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なぜ?LIVゴルフとPGAツアーが対立する理由とは…!? 米在住のカメラマンが解説

「LIV(リブ)ゴルフ」がついに6月に開幕した。このツアーについての情報は、アメリカでもつねにゴルフニュースのトップで扱われ、その最新情報を整理してお伝えする。

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PGAツアーとLIVゴルフの対立

表彰式に登壇しスピーチをするPGAツアーのコミッショナーのジェイ・モナハン。LIVゴルフとは徹底抗戦の姿勢をとるが、最近は頻繁に会場に現れ、直接、選手に声をかけている姿をよく見かける

LIVゴルフの第1戦が、6月の全米オープンの前週にロンドンで開幕した。第2戦は7月第1週にアメリカ・オレゴン州で開催されたが、第1戦開幕直前まで、PGAツアーのコミッショナーのジェイ・モナハン氏はさまざまな場面で「新ツアーに参加した選手はPGAツアーや下部ツアー、チャンピオンズツアーへの出場を禁止するとともに、スポンサー推薦での出場も禁止する」と表明。全米オープンの翌週にはツアー会場で記者会見を行ない、ツアーとして正式な意思表明と対抗策を発表。この時点でPGAツアーとLIVゴルフの対立は鮮明となった。

モナハン氏が発表した内容を簡単にまとめると次のとおり。

・サウジアラビアは人権侵害が疑われる独裁国家で、その政府が支援するファンドは国際的脅威であって自由競争市場とは相入れない
・PGAツアーは、DPツアー(欧州ツアー)、USGA、R&A、PGAオブアメリカ、マスターズ委員会、LPGAなど各ゴルフ団体と協力し、LIVゴルフと対峙する。DPツアーとは、現在の提携関係をさらに緊密にし発展させる
・来季のツアー、8試合の賞金を大幅に引き上げる

この3点以外にもさまざまな対抗策が発表されたが、一体、なぜここまでPGAツアーは、LIVゴルフに拒否反応を示すのだろうか。

LIVゴルフ参戦を表明する選手たち

LIVゴルフ参戦を表明した1番手のフィル・ミケルソン。PGAツアーの批判もして大炎上したが、久々に姿を見せた全米オープンの会見では、記者から質問攻めにあった

ひとつは、これまでPGAツアーは世界のプロゴルフツアーの頂点として存在し、ライバルとなるツアーがなかった。タイガー・ウッズの登場以降は“ツアー市場”をほぼ独占してきたといってもよいのだが、初めて脅威となるライバルが登場したため、強烈な拒否反応を示したといえるだろう。実際、人気選手であるフィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン、ブライソン・デシャンボー、ブルックス・ケプカといった選手が続々とLIVゴルフ参戦を表明するにつれ、人気選手を“奪われた”という危機感は増していった。

自由な競争を標榜してきた米ツアーが、突然現れたライバルの登場を否定するのは、これまでの主張と矛盾するのではないかともいわれる。また、サウジアラビアの人権問題を指摘するも「PGAツアーを支える多くのスポンサーがサウジアラビアで企業活動をしていることを不問にしてきたのに、今になって問題にするのはおかしい」とグレッド・ノーマン(LIVゴルフのCEO兼コミッショナー)が訴えるのも一理ある。

しかし、これまでPGAツアーが舞台として用意した試合で活躍し、名声を得た選手がメンバー規約に反するような形でLIVゴルフに参戦するのは「利益相反になる」というPGAツアー側の論理も成り立つ。PGAツアーがこれまで試合を開催することで創り上げてきたチャリティなどの財政支援や活動といった“社会的意義”を低減させるような存在も、脅威に感じても仕方ないだろう。

LIVゴルフに参加する選手としては、どのツアーのどの試合に出るということを決めるのは、選手の権利として主張している。どの立場の主張も一理あるため、今は意見がぶつかり合うだけで妥協策が見出せる空気ではないのだけは確かである。ミケルソンは全米オープンでの記者会見で、前回モナハン氏と話したのはいつ? との質問に「昨年10月」と答えた。妥協策が見出せるかどうか、どちらの対抗策が勝つか? という以前に、まずは停戦調停をもつことが第一歩なのではないか、と感じる。

LIVゴルフに参戦した選手がマスターズなどのメジャー大会へは出場できるのか、まだまだはっきりしないことが多いが、1日でも早い解決と決着はゴルフ界のためでもあることは間違いない。

取材・写真=田辺安啓
TEXT & PHOTO Yasuhiro JJ TANABE
アイキャッチ写真=LIVゴルフ

フォトグラファー
田辺安啓(通称JJ)●たなべ・やすひろ/1972年生まれ、福井県出身。ニューヨーク在住。ウェストバージニア大学卒業後、ゴルフコース、テレビ局勤務を経験し、ゴルフを専門とするフォトグラファーに転身。ツアーのみならず、コースやゴルフ業界全般に関わる取材も行っている。

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