
シニアはスムーズな始動が正解!「長いアドレスはイップス予備軍」対処法を解説
“イップス”は「自分はならない」と思っていませんか?決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!
なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。
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同世代に多いイップス発症者

1991年のプロ入りからレギュラーツアーで戦い、50歳を迎えてからはシニアツアーに参戦。その長いキャリアのなかで、重病になるほどではなかったにせよ、イップスのような症状が出る経験はあります。最近だと、3月のシニアツアーのQTの前にパッティングが怪しくなり、タッチが出にくくなりました。しかし、そんな症状が出るたびに自分なりの工夫で克服。その経験は今、レッスンでも活きています。
イップスは我々世代のシニアプロたちで、苦労している選手が多いですね。シニアツアーは2割くらいの人が、アプローチイップス気味かもしれません。また、同世代ではスター選手だったのに、深刻なドライバーイップスに悩んでいる人もいます。
練習場ではなんの問題もなくいい球を打っている。なのに、1番ホールのティーショットから、手が離れるような大きなミスショットを打ってしまう。彼の全盛期を知っているだけに、それを見たときはとてもショックでした。
これまでと違うプレーンに戸惑う
私の世代でドライバーイップスの選手は、道具の進化との関連が無視できないと思います。ほとんどの選手はパーシモン製のドライバーでゴルフをはじめて、それからメタル、チタンと素材が変わり、ヘッドの大きさは倍以上になりました。
長さも伸びて、今、ドライバーイップスに悩む選手たちの多くは、かつては「43インチの達人」だった人たち。それが一時は46インチ近くになり、自分では感じたことのない、よりフラットなプレーンで振らないといけなくなった。
大きく、長く、重心が遠い位置にある道具への進化は、スイングを変えなくてはいけない。そこに難しさがあるし、イップスの要因もあると思います。
足を動かして始動をスムーズにする

「動けないものを無理やり動かすのが、イップスの要因です」(日下部)
ある選手は「タイガーもイッブスだ!俺にはわかる」と断言していました(笑)。タイガー・ウッズは、結構アドレスが長いですよね。スムーズに始動できない人は、イップスになる危険が高い。動けないものを無理やり動かしているのが、イッブスの要因なんですよ。
アマチュアでも熱心に練習したり、理論や情報を頭に溜め込む人はアドレスが長くなりがちで、情報を整理するのに時間がかかってしまっている。そういう人はイップスになりやすい傾長にある。
私自身もドライバーで動けなくなるときがあって、そのときにはスタートの仕方をいろいろと工夫しました。たとえば、アドレスで右足のカカトを上げて、カカトを下ろすタイミングで始動して足を積極的に使う。フォワードプレスでもいいのですが、何かしらの対策を用意しておくのが、それ以上悪くならないコツですね。
【Lesson】スムーズに始動するドリル

Drill1:ヘッドでボールを隠して打つ
目からくる情報を遮断することで始動がスムーズになることもあるので、アドレスでヘッドを浮かせてポールを隠す
Drill2:左足から歩くように始動する
足から動くことでクラブも動かす。いったん左足を踏み込み、次に右足を踏み込むのと同時にクラブを始動させる
いかがでしたか? 始動をスムーズにしましょう!

解説=日下部光隆
●くさかべ・みつたか/1968年生まれ、神奈川県出身。ツアー通算3勝を誇るショートゲームの名手。現在は、WASSゴルフスタジオ(東京都世田谷区)で精力的にレッスン活動を行なっているほか、シニアツアーにも参戦中。
構成=コヤマカズヒロ
写真=田中宏幸
協力=WASSゴルフスタジオ
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