
飛距離も方向性もアップ!スイングづくりはフェースの向きが生命線
スピード上達の秘けつは“フェース向き”にアリ!
美しい動きでクラブヘッドの芯でボールをとらえるには、クラブの軌道や入射角などを気にするよりも「フェースの向き」に注目!
とくに、スイングづくりやスイング改造に着手しても、思うように変わらない、成 果 が上がらないというゴルファーに必読のレッスンを紹介しよう。
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アマチュアの大半はオープンフェースでカット軌道

ヘッドのエネルギーを「余すことなく」ボールに伝えるには、インパクトでフェースをボールに“正面衝突”させる。つまり「スクエアインパクト」が必要不可欠です。なぜならば、ターゲットに対するスイング軌道とフェースの向きの差が少なければ少ないほど、ボールへのエネルギー伝達効率が上がるから。アマチュアの大半はターゲットに対してオープンフェース、そしてカット軌道でインパクトするので、ヘッドのもつ力を十分にボールへ伝えられません。
じつはこの「軌道」と「フェース向き」、それぞれ別に整えるのではなく、スイングの各ポジションでのポイントを押さえれば同時に修正が可能!とくに打球が曲がる原因との関連性の深い「フェース向き」を整えれば、方向性が上がりコースでのスコアメイクも容易になります。


スイング軌道(赤線)とフェース向き(白線)の差が大きいほど、エネルギーの伝達効率が低くなってしまう。この矢印をなるべく同じ方向に近づけていくことが方向性・飛距離アップの要だ。
フェーススクエアは一瞬でなく持続的に!

オープンな状態のフェースを腕や手首のリリースで急激に閉じようとすると、ターゲットに対してのスクエアな状態は一瞬、極端に短い時間になってしまう。運よくスクエアな状態にできればいいが、イチかバチか的で再現性はかなり低い。


スイングの各ポジションでフェースを適正な向きに管理できれば、ダウンスイング以降で余計なフェースターンはほぼいらない。フェースがスクエアな時間を長くキープするスイングをマスターしよう。
インパクトから逆算してスイングを考える

【インパクト時のロフト】15度前後
【フェース向き】1度から2度 オープンorクローズ
飛距離と方向性のよさを両立できるインパクト条件というのはある程度、上記にある数値の範囲内に決まっていて、簡単にいえば「ゆるやかなインサイド・アウト軌道でスクエアにインパクトすること」が重要です。この条件のインパクトを“安定的に、再現性高く”実現するためには、バックスイングから「フェース向きとヘッドのポジション」「スイング軌道」を整えていく必要があります。
また、すべてのポジションで意識してもらいたいのが「ヘッド重心の動きと拮抗すること」です。ヘッド重心はシャフト軸線より後方にあるため、フェースを「開かせる方向」に動こうとする。スイング中、この動きに制限をかけることがフェース管理のポイントとなります。
ヘッドが開きたがる動きに拮抗するトルクをかける

バックスイングでは左の写真のように、ハーフウェイバックの段階で「手よりヘッドが外側」にあることが重要です。このポジションにあることでヘッド重心をしっかり手のなかにつかまえることができ、フェースが開きたがる動きに拮抗(=抵抗)するトルクをかけられます。フェースの向きはやや下向き、前傾した背骨と平行ぐらいの向きが適正です。開きたがるフェースに対して、シャフトを「ねじる」イメージでこの向きを維持しましょう。
下半身から始動するとヘッドがインに入りすぎない

始動でクラブを手から動かしてしまうと、フェースが開きながらインサイドに上がっていきやすい。下半身から動かすとヘッドが遅れながら上がるので「ヘッドは外、手は内」のポジションができる。
正面を向くのはオープンフェースのNGパターン

トップではフェースがやや上を向く(○)のが、重心と拮抗した状態。フェースが自身の正面を向く(×)のはオープンフェースの状態で、重心がつかまえられていない。結果としてヘッドが不安定に動き、シャフトクロスやオーバースイングのトップになりやすい。

ハーフウェイバック以降、クラブを手で担ぎ上げてしまうとオープンフェースのトップになりやすい。胸をしっかりと右に向けるイメージで捻転すれば、自然にスクエアなトップが作れる。
重心の深さがフェースターンをうながす

ハーフウェイダウンでのフェース向きは「地面と垂直」が正解。このポジションのフェース向きも「背骨と平行」がいいとされることがありますが、私はこの“垂直ポジション”がちょうどいいと考えています。アイアンショットなら「背骨と平行」のフェース向きでいいと思いますが、ドライバーは重心が深く、ハーフウェイダウンからインパクトにかけて重心がフェース方向に向かう動き、つまりフェースターンを助長してくれる動きが入る。そのため、ハーフウェイダウンの段階でフェースが背骨と平行だと、フェースが返りすぎてしまう可能性があるのです。
そしてこのとき、ヘッドと手はバックスイング時とは逆の「ヘッドが内側、手が外側」の状態が正しい位置関係。この状態にあるからこそ、ここから体の回転でヘッドを力強く「引っ張れる」。おだやかなフェースターンからスクエアインパクトへ向かうことができるのです。
腕がまだ上がりきる前から体重を左サイドにシフトしていく

クラブが最頂点(トップ)に入りきる前から下半身をダウンスイング方向に回転させる。こうすることでヘッドが体のうしろ側にループし「ヘッドが内側、手が外側」の位置関係が作れる。

手でインサイドに下ろしてくるのはNG。あくまで下半身の動きに連動してヘッドがループすることが重要。
シャフトのねじれがフェースをスクエアに戻す

ヘッド重心がシャフト軸線上に向かうなかで、シャフトが自分から見て反時計回りにねじれるように動く。この動きを邪魔しないことが重要なのだが、スライサーのアマチュアはこれを苦手とする人が多いので、最初は意図的に反時計回りにねじるイメージでもOK。
【Drill】グローブにティーを指し甲の意識を高めてスイング

上の写真のようにグローブの甲側にティーを指す。すると、スイング中に手首を甲側に折らないように意識できるので、各ポジションでのフェース向きと軌道がズレやすくなる動きを防いで振れる。インパクト時のロフト角も安定するので、打ち出し角をそろえる練習にもなる。

このドリルで違和感やティーが手首に当たって痛みを感じる人は、フェースがオープンに動きすぎている。「そういう人はハーフスイングなど小さなスイングからはじめて直していきましょう」と小野。
いかがでしたか。フェースの向きをぜひ意識してみてください!

レッスン=小野耕平
●おの・こうへい/1997年生まれ、茨城県出身。中央学院大ゴルフ部を経て、指導者の道へ進み、石井忍主宰の「エースゴルフクラブ」にてインストラクターを務める。研究熱心で、物理と感性を両立したレッスンが持ち味。
構成=石川大祐
写真=相田克己
協力=エースゴルフクラブ赤坂