上級者はなぜ他人のスコアまで覚えている?シングルプレイヤーが解説

ホールアウト後に、自分の打ったスコアを思い出せずにいたら、上級者に「ダボだね! 」などとあっさり言われ 「すごい! なんでそんなに覚えているの? 」などと驚いた経験はないだろうか?

私も同伴競技者全員のスコアはだいたい思い出せるが、いつ頃から出来るようになったのか? 思い出してみると、私がジュニアゴルファーだったころに「人のスコアが分かるようになってきたってことは上達してきたんだね! 」と言われた記憶がある。人のスコアを覚える事が上達と関係があるのか? 少し考えてみたいと思う。

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小学生の男の子たちが、すらすらと

先日、あるジュニアトーナメントの運営サポートを行なっていた時のことだ。スコア提出の際、小学生の男の子のスコアが不明確なため競技委員などと確認作業をしていた。

すると、同伴競技者の男の子たちが「1打目は左のバンカー、2打目出なくて、3打目で出して、4打目が・・・で3パットだから10だね! 」とあっさり回答。

順位を争うライバルや、仲のいい友人のプレーならまだしも、まだまだ下位の順位で終わる同伴競技者のプレーを特別意識して見ているとは考えれない。現に、彼らはスコアを即答することはできなかったので、当該ホールのローケーションを思い出し、彼(スコアが不明確だった選手)がティーグラウンドからどのようにそのホールを進んでいったかの記憶をたどっていた。ではなぜ、たどることが出来たのか? ここに上手いか上手くないか、もしくは上手くなる人の特徴が出ていると思う。

答えは「見ている」からなのだが・・・

1つ目はシンプルに「見ている」。同伴競技者のプレーをきちんと見ているのだ。ゴルフのルールでは「ホールに遠い人から順番に打つ」というルールがある。従って、誰が1番遠いのか? を常に確認しなければならないため同伴競技者のプレーも結果的に見ることになる。しかし、ここまでは上級者も初級者も差がなさそうに思えるし、忘れてしまいそうだ。

そこで2つ目の答え。「物事を多面的に見ている」

優秀なゴルファーは、自分の打ったショットの「音」や「触った芝の感触」などをメモリーに保存する能力が高い。そのため、初めて行ったゴルフ場でも足の裏で地面の感触を感じたり、素振りで芝の具合を感じたときに、「このライから、このクラブで打つと、こんな感触で、こんな球が出る」と瞬時に予測できる。それは未来予知といってもいいくらい鮮明にイメージできるのだが、これはすべて過去のメモリーからくるものだ。同じように同伴競技者のプレーを見ていても、優秀なプレーヤーであればあるほど、その選手の感覚まで想像がつく。「今のミスショットは、クラブのこの辺りにボールが当たったから、こんな手応えだな。だから、手がジンジンするだろうな」という風にだ。冷静なプレーヤーならば、表情や仕草から精神的な側面まで感触として残っているかもしれない。専門家が記憶力をアップさせるには「音」や「色」などとセットにして覚えるのがオススメだとテレビで紹介していたが、1つのショットに対して「音」や「感触」「感情」などとセットにして覚えているから忘れないのだ。

同じ時間同じ練習をしても上達スピードが違う人がいることも、同じような理由だと考えられる。もちろん運動神経や親から授かったモノもあるだろう。しかし、何時間も何日も質の違う練習を重ねていればいずれ逆転できる。私の同級生を思い出しても、ものすごい才能をもった選手はたくさんいたがプロとして成功出来なかった人がほとんどだ。ツアー優勝まで辿りついた選手の学生時代の姿を思い出してみると、誰よりも「淡々と」時間を過ごしていたのを思い出す。きっと、私よりも多面的に色々なものを見て落ち着いて時間を過ごしていたのだと思う。20年以上たった今、その差は歴然だ。

「よく見る」「よく感じる」からはじめてみませんか?

まずは、皆さんも意識的に同伴競技者のプレーをよく見ることからはじめてはどうだろうか? そして「音」や「匂い」など今まで気にしていなかったゴルフ場の違う要素を感じてみてください。きっと違う上達の仕方が隠れていると思いますよ?

岡田豪太
●おかだ・ごうた/1983年生まれ。20歳から30歳までプロゴルファーとして活動しミニツアーで複数回優勝を経験。現在はイベントの運営サポートやライターなど幅広くゴルフ界に関わる

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