“50歳から”のスコアを伸ばすコツ!石井忍コーチが解説

ゴルファーはだいたい50歳前後で過渡期(変換期)を迎えます。

そのサインとなるのが「これまでできたことができなくなった」になりますが、最近は弾道測定器で自分の数値を簡単に知ることができるので「ヘッドスピード、ボール初速、打ち出し角、弾道の最高到達点」の数値が伸びない、落ちてきたら「過渡期を迎えた」と判断。

“50歳から”のゴルフに取り組むことをオススメします(石井忍)

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50歳前後は過渡期(変換期)

「成長」には「育つ。物事の規模が大きくなる。大人になる」という意味がありますが”大人のゴルフ”を身につけていくと大叩きしなくなります!

50歳まで伸ばし続ける飛距離は財産と貯金!

50歳までの「過渡期を迎えるまで」ですが、飛ばしにはつねに貪欲であり、飛距離を伸ばすことでスコアも伸ばすゴルフに取り組みましょう。50歳以上のアマチュアで、ドライバーは220ヤード以上を軽く超える人も多いですが、身体能力のピークは過ぎているため若いころより飛距離は落ちていてはず。

その落ち幅を減らすためにも「50歳までは伸ばし続ける」を目指してください。加齢による飛距離ダウンはプロでもあらがえないことですが、たとえば260ヤードが20ヤード落ちても240ヤードも飛ぶ。

50歳までに最高値をできるだけ伸ばしておくことは「50歳から」の財産と貯金になります。

飛距離は「伸ばす→維持する」ですが、このマインドによって平均スコアは減り続ける。いくつになってもうまくなれるのです!

50歳から落ちた飛距離は精度と技でカバー!

加齢とともに落ちる飛距離は“最大飛距離”で、“平均飛距離”は50歳をすぎてからも伸ばせます。そのために取り組むべきことは「飛距離の維持」。ヘッドスピードが落ちてもミート率、ボールへのエネルギー伝達効率を上げれば、そこにはクラブの進化も手伝って飛距離をキープすることができます。

フィジカルや柔軟性ではなく、高い再現性や精度を活かすゴルフは50歳からの技のひとつ。それは「アプローチも」となることをお教えしましょう。

50歳からの維持は停滞ではなくスコアを伸ばすため!

「50歳からは維持する」と聞くと、これまで以上にスコアがよくなる、ベストスコア更新も難しくなる、と思う人がいるかもしれませんが、むしろ逆です。50歳からを「成熟期」と称しましたが「成熟」とは「心や体などが十分に成長する。事を成すのにもっとも適した時期に達する」という意味があり、成長した心技体の実力を発揮するときなのです。

若いころよりもショットやスコアの良し悪しの差を狭める。前述した飛距離の平均だけでなく、スコアの平均値も減らしていく。これが50歳からのゴルフの成長と進化で、究極はエイジシュート達成も夢ではありません。

“みぞおち”を動かして体の回転をうながす

ヘッドスピードを上げる、スイングアークを大きくしていくために大事なことは「回転」ですが、これはまず上半身、とくに“みぞおち”を意識してください。肩を深く入れる胸を回すなどではなく“みぞおち”に1点転集中し、バックスイングでは右に移動、飛球線後方へ向ける。すると、腕とクラブを手先だけで動かさず、同時に動かして体を大きく回せるので、速く強く振る準備ができます。

〇:積極的にみぞおちの位置や向きを動かす感覚をつかむために、トップでみぞおちがやや上を向いてもOK。それでも手先で振り上げなければ、オーバースイングにはならない。(左写真)

×:手打ちの人はみぞおちがきちんと動いていない。回転が入らないとスイングアークを大きくしてもスピードもパワーも上がらない(右写真)

骨盤をズラさずに“抜重”してから地面を蹴る

抜重によって沈み込むことで、地面を強く蹴りながら打てる。蹴る力を大きくするためにも抜重を使う切り返しを覚えよう。

骨盤は「地面と平行」上体は「骨盤の上」にある

骨盤の向きは「地面と平行」、位置は「上体の真上」にないと切り返し時に足圧を抜いて沈み込めない(×)。スイング軸と骨盤を傾けずにトップを作るのが○。「抜重すると両ヒザの間隔が広がり、重心が低くなるためフットワークが使えるようになる。これも飛距離アップにつながります」(石井)

“回る”と“蹴る”を一連の動作で行ない「ラグ」を使って加速力アップ

みぞおちを右に先行させて動かすテークバックでもラグが生じるが、これも〇。トップにたどりつく前に、みぞおちを左に動かす切り返しでのラグ、加えて地面を強く蹴ることでヘッドの加速力が上がる。飛ばしの高等テクだが、50歳までの習得を目指してスイングを磨こう!

前述した「みぞおちを動かす」は上半身、「抜重しての地面反力を使う」は下半身。その両方のシークエンス(連続・順序)をフル稼働させて飛ぶスイングを作り上げていきます。おさらいすると、バックスングではみぞおちを右に動かし、切り返しでは抜重と回転からの伸展(蹴り上げ)で打ちますが、みぞおちはトップにたどりつく前に左へ動かし先行させる。するとクラブと体との動きに「ラグ(遅れやズレ)」が生じますが、これも飛距離アップのテクニックのひとつ。

このラグのメリットは、速度が上がること。たとえば、体の動きに遅れたクラブは、その遅れを取り戻し、さらには追い越そうとする性質をもっている。飛ばしにおいては、このラグを意図的に作り出したり、体感することを追い求めてください。

回転する幅をタイトに“スタンスのなか”で回る

両足の幅からはみ出さずに回転!

50歳からのゴルフをひと言でいうなら、何かにつけて「省エネ、効率重視」。スイングでは体が固くなることも踏まえて、コンパクトなスイングへの変化を遂げてください。コンパクトスイングは、回転する幅もコンパクトにする。飛距離を伸ばすということに特化するなら左右へのややスエーもOKですが、回転する幅をタイトにしたほうがミート率と方向性が落ちる原因となるブレやズレを防げます。スタンス幅からはみ出さずに回転するスイングにチェンジしましょう。

筋力も必要な左右への揺さぶりをやめて、スタンスの幅のなかで回転するスイングで再現性と正確性を高める。狭い幅のなかで回ったほうが回転も鋭くなる。

ラグよりも同調性を重視

50歳までの“飛距離伸ばし”は意図的にラグを作り出しますが、50歳からの“ミート重視での飛距離キープ”は体とクラブを同調させることが重要。スプリットハンドで握ってグリップエンドを体に近づけて(お腹につけてもOK)、グリップエンドを体に向けたままのハーフスイングでの素振り(ボールを打ってもOK)で、同調させるスイングをマスターしよう。コックやフェースローテーションを使いすぎないのも、精度を上げるのに向いている。

50歳からのクラブセッティングはUTをボリューミーに

飛距離や高さのダウンによって、若いころはアイアンで届いていた距離や乗っていたグリーンが遠くなってしまう。それを補うのが、球が高く上がりやすく飛距離も出るユーティリティ。「160から190ヤードくらい残るセカンドが増える一方、もっと残るときは200ヤード以上。3番ウッドやロングアイアンを抜いて、UTの本数を増やすのが実用的なセッティングになります」(石井)

アイアンよりも芯もソール幅も広いUT。50歳を過ぎると、長めの距離をやさしく打てるクラブが活躍するシーンが増える。

転がしはシニアの効果性を高める技!

年齢に合わせて”鈍感にする”でいいんです!
50歳前後の過渡期で石井は、正確なボールコンタクトがラクにできるランニングアプローチを基本とする寄せ方にチェンジした!

アプローチは、私も過渡期(50歳前後)を迎えて大きく変わりました。以前は、ほぼSWでいろいろな球筋を打ち分けて寄せていましたが、最近の第一の選択は転がし。そうなった理由は感覚の衰えにあり、若いころはフェースを開いてもボールの真下にヘッドを正確に入れる鋭く、細かな、敏感な感覚があった。しかし、その感覚が加齢とともに薄れてきたためミスの確率の少ない打ち方をするように。シニアプロが転がしでの寄せを頻繁に使うのも、これが理由だと思います。

転がしでの寄せを追求していくと、グリップを含めてパッティングからヒモ解いていくのがベタピンにつける効果性を高めるコツです。ショットはスピードがあるため感覚が鈍感にはなりにくいが、アプローチはあえて鈍感にしていく。鈍感にしても安全、確実にボールコンタクトできる打ち方を50歳からの寄せ技として多用してください。

グリップはパターと同じでもOK

手首は「伸ばし気味」クラブは「釣り気味」で構えます

「パット的」に打ちたいので、パットと同じ握り方にするのもオススメ(写真下)。アドレスも手首を深く曲げたり、手元を目標側に出したりせず、パットと同じように構える。パットとの違いは”やや左足加重”にすること。自然にゆるやかなダウンブローが担保できる。

ポイントはパターの構えと打ち方

胸を回してロフトなりにインパクト

直線に近い軌道でも手打ちはNG。胸をきちんと回し、クラブはその回転にそって軽いイン・トゥ・イン軌道を描く。クラブの”ロフトなり”にインパクトするのも重要。ロフトを立てると地面に刺さりやすく、寝かせるとトップしやすくなってしまう(×)

過度にトルクをかけない

スイング中、体やクラブにトルク(ねじれ)をかけるのは×。腕やフェースにローテーションを入れるとインパクトの強さにバラつきが出てしまい距離感のコントロールが難しくなってしまう。パットのような直線的なスイング軌道で払い打とう。

振り幅はアプローチでもコンパクト

50歳からが目指すコンパクトスイングは、ショットだけでなくアプローチでも。振り幅は最大でも時計の文字盤の8時-4時の間まで(写真下)。パット的な構えと打ち方は飛距離が落ちるので、距離が長いときは番手を上げて、打ち方を変えずに飛距離を伸ばす。

いかでしたか。石井プロのレッスンをぜひ参考にしてください!

レッスン=石井 忍
●いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。ツアープロからコーチに転身し、エーススゴルフクラブを主宰。都玲華、手束雅などのツアープロやプロの卵の指導、サポートのほか、国内外のトーナメント解説者としても活躍中。

写真=相田克己
協力=南茂原カントリークラブ

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