
世界ランク1位を独走中!スコッティ・シェフラーのスイング大解剖!
そのユニークなスイングから打ち出されるビッグボールは数々の優勝をつかみとり、世界ランク1 位に長らく君臨する強さを誇る。そのシェフラーの強さの秘密を徹底解説する!
※成績やデータは9月13日現在
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2025シーズン 各部門データ|アベレージスコア:1位・平均バーディ数:1位・バウンスバック率:1位・寄せワン率:1位

トップが完成する少し前のコマ。左腕が胸に近く、右ヒジは引けて曲がっていて、アマチュアのバックスイングに近いようにも見えます。体を回転させるよりも、とにかくフェース面の向きを固定して、腕を引っ張り上げているような動きです。
これは、幼少期から培ったフェース感覚があるからこそ、なせるワザといえます。アマチュアの場合は、切り返しで腕のポジションが胸の前からズレたままダウンスイングしてしまい、プッシュアウトやスライスを打ってしまいがちなので、マネするのは要注意です。
アドレス

比較的オーソドックスな構えで、上半身はやや右サイドが下がっています。インパクトで入射角がアッパーになるように準備しているのと、右足に体重をかけやすくしているのでしょう。シェフラーは190センチと高身長であるがゆえに、アドレスでの手元の位置がとても高く、シャフトプレーンは最初からアップライトになっています。
たとえば、女子の山下美夢有選手は身長150センチなので、その差はなんと40センチ。後方からの写真で角度を測ったところ、シェフラーがドライバーを構えたときのライ角は50度、一方、山下選手は35度でした。この差がスイングタイプの差に直結することはいうまでもないでしょう。
バックスイング

手や腕を使わず、右足への体重移動から動きはじめる、とてもワイドなバックスイングです。左手のグローブのロゴがはっきりと見えることから、自然なローテーションが入っていることがわかります。シャフトが地面に対して垂直になったあたりから、シェフラー〝らしさ〞が出現。
右足がアドレス時の形と変わらず、しっかりと体重を受け止めているのはセオリーどおりですが、手首のコックがじつに特徴的です。この段階で90度近くコックされるのが一般的ですが、シェフラーのコックはとても浅い。一般的なスイングよりもクラブの運動量を抑えています。
世界No.1なのに普通っぽい?シェフラーの人間味 その1
「優勝の朝に泣いていた」
2022年マスターズ最終日の朝、シェフラーは緊張とプレッシャーで涙が止まらなかった、というエピソードがある。奥さんに「自分に優勝する準備ができているのかわからない」と弱音を吐いたことをのちに明かしている。じつは、あの冷静なプレーの裏に、繊細な心の動きがある男なのだ。
2025シーズン 各部門データ|アベレージスコア:1位・平均バーディ数:1位・バウンスバック率:1位・寄せワン率:1位

この写真は、切り返しの瞬間を後方からとらえたもの。腕が地面と平行に近いとき、すでに腰は正面を向いています。シャフトの位置は両腕のちょうど中間あたり。これはやはり身長が高く、スイングプレーンがアップライトであるためです。
身長が170センチ以下の場合は、シャフトは右前腕の近く、または重なって下りてくるように見えるのが通常なので、アマチュアがここをマネするのはオススメしません。
トップ

Point:トップで左ヒジが曲がっているのはじつは安定要素(写真左)
これだけ肩が深く入っていながらも、右股関節がしっかり可動&安定し、スエーはいっさい発生していません。シェフラーは手首のコックをあまり使いませんが、その代わりに「ヒジの屈曲」を利用しています。
ゴルフスイングは腕とクラブによる「二重振り子」とよくいわれますが、シェフラーの場合はクラブヘッドからヒジまででひとつの振り子を成しているといっていいでしょう。フェース面は完全に空を向いているわけではなく、スクエアに近いポジションです。
切り返し→ダウンスイング

Point:ヒザが伸びていくことで地面反力を受けている(写真右)
Point:右足はすでに地面を蹴り終わっている(写真右)
切り返しでは、腰がターゲット方向へスライドする「バンプ動作」が大きく入り、左足へ加重していきます。体が進行方向へ動くと、クラブや腕にはその反対方向への慣性の力が働き、それによって曲がっていたヒジはやや伸ばされる。
インパクト直前では地面反力を受けて左ヒザが伸び、体は少し上方へ押し上げられます。その結果、腕やクラブには地面方向への力が働き、クラブがリリースされるのです。タメを強く入れすぎないのもシェフラーの特徴で、入射角がゆるやかになって弾道が安定します。
世界No.1なのに普通っぽい?シェフラーの人間味 その2
「メジャーチャンピオンの逮捕劇」
問題が起こったのは2024年、2度目のマスターズ優勝を果たした直後であった。全米プロゴルフ選手権の会場付近で、交通事故が発生。その関係で一帯は混乱し、交通整理が行なわれていた。
そこへ、会場へ向かうシェフラーがやってきたところ交通整理に従わなかったとして拘束され、そのままルイビル警察の留置所へと送られた。結局はすぐに釈放され、スタート1時間前にコースへ到着。
ちなみにその日は、66をマークして4位で第2ラウンドを終えた。ゴルフと関わりのない人々にとって、シェフラーの顔と名前は広く認識されていないのかもしれない。
アッキー永井の独り言①
このコーナーではたくさんの選手のスイング写真が取り上げられ、私も何度も解説をしてきました。どの選手も基本的な動きのポイントは抑えつつ、どこかに必ず個性があるものです。
そのなかでも、今月取り上げたシェフラーはとくにユニークで、手首、体全体の動き、足の使い方、どれをとっても近年のツアープロには見られないものが多い。それでも成績を残していることを考えると、スイングはあくまでゴルフの「手段」であって「目的」ではないということを思い知らされます。
アマチュアも自分に合ったスイングというのを、このコーナーをとおして発見してくれたらいいなと思います。
通算成績|プロ優勝回数:23勝・メジャー優勝回数:4勝
2022年 マスターズ、2024年 マスターズ、2025年 全米プロ、2025年 全英オープン

2025年「全英オープン」優勝時のクラブセッティング
●ドライバー:テーラーメイド Qi10(8度)/フジクラ ベンタスブラック(7X)
●ウッド:テーラーメイド Qi10(15度)/フジクラ ベンタスブラック(8X)
●ハイブリッド:スリクソン ZU85(#3、4)/N.S. PRO MODUS³ Hybrid Prototype(10 X・#3)、True Temper Dynamic Gold Tour Issue(X100・#4)
●アイアン:テーラーメイド P7TW(#5~PW)/True Temper Dynamic Gold Tour Issue (X100)
●ウエッジ:タイトリスト ボーケイSM8(50、56度)、ウエッジワークス(60度)/TrueTemper Dynamic Gold Tour Issue(S400)
●パター:テーラーメイド スパイダー Tour X
インパクト

Point:頭を無理に残さないから体がよく回る(写真右)
インパクト直後は頭とクラブヘッドがそれぞれ反対方向へ引っ張り合い、遠心力を最大化しています。クラブの運動量が多いタイプの選手であれば、この段階でシャフトが地面と平行になっていそうなものですが、シェフラーは手首の運動量が少ないので腕の延長線上にクラブがある。
後方からのアングルで見ると、とくに目につくのが右足が左足よりもうしろへ滑っていく動きです。これは、みずから足を引いているのではなく、右足をツマ先の方向に蹴った結果、その反力でうしろへ動いている。
多くの場合、右足はむしろカカト方向へ蹴ることによって右腰を「押し回す」使い方をするのですが、シェフラーの場合はクラブに遠心力をかけることに特化しています。
フォロースルー①→フォロースルー②

Point:室内なら天井にぶつかりそうなハイフォロー(写真右)
ここでも手首やヒジの動きは小さく、いわゆる「腕の三角形」が長い時間キープされています。つまり、フェースの向きがほとんど動いていない。無理に頭を残さず、顔をターゲット方向へ向けることで体の回転を邪魔しないようにしています。
腕のローテーションを抑えて振り抜くには、このように胸がスムーズに回転しなければなりません。体が止まってヒッカケてしまうという人はシェフラーのように、早い段階で顔をターゲット方向へ向けていくといいでしょう。
フォローの後半、フィニッシュの直前でも、まだヒジ・手首ともに運動量は少ない。フォローが高く大きく見えるのはそのためです。
フィニッシュ

ティーのあるライン上に全身が収まっていることから、スイング中に体がターゲット方向へ動いていることがわかります。最近は、その場で体を回転させるタイプの飛ばし屋が多く、このようにキレイな「Ⅰ字型」フィニッシュになるのもシェフラーらしさのひとつ。
左足のツマ先は完全にターゲット方向を向いており、スイング中に足の向きが変わっています。逆に、無理矢理踏ん張らず、体の動きにまかせて足の向きを変えたほうが、体のターンはスムーズに行なわれることがあります。
アッキー永井の独り言②
PGAツアーで活躍する選手の多くは、大学ゴルフ部出身です。シェフラーもテキサス大学の卒業生で、過去にはトム・カイト、ベン・クレンショー、最近でいえばジョーダン・スピースも同大学の卒業生。将来プロツアーで活躍する選手が大学ゴルフ部にはゴロゴロ存在し、大学からプロへと進むのが一般的。そして彼らは在学中、学業もおろそかにしないのも日本との大きな違いかもしれませんね。
いかがでしたか? 解説を参考にして、練習の際は注意しましょう。

Scottie Scheffler
●スコッティ・シェフラー/1996年生まれ、アメリカ出身。190cm、90kg。ニュージャージー州生まれだが、幼少期にテキサス州へ移住し、3歳からゴルフをはじめる。
2018年にプロ転向。2022年マスターズでメジャー初戴冠。その後も安定した成績を残し、世界ランキング1位の座を保持し続けている。

解説=アッキー永井
●ながい・あきふみ(永井研史)/1987年生まれ、神奈川県出身。“アッキー”の愛称で親しまれている人気コーチ。人体解剖学や物理学の視点を取り入れたわかりやすいレッスンに定評がある。
写真=田辺JJ安啓
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