
独特な立体装飾の縄文土器と2体の国宝「土偶」
日々ゴルフ場に向かう途中、見かける建物や気になる建物はありませんか?
今回は、長野県茅野市の考古館に展示されている国宝について、紹介します。
茅野市(ちのし)尖石(尖り石)縄文考古館—長野県茅野市

縄文時代は、旧石器時代ののちに、およそ1万4000年前から1万年以上も続いた。縄文時代の進展は1万9000年前にはじまった縄文海進と呼ばれる温暖化を伴う海水準上昇と連動しており、ピークにあたる約6000年前には、現在より4~5mほど海水準が高かったことがわかっている。
諏訪湖周辺からは、約4000年から5000年前の縄文時代中期の住居跡や土器が数多く見つかっている。なかでも昭和61(1986)年に、諏訪湖南東の八ヶ岳西山麓にある棚畑遺跡から、ほぼ完全な姿の「土偶」(縄文のビーナス)が出土し、平成7(1995)年に縄文土偶として初めて国宝に指定された。
さらに平成12(2000)年には、東へ約5km離れた中ッ原遺跡から逆三角形の仮面をつけた「土偶」(仮面の女神)が出土し、平成26(2014)年に国宝指定となった。2体の土偶の実物を見るだけでも、足を運ぶ価値がある。

平成12年に中ッ原遺跡から出土した国宝「土偶」(仮面の女神)。縄文時代後期(約4000年前)の作品で、高さ34cm、重さ2・7kgと大型だ。墓と考えられる穴から出土し、壊れた右足は意図的なものと考えられている

昭和61年に棚畑遺跡から出土した国宝「土偶」(縄文のビーナス)。縄文時代中期(約5000年前)の作品で、高さ27cm、重さ2・1kg。妊娠した女性の姿を表現しており、左足が半歩前に出ているのもかわいらしい

諏訪湖周辺に点在する縄文時代遺跡が赤いピンでプロットされている。緑はその前の旧石器時代で、八ヶ岳に多く見られる。青は弥生時代遺跡を示す

中ッ原遺跡から出土した「立体装飾が発達した深鉢形土器」( 長野県宝)。縄文時代中期(約5000年前)。動物を模したかのような抽象的な紋様が見られる

与助屋根地区の復元住居。尖石遺跡の周辺からは200軒を超える住居跡が見つかっている。それらのほとんどが縄文時代中期の1000年間につくられたもの
いかがでしたか? ゴルフの息抜きにぜひ、足を運んでみてください。
茅野市尖石縄文考古館
所在地●茅野市豊平4734-132開館時間●9:00〜16:30(観覧は17:00まで)
休館日●月曜、祝日の翌日、年末年始
観覧料●大人500円、高校生300円、小中学生200円
アクセス●中央自動車道・諏訪ICよりクルマで国道152号、国道299号、縄文の道経由で11.8km、20分
https://www.city.chino.lg.jp/site/togariishi/
最寄りのゴルフ場
中央道晴ヶ峰カントリー倶楽部
所在地:長野県伊那市高遠町藤沢7051-11
アクセス:茅野市尖石縄文考古館まで国道152 号、県道16 号経由で18.7km、29 分
写真・文=長岡 努