ドライバーを狙って打つためには?「超短尺ドライバーで…」と研究者が解説

ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。

その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。

斬新な視点と理論が、レベルアップを目指すゴルファーに新しい上達のヒントをもたらす!

※「MOS」とは「memory of the senses」の略で、距離感やフェースの状態などを具体的な感覚量として“小脳で記憶”こと。高い再現性を得ようという新しい理論

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工夫次第で練習環境は簡単に手に入れられる

前回は、超短尺ドライバーを作って室内でショット練習が行なえるところまで話しました。ゴルフでは多くの人にミスショットがあって当り前だと思っていますが、テニスでは100パーセント自信をもって打っているのでそこを目標とします。月1回ほどの練習場通いでは練習頻度が低すぎて畳み掛けるような上達は望めませんが、この超短尺ドライバーを使って暇なときにサクッと打てるような環境を作ってやると、(それが日常になり)ミスが織り込み済みだったのがウソのように同じ弾道のボールが打てる。

前号で紹介した室内での6球ゲームで、6球全部狙ったところにコンスタントに打てるようになったら、練習場に行って本物のドライバーでも成果を確認してみましょう。

超短尺ドライバーでできていることをドライバーで確認する

実際のドライバーは超短尺ドライバーとは当然長さが違うので、まったく同じというワケではありませんが、家でしていたことをここでも再現するようにします。ドライバーでは飛距離を期待するので、(ダメだと知っていても)飛ばそうと振り急いだり、叩きにいってしまったりで、つい力が入りスイングを崩してしまいがちです。

ここで力を抜くために重要なのは、スイングをゆっくり始動させること。トップからの切り返しもヘッドを振り子に見立て、自由落下させる感覚にすることです。切り返しの始動はヘッドを軽く引いてやることになりますが、いったん動き出してしまうと力を加えなくても自重で落下、加速していくと思います。

なお、2023年12月にはスパインアングルを使って背骨を右へわずかに倒して打ち出し角を得るという説明をしましたが、シャフトのしなり戻りを利用すれば十分な高さが出るため、ここであらためさせてもらいます。インパクトでのヘッドの挙動イメージはスイングアークの最下点で、ダウンブローでもアッパーブローでもなく地面に水平に入ります。意識を、スイングアークのピークを最下点に合わせることで、インパクト時にうっかり右足に体重が残ってしまうことも少なくなるはずです。

さて、イラストは切り返し後の腕・クラブの挙動を模式化したものです。切り返しでは手首の脱力とヘッドを立てて回転半径を小さくする無意識の反応もあって右手の背屈が自然に生じますが、この背屈を維持したままヘッドに意識投影してヘッドが振り子のように自ら降下するイメージをもちます。

その状態でインパクトボイントに到達する少し前のところ、インナーカウンターによる左手ブロックで右手とクラブにブレーキをかける。すると、慣性の法則で急には止まれないクラブが右手首を新たな支点とし二重振り子を発生させ、ヘッドが走り加速、右手を追い越そうとします。

しかし、加速度が一気に高まり左手前腕、シャフトが一直線になった一瞬で手首を固めて、インパクト後も手首が反らないようにして、そのままボディターンで振り切る。これは手首のリストワークを主体にして、手首を能動的に使ってクラブを振り回すスイング感覚とはまったく違うものですのでその違いを感じてください。

イラストではこれらのことを①から⑥までのプロセスで説明しています。このとき、とくに重要な感覚はインパクトポイントで、実際には左前腕、クラブが一直線になっているはずなのですが、感覚的には「逆くの字」でインパクトしているようなヘッドの走りを感じることです。

ここでもドンピシャのタイミングでインパクトに合わせるのではなく(感覚的なものなので難しいのですが)むしろわずかに先行していく感じで「逆くの字」がイメージできるような、ワンポイント先でつかまえるスイングを目指してみます。このようにして打てるとボールが体の正面にあってもヘッドが開いたまま閉じずにインパクトを迎えるようなことはなくなり、苦手意識もなくなるでしょう。

なお、スイングはできるだけゆっくり振るようにといいましたが、ゆっくりなスイングでも飛距離を出すためには、どこかで必要な仕事量を発生させることが必要です。それを担っているのが左手ブロックに続く二重振り子での加速なので、ゆっくりとはいっても「ゆっくり→クイック(→インパクト)→ゆっくり」のメリハリのあるリズムで打ってみてください。

この打ち方で130ヤード先を狙って打ちます。ポイントは、とにかくリラックスしてヘッドが自らやりたいようにさせてやり「逆くの字」のイメージでインパクトを迎えることです。これを6球打って6球すべてが直径5ヤードの円内に収まったら、ご褒美として1球だけフルスイングを可とする。

その後は、再び130ヤードの距離に戻って精度を出して打てるようにし、このサイクルを繰り返して、思ったところに打てるようにしてください。そして、また家に帰ってきたら、超短尺ドライバーで家練をしましょう。

スイング理解のための模式図

①背屈②振子のように自由落下、ヘッドコンシャスで始動③左手ブロックで一気に加速(二重振子)④背屈解放⑤手首の固定⑥惰性でフォロー(ボディターン)

実際は一直線だが、左手ブロックで「逆くの字」になるようなイメージでフェースをスクエアにする

テニスと同様、スイングの基本はインパクトで終わること。インパクト後は惰性でフォローを行ない、胸をターゲットに向ける。切り返しからインパクトまでフェーズでは背屈、背屈の解除(解放)、インパクトでの手首の固定(一直線化)がベストなタイミングで行なわれることが求められる

いかがでしたか? スイングのプロセスを理解したうえで打ってみましょう。

文・イラスト=サンドラー博士
●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。

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