめ、昨年はもっとロフトの寝ている7UTを使う試合もあった。

5、6UTは最新モデルの「Qi35」。フェースの上側を使ってロースピン系の弾道も打ち分けている

ドライバー:テーラーメイドQi35(ロフト角/9度、シャフト/スピーダーNXバイオレット・50-SR)
3(HL)・7・9W:テーラーメイドQi35(ロフト角/16.5、21、24度)
5、6UT:テーラーメイドQi35MAX(ロフト角/27度、31度)
#6-PW:テーラーメイドP770(シャフト/MCI・70-S)
GW・AW・SW:テーラーメイドミルドグラインド3(ロフト角/50、54、58度)
パター:テーラーメイドスパイダーツアーX

山内日菜子
●やまうち・ひなこ/1996年生まれ、宮崎県出身。ショートゲームを武器に通算2勝をマーク。ライク所属。。
150ヤード以上からパーオンできるクラブ
女子ツアーで活躍するにはパーオン率を高めることが重要で、ポイントランキング上位選手の多くはパーオン率トップ10に入っています。
パーオン率の差がつくのは150から200ヤードのショット。そこでカギになるのがユーティリティです。「日本女子オープン」で優勝した堀琴音選手は「私の生命線はユーティリティです」といっていました。堀選手以外にもユーティリティを重視する選手は多く、7割以上がユーティリティは2本以上。番手を見ると、ほとんどが5UTを入れています。
かつての5UTはお助けクラブ的な存在といわれていましたが、今では鈴木愛選手のようなベテランから、飛ばし屋の穴井詩選手、ルーキーの吉田鈴選手など、さまざまなタイプが使うマストクラブになっています。
昨年の3勝に貢献したエースパター

昨年の初優勝から3勝目までパターはブレード型の「ピンPLDミルドアンサー2」。昨年の最終戦ではロフトを1度寝かして4度にしていた。


ドライバー:ブリヂストンBX1 LS(ロフト角/9度、シャフト/ディアマナBB・53-S)
3W:ブリヂストンB1ST(ロフト角/15度)
3・4UT:ブリヂストンB2HY(ロフト角/19、22度)
#5-PW:ブリヂストン241CB(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
GW・AW・SW:ブリヂストンBRM2(ロフト角/48、52、58度)
パター:ピンPLDミルドアンサー2

桑木志帆
●くわき・しほ/2003年生まれ、岡山県出身。昨年3勝、今季もトータルドライブ1位。大和ハウス工業所属。
2020年モデルの人気ブレード

金澤の初優勝に貢献した「オデッセイホワイト・ホットOG#1WS」。2020年モデルだが、今でも女子ツアーで使用者が多い人気のブレード型。


ドライバー:本間ゴルフTR20(ロフト/9.5度、シャフト/ディアマナBF・50-S)
3・5・7W:本間ゴルフツアーワールドGS(ロフト角/15、18、21度)
5・6UT:本間ゴルフツアーワールドTW717(ロフト角/25、28度)
#7-PW:本間ゴルフツアーワールドTW757Vx(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
GW:本間ゴルフツアーワールドTW-W(ロフト角/48度)
AW・SW:フォーティーンRM-22(ロフト角/50、56度)
パター:オデッセイホワイト・ホットOG#1WS

金澤志奈
●かなざわ・しな/1995年生まれ、茨城県出身。プロ9年目での初勝利をメジャー優勝で飾る。クレスコ所属。
ワイド系のブレード型が人気
今年のパターといえば、ゼロトルクが大きな話題になりました。また、ここ数年のトレンドでも大型マレットが主役でしたが、今の女子ツアーはブレード型に回帰する選手が増えています。ブレード型の利点は操作性のよさ。金澤志奈選手が使っているような少し幅広のブレード型は「昔ながらのブレード型」よりも安心感・寛容性があるのが魅力です。
2本の6UTはロフト違い

2本の6UTを入れているが「Z H65」はロフト28度、「ZX」はロフト28度を30度に調整して、実際には7UT相当として使っている。



ドライバー:ダンロップ新ゼクシオ(ロフト角/10.5度、シャフト/ベンタスレッド5-R)
3W:ダンロップ新ゼクシオ(ロフト角/15度)
7・9W:ダンロップゼクシオテン(ロフト角/18、20、23度)
5・6UT:ダンロップスリクソンZH65(ロフト角/25、28度)
6UT:ダンロップスリクソンZX(ロフト角/30度)
#8:ダンロップスリクソンZX5MkⅡ(シャフト/N.S.プロ750GHラップテック・S)
#9・PW:ダンロップスリクソンZX7MkⅡ(シャフト/N.S.プロ750GHラップテック・S)
AW・SW:グラインドスタジオプロトタイプ(ロフト角/50、58度)
パター:オデッセイホワイト・ホットOG#1WCS

青木瀬令奈
●あおき・せれな/1993年生まれ、群馬県出身。ツアー通算5勝、10年連続シードの実力者。リシャールミル所属。
ウエッジは新作の「OPUS SP」

シーズン途中から3本のウエッジを新作「OPUS SP」にスイッチ。「前作よりもスピン性能が大幅に上がったのですぐに変えました」とコメント。

ドライバー:キャロウェイエリートトリプルダイヤモンド(ロフト角/9度・シャフト/スピーダーNXゴールド・60-S)
3W:キャロウェイエリート(ロフト角/15度)
UW:キャロウェイAPEXUW(ロフト角/23度)
5UT:ピンG440(ロフト角/26度)
#5-PW:キャロウェイXフォージドMAX(シャフト/N.S.プロ850GH・S)
GW・AW・SW:キャロウェイOPUSSP(ロフト角/48、52、58度)
パター:オデッセイホワイト・ホットOG7BIRD

青木香奈子
●あおき・かなこ/2000年生まれ、宮崎県出身。ルーキーイヤーはステップアップツアーで初優勝。マイナビ所属。
ゼクシオの新作を即投入!

ドライバーとFW、UTは、今年リニューアルされた「新ゼクシオ」をすぐに試合で使いはじめ、「ヘッドスピードが上がりました」と高評価のようだ。

ドライバー:ダンロップ新ゼクシオ(ロフト角/8度、シャフト/テンセイプロホワイト1K・50-S)
4・7W:ダンロップ新ゼクシオ(ロフト角/16.5、20度)
5UT:ダンロップ新ゼクシオ(ロフト角/23度)
#6-PW:ダンロップスリクソンZXi5(シャフト/N.S.プロゼロス8・S)GW:クリーブランドRTZ(ロフト角/48度)AW・SW:クリーブランドRTX(ロフト角/52、56度)
パター:ピン2021タインC

菅沼菜々
●すがぬま・なな/2000年生まれ、東京都出身。「パナソニックオープン」で復活優勝。あいおいニッセイ同和損保所属。
いかがでしたか? ウッドをそろえる時の参考にしてください!

試打・解説=鹿又芳典
●かのまた・よしのり/多くのゴルフメディアで活躍する人気クラブコーディネーター。現役ツアープロのクラブ調整やサポートだけでなく、ジュニアゴルファーの育成にも注力している。
構成=野中真一
写真=小林司、高木昭彦、荒木大然
撮影トーナメント=ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン
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