
女子プロ、表彰式で危うくびしょ濡れ?グリーンへ散水した深いワケ
FM選手権の会場となったのは、以前までPGAツアーの試合の試合会場ともなっていたTPCボストン。TPCの看板を背負っているだけに、メンテナンスも完璧だ。大会二日目には雷雨のため1日に3度も中断を強いられたものの、グリーンやフェアウェイの水捌けもよく、コースコンディションは完璧だった。
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「バドワイザーなら…」メンテナンススタッフの機転がすごい

週末になると天候も回復し、最終日は晴天のまま表彰式を迎えた。優勝を決めたミランダ・ワン(王馨迎=中国)はツアールーキーで、最終組からスタートして1打差の逃げ切り優勝だった。ワンがスコアを提出している間、18番グリーンでは表彰式の準備が始まる。トロフィー台が置かれ、関係者がグリーンに上がる。カメラマンらも撮影ポジションに着く。

そんなとき、突然、コースメンテナンスの作業員がグリーン上へ散水ホースを伸ばし、トロフィー台のすぐ近くに水を撒き始めた。カメラマンは慌てて機材を移動させるなど大慌て。なぜこのタイミングで?と感じたが、現場にいた人たちはすぐに察しがついた。

ワンが優勝を決めると、一緒に戦っていたローズ・チャンなどの友人選手らがワンを囲み、頭からお祝いのシャンパンをかけた。これはよくあるお祝いのシーンだ。
だが、シャンパンはアルコールを含んでいる。グリーン上に落ちたシャンパンが芝の生育に悪影響を及ぼす。その悪影響を最小限に抑えるために、スタッフがシャンパン水の落ちた部分に水を撒き、アルコール分を“薄めて”対処したのだ。アルコールが芝に吸収される前になるべく早く薄めるために、表彰式の直前に散水したというわけだ。

このことをメンテナンススタッフに尋ねてみると「シャンパンやカクテルなどは相当量のアルコールを含んでいるため、念のために散水したんです。でも、バドワイザーだったら大丈夫だったかもね」と本気ともジョークともわからない笑顔で答えてくれた。
それにしても、咄嗟の判断による散水の実行は、普段から芝管理に気を使ってないとできなかったことかもしれない。スタッフの能力に関心です。
フォトグラファー 田辺安啓 (通称JJ)
●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行なっている。
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