あなたはどのスイングタイプ…?軸の位置でタイプが分かる!

「飛距離と正確性は相反する」とよく言われるが、とくにアマチュアの場合、飛ばすことがスコアアップに近づくというデータがある、と目澤秀憲コーチは言う。

連載3回目は、3つのスイング軸タイプと合わせて解説していこう。

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アベレージゴルファーはロングショットの精度が鍵

肉体改造によって飛距離アップを実現したB・デシャンボー。その効果で成績も向上。飛距離アップがスコアへ大きく貢献することはアマチュアも同じ

プロとアマチュアではレベルが違いますが、スコアアップのためにやるべき方向性に変わりはなく、まずはウイークポイントを底上げします。とはいえ、むずかしいことはやりません。90点を100点にするより、20点を50点にするほうがはるかに簡単なように、たくさん伸び代があるところに手をつけるわけですから。

アベレージゴルファーの場合、まずはティーショッです。ドライバーのティーショットが曲がって1ラウンドに5〜6回OBを打っているとしたら、2〜3回にするだけでスコアは大きく変わります。

それにはドライバーを練習しなければなりませんが、闇雲に練習するよりはミスの傾向を分析し、なるべく簡単な方法で防ぐほうが合理的です。

こうしてOBが減ってくると「フェアウェイキープできたかどうか、○と×で書いてみよう」みたいなことをしたくなります。×が多ければ練習場でドライバーを打ちたくなる、といった方向に向くと好循環がはじまります。飛距離についてもそうで、ドライバーで220ヤードくらい飛ぶ人が240ヤードになると、スコアへの貢献度はかなり大きくなります。残り距離に対するスコアの変化が出てくるので、コンマいくつかでも確実にスコアを減らせるのです。

同様に、残り180ヤードからグリーンに乗せるのと120ヤードから乗せるのだったら、前者のほうがスコアへの貢献度は大きい。ロングショットの精度が上がることはレベルアップにとってすごく大事なのです。

ゴルフを多角的に考えてスコアアップにつなげる

アマチュアゴルファーには、飛距離アップする方法がいくつもあります。たとえば、180ヤードからグリーンに乗せるために9番ウッドをバッグに入れる。4番アイアンをユーティリティに替える。それだけで球の高さが確保できて、グリーンに止まる確率が上がります。

また、スポーツジムに通ってパーソナルトレーニングを受ければ、体のキレが増してスイングスピードが上がるかもしれません。ヘッドスピードが2m/秒速くなると、およそ10ヤード飛距離が伸びるので、これもスコアを稼ぐための立派な手段と言えます。

仮にスコアを乱す原因がスライスだとしても、それをなくそうとする必要はありません。ほとんどのアマチュアゴルファーは、スライスの程度を小さくするだけでスコアメイクは十分可能。スイングを変えることなくやりたいゴルフができるようになります。

スコアの稼ぎ方はいろいろでいい。技術面にフォーカスしすぎることなく、ゴルフを多角的に考えてスコアアップにつなげていくことが楽しむコツだと思います。

スキルアップの基本
~自分のスイングタイプを知ろう~ 

インパクト時の軸の位置でスイングをタイプ分け

体型や手足の長さ、筋肉の付き方や関節の可動域、さらには過去のスポーツ経験など、スイングアクションに影響を与える要素はたくさんあります。各々の特徴を生かし、体に無理なくクラブを扱えるスイングが、その人にとってジャストフィットのスイングになります。

とはいえ、同じ人間がやること。体の基本的な構造はみんな同じですし、持っているクラブも同じ構造ですから、それらを無視してはいけません。この前提でゴルフスイングを考えると、ある程度、形が絞られてくることは想像に難くないと思います。

事実、インパクト時の力の出し方、というか、力を出しやすい形は3つに大別でき、それがスイングスタイルの違いを生んでいると考えられます。

ということで、まずは重さのあるものや練習場のマットの縁などにクラブフェースを強く押し付けて、インパクトの形を作ってみましょう。そして、上の「センター軸」「左軸」「右軸」の3つのうち、自分がどれに該当するかを確認してください。

①スタンスの中心に体の軸を感じるセンター軸タイプ

インパクトでは左右の体重バランスが均等に近く、ややハンドファーストになりやすい

②左股関節の上に体の軸を感じる左軸タイプ

胸が開かず手元はハンドアップ気味に。左股関節に体重が乗る。左手甲がターゲットを向きやすい

③右股関節の上に体の軸を感じる右軸タイプ

ハンドファーストが強い手元先行型のインパクト。右股関節に体重が乗っている

体の回転とフェースローテーションを協調

スクエアグリップ、スクエアアドレスともっとも相性がいいのがセンター軸タイプです。テークバックでは右ヒザがズレれないようにしながら、右腰を後ろに引くように動かします。体幹部分がしっかりねじれますから、上半身と下半身の捻転差が大きくなります。タイガー・ウッズが代表ということで、もっぱら目指すべきスイングとされていますが、じつは体力が必要。体が硬い人や体力に自信がない人は、過剰に下半身を止めないほうが無難です。

手が右腰の高さにきたときに地面とクラブシャフトがターゲットに対して平行。フェースの向きもスクエアになります。切り返しのタイミングでは、左足を踏み込んで少し左に移動してからダウンスイングに移ります。どれくらい移動するかにもよりますが、インパクトではややハンドファースト。左軸タイプと右軸タイプの中間で当たるのが自然です。少しハンドファーストで当たるぶんスクエアグリップがマッチするというわけです。

総じてセンター軸タイプは、体の回転とフェースローテーションを協調させるスイング。スクエアグリップ&スクエアアドレスから、腰を開き加減でインパクトするケースがもっぱら。インパクトからフォローにかけて左サイドに重心が移動します。

地面に向かってかけた圧力を回転力に変換

左軸タイプは、左肩を下げつつ、体の右サイドを伸ばす意識でスイングを始動するとスムーズにテークバックできます。こうすると左股関節の内側に軸ができます。頭はボールの真上にキープ。ヘッドがややインサイドに入るので、クラブの軌道はインサイド・アウトに。ボール位置を真ん中寄りに、ややクローズドスタンスのアドレスが向いています。

テークバック以降、バックスイングからトップでの右サイドへの移動は最小限。つまりボールからはあまり離れません。体の回転が入りやすいので、トップではヘッドがしっかり目標方向を指します。切り返しではタテ方向への力を使う傾向が強いので、早い段階で左ヒザが伸びてきます。このためハンドアップして胸が開きません。これが左手甲がターゲットを向きやすいウイークグリップと相性がいい所以です。ダウンスイングでは左に乗る必要がなく、手がインサイド=右足の前くらいから下りてきます。

左股関節内側に軸をとる左軸タイプは、タテ方向=地面に向かってかけた圧力を回転力に変換するスイングシステム。右肩が早めにボールの位置を通過しますから、インパクト後は胸を開いて体を起こしていくイメージで回転するといいでしょう。

インパクトでハンドファーストの度合いが強い

右軸タイプの特徴は、頭や腰を右方向に動かすことをきっかけにスイングを始動するプレーヤーが多いことですが、これはひとえに右股関節の内側に軸を設けるため。いわば自然な動きなので入ってしかるべき。動き方も人それぞれでOKです。

動きながら右股関節の内側の上で胸や肩が回るように意識するとテークバックしやすいでしょう。地面とクラブシャフトが平行になる位置で、ターゲットラインよりもやや外側にヘッドが上がります。

切り返しでの左への移動は少なく、右サイドに重心が残ったまま。3つのタイプのなかではボールから一番遠くに軸をとるので、インパクトでのハンドファーストの度合いが一番強く、右サイドの側屈も強くなります。

ダウンスイングでは手がやや上から入ってきても大丈夫。どちらかというとタメができやすいと言えます。インパクト以降は側屈したままフォローへと向かっていくため、フォローでは右肩が下がっているように見えます。

[センター軸タイプ]タイガー・ウッズ

史上最強と称され、多くのゴルファーが目指すアスリート系スイングのお手本。体の真ん中のスイング軸を中心に左右対称に体を高速で回転。アームローテーションもしっかり組み入れてスイングプレーンの安定とヘッドスピードアップの両立を図る。最高のバランスと力感が見た目の美しさを演出している

[左軸タイプ]ブライソン・デシャンボー

“ゴルフの科学者”の異名をとるデシャンボーがバイオメカニクス(生体力学)に基づいて構築したスイング。左サイドに強靭な軸を設けることで正確さと再現性の高さを実現。そのスタイルを崩すことなく、飛距離アップのために驚異的とも言える肉体改造を行なった。クラブやボールもスイングを基準に独自のセッティングを施す

[右軸タイプ]ダスティン・ジョンソン

手を左に回転させているかのようなバックスイングでフェースをシャットに使い、開閉を極力抑えてボールを叩くスタイル。ダウンスイングでの左サイドへの体重移動が少ないため、早いタイミングで左ヒザが伸びてくる。これにより、右にできた軸のもとで猛スピードで体が回転。フェードボールながらツアー屈指の飛距離を誇る

いかがでしたか? 自分のタイプを把握・理解することでスコアアップにつながります。ぜひお試しください。

ゴルフコーチ目澤秀憲

●めざわ・ひでのり/1991年生まれ、埼玉県出身。5歳からゴルフを始め、プロゴルファーを目指す。日本大学法学部卒業後、「TPI」(タイトリスト・パフォーマンス・インスティテュート。アメリカのインストラクター養成プログラム)を知り、セミナーを受講して感銘を受ける。24歳で指導者に転身後は、ボストンでの語学留学を経て、TPIの5つの資格のうち「ゴルフ」と「ジュニア」の最高水準であるレベル3を取得。一般ゴルファーへのレッスンをしながら、2021年には松山英樹と専属コーチ契約。松山のマスターズ日本人初制覇に貢献した。ゴルファー個々の身体的特徴に合った動きを教える「コーチング」をベースに指導。昨年から河本力のコーチも務め、ツアー優勝へと導いた。

文=岸和也
写真=高橋淳司、田辺安啓

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