
飛距離をアップするには?ベテランのプロ3名が解説!
体が硬くて思いどおりに動けない。年を重ねて柔軟性が落ちて、飛距離も落ちてきた。そんな人たちにマネてほしいのが、ベテラン選手のスイング。
40代後半からマイナーチェンジしたプロのスイングは、飛距離を大きく伸ばすポイントが満載だ!
バックスイングは胸をしっかり回す

シニアプロはみな、アドレスがきれいなのでぜひ参考にしてください。伊澤選手の場合、肩、ヒザ、拇指球が一直線上にそろっていて非常にバランスのいいアドレスをしていますね。
これは、体を回しやすいアドレスで、②のバックスイングで腰と胸をしっかり回せています。アマチュアは腰を止めて上下の捻転差を広げようとしますが、体が硬い人には逆効果。胸が回らず手打ちのスイングになってしまいます。
腰と一緒に胸を回してトップまで振り上げるとスイングアークが大きくなりますが、これが遠心力を引き出すコツ。バックスイングだけでなく、切り返し以降もヘッドを加速させる距離と時間を長くすることができます。
胸をうまく回せない人は、事前に胸が回った状態を体感してみましょう。アドレスを作ったら右手を真横に伸ばす。そこに左手をそえると胸が回ります。
実際に打つときもこれと同じ体勢をとれるようにしてください。また、⑧のフィニッシュを見ると左ツマ先が飛球線方向に向いていますが、これもマネしたいポイントです。フットワークを大きく使っている証拠ですが、足を動かすと回転力が上がる。左足を無理に止める必要はないのです。

捻転を抑えて体の負担を少なくする

丸山選手の特徴は、手首(コッキング)を使ったバックスイングですね(③)。正面から見ると、左肩の高さにクラブが上がったときのポジションでクラブが地面に対して垂直に立って見えるはずです。これは両ヒジの間の距離を変えずに、両腕とクラブを体の前に置いて振れるのがメリット。
腕ではなく体のターン主体で振れるので、ブレが少なくミート率が上がります。ただし、手首を使ってこねてしまうのはNG。フェースの向きが安定しなくなるので注意してください。
スイング全体を見ると、伊澤選手と同様に上下の捻転差を広げず、体全体で回るボディターンで振っています。捻転差を無理に広げようとすると、体が硬い人やシニアは上半身と下半身の動きのバランスが悪くなる。体にかかる負荷も大きくなるので、痛みが出るなど故障しやすくなります。
体全体を同時に回したほうが回転量も大きくなり、軌道や入射角が安定する。ミート率が上がってボールを芯でとらえれば、必然的に飛距離も伸びる。柔軟性やパワーを必要としない飛ばしスイングなので、ぜひトライしてみてください。

タメを最大限に活かしてパワー不足を補う

横尾選手のバックスイングは、腕の回旋を抑えて大きなスイングアークを描きます。ここまでは伊澤選手と似ていますが、切り返しからのタメが大きく、クラブが背中から下りてくるように動いています(⑤)。こうするとクラブをインサイドから下ろしやすくなる。
さらに⑥で、胸をボールよりも右に向けているので、腕の振りが鋭くなってボールのつかまりが飛躍的によくなります。
インパクトでは右足を一気に蹴り上げていますが、これは下半身の回転速度を上げるテクニック(⑦)。アマチュアは大きなタメが作れてもインパクト前に体とフェースが開いてしまいがちですが、下半身を高速ターンさせれば、ヘッドが走って振り遅れを防げます。
タメを作った手首をリリースさせるタイミングが取りづらい人は、バックスイングでフェースを閉じ気味に振り上げ、ダウンスイングでは開いて振り下ろす。そして、インパクトからフォローにかけては開いたフェースをまた閉じる。こうやってフェースの開閉を使うと、手首をリリースする動きとタイミングがつかみやすくなります。
手首の柔軟性を利用するのも、アラフィフやシニア世代の飛ばしテク。年を重ねても動きやすいリストワークを使って飛ばしてください。

Point右足を蹴り上げ下半身の回転速度を上げると振り遅れを防げる(⑦)
いかがでしたか? 飛距離を大きく伸ばしていきましょう!

伊澤利光
●いざわ・としみつ/1968年生まれ、神奈川県出身。169cm、70kg。95年の日本オープンでツアー初優勝。01、03年には賞金王も獲得。07年の日本プロゴルフ選手権で日本メジャータイトル3冠を達成。19年には福岡シニアオープンでシニアツアー初優勝を果たす。フリー。

丸山茂樹
●まるやま・しげき/1969年生まれ、千葉県出身。169cm、73kg。国内ツアーで活躍後、2000年から米ツアーに参戦。2年目に初優勝し、通算3勝を手にした。19年は自身の誕生日にシニアツアーデュー。セガサミーホールディングス所属。

横尾要
●よこお・かなめ/1972年生まれ、東京都出身。176cm、75kg。98年のアコムインターナショナルで初優勝。01年には米ツアー参戦し、シードを獲得。02年にはフェニックスオープンで2位に入った。国内ツアーでは通算5勝をあげている。フリー。

解説=樋村隆二
●ひむら・りゅうじ/1976年生まれ。エースゴルフクラブ千葉のチーフインストラクター。プロのスイング研究に余念がない。それをアマチュアに合わせて教えるレッスンに定評があり、ほとんどの生徒がベストスコアを更新している。
写真=相田克己
取材=千葉オープン
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