
“第二の松山英樹”誕生なるか?男子ツアー出場選手の現状を突撃
米男女ツアーが獲得賞金で順位を決めていた時代は過去のものとなり、今は獲得ポイントによって全てが決まる時代になって久しい。PGAツアーは8月第3週の「ツアー選手権」でひとまずシーズンに幕を下ろしたが、“フェデックスカップ・フォール”という秋の試合がまだまだ続く。
「シーズンが続くのに、8月に幕を下ろしたの?」とこんがらがっている読者もいるかと思われるので、ここで一つおさらいをしたい。
【関連記事】タイゴルフ旅3泊4日で3ラウンド。豪華賞品のコンペも開催!
金谷拓実、久常涼の戦況はいかに?男子ツアーを解説

8月のプレーオフ第1戦「フェデックス・セントジュード選手権」にはポイントランク上位70人が出場できる。第2戦「BMW選手権」に出場できるのは、第1戦終了時点の上位50位。さらに第2戦終了時点の上位30人のみが最終戦「ツアー選手権」に出場できるというわけだ。
では、第1戦に出場できなかった71位以下の選手の処遇は?というと、以下のようになる。

PGAツアーでは、伝統的にいわゆる“シード選手”の順位は125位だったが、今年から100位以内に変更された。プレーオフに入る直前の「ウィンダム選手権」終了時点で84位だった久常はプレーオフ進出を逃したが、9月からの“フォール”の試合に出場し、100位以内を目指す戦いになる。134位にいる金谷も同様だが、久常は100以内“残留”、金谷は100位以内“復帰”が目標だ。
ちなみに、プレーオフに出場できなかった久常などの選手がフォール終了時点で目指す最高位は「71位」となり、シーズン終了時点の順位が来シーズンの出場優先順位となる。

さて、出場優先順位に関連して言えば、「ツアー選手権」に出場した上位30位の選手は、来シーズンの平場の試合はもちろん、マスターズや全米オープンといったメジャー大会への出場権が約束される。このため、上位30人に残ることは、PGAツアーのトップ選手の証であるとも言われる所以だ。一方で、フォール終了時点で100位以内に残ると、来シーズンのツアー出場を安定的に保証され、メジャーを除くほとんどの試合に出場できることを意味する。100位以内=シード権と言われる所以だ。

では、プレーオフ第2戦に出場した50位以内はどうか?ここにもとても大きな意味がある。近年PGAツアーに導入された“シグネチャーイベント”への出場確定条件がこれに当たる。2月の「ジェネシス招待」や3月の「パーマー招待」、5月の「メモリアル」など8試合がある。高額な賞金以上に、この8試合の出場が確定できるかどうかで年間の出場ステジュールが格段に立てやすくなる。
2年前、松山は50位圏外の57位からプレーオフ第1戦に出場し、最終日の残り4ホールで、1イーグル、2バーディーで一気に順位を上げて47位となった。このことで2024年2月のシグニチャーイベント「ジェネシス招待」にも出場でき、優勝を飾った。23年プレーオフ第1戦の残り4ホールの急上昇がなければ、あの優勝もなかったかもしれない、と考えると、23年のプレーオフ第1戦の成績は、松山にとっては優勝に匹敵する価値があったといって良い。

今年、その松山に似た立場にいたのはリッキー・ファウラーだった。プレーオフ第1戦を64位で出場したファウラーは6位タイでフィニッシュ。この成績によりランキングを48位まで上げて第2戦に出場した。第2戦でも善戦したものの最終戦出場には一歩届かず、ランク32位でシーズン終戦。しかし、50位以内にないったことで来シーズンのシグニチャーイベントへの出場が約束された。もしかすると、松山のようにファウラーが来年爆発するかもしれないと予感させる成績だ。

ファウラーは10月に日本で開催されるPGAツアー「ベイカレント選手権」にも出場予定だ。松山も出場する。ぜひ、現地で応援してもらいたい。
フォトグラファー 田辺安啓 (通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。
【あわせて読みたい】
石井忍、石井良介、岩男健一……名コーチと名コースで上達できるイベント!
7番ウッドを選ぶ時の「4つのポイント」!最新15モデルを試打解説