通算6勝目・菊地絵理香のスイングを解説!プレーオフを戦った2人のスイングも紹介

8月27日にJLPGAツアー「ニトリレディスゴルフトーナメント」の最終日が行われ、天候により中止が決定。第3ラウンド終了時の首位タイの菊地絵理香、申ジエ、岩井明愛のプレーオフが行われました。

プレーオフの結果、菊地絵理香が優勝を飾りました。今回はプレーオフを戦った女子プロ3人のスイングを解説していきます。

最初は、岩井明愛のスイングを石井忍コーチに解説してもらいます。

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手打ち解消のヒントになる上半身の押し込みで飛ばす!

右ワキを締めたままのコンパクトなトップでも飛ばせる理由は?

ヒザをほとんど曲げず前傾角度を浅くしてややツマ先体重で構える
(❺)インパクトでも右ヒジを曲げたまま打っている

昨年は妹の千怜選手が2勝して、今年は姉の明愛選手が優勝しましたが、明愛選手のほうがパワフルでアスリート系のスイングです。体幹が強い選手ですが、ムダな動きが少ないのでアマチュアのお手本になると思います。

一番参考にしてほしいのはコンパクトなトップ。トップで右ワキが締まっているので上半身に一体感があります(❸)。ダウンスイングでも右ワキが締まった姿勢をキープして(❹)、インパクトでは右ヒジを体にくっつけたまま打っているので体全体のパワーがボールに伝わります(❺)。そして、インパクトからフォローにかけては、曲げていた右ヒジを伸ばすことによってボールを押すことができるので飛距離が伸びる。このトップからダウンスイングまでの動き方が、手打ちのゴルファーとは決定的に違います。手打ちになっている人はトップで右ワキがあいて、ダウンスイングでは右腕と体が完全に離れています。こうなると、インパクトの瞬間には腕の力しかボールに伝えられません。

スイング中のバランスがいい明愛選手ですが、アドレスではややツマ先側に体重をかけることで体が後ろに倒れない。土台となる下半身の強さと安定感も飛ぶ理由のひとつですね。

岩井明愛

●いわい・あきえ/2002年生まれ、埼玉県出身。161cm。今シーズンはダイキンオーキッドレディス6位タイ、明治安田生命レディスで10位タイに入り、KKT杯バンテリンレディスでツアー初優勝Honda所属。

いかがでしたか? 手打ちになってしまう人はぜひ岩井明愛選手のスイングを参考にしてみてください。

解説=石井忍

●いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。日大ゴルフ部を経て98年にプロ転向。その後、コーチとして大西葵など多くのツアープロを指導。現在は千葉市や東京の赤坂、神保町でエースゴルフクラブを主宰し、アマチュアのレッスンも行なっている。

次は申ジエ選手のスイングを解説します。

傾斜地でのスイングのように下半身を安定させる

ベタ足でも左ヒザを伸ばして地面反力を使っている(写真⑤)下半身の土台が安定しているぶん、クラブをしっかり振ることを心がける(写真⑥)

開幕戦で優勝した申選手は、2008年の日本ツアー初優勝から今までコンスタントに勝利を重ねている選手です。その要因はスイングの安定性で、長く活躍できている理由のひとつだと思います。

コンパクトでオーソドックスなスイングはクセが少なく、韓国出身の選手に多いのですが、ポイントとなるのはインパクトで右足があまり浮かない「ベタ足」です。最近は地面反力などの動きが流行っていて、ベタ足でスイングする人は少なくなりましたが、申選手のダウンスイングやインパクト付近でのベタ足(❹❺)は、足場が不安定な傾斜地で打つときのように下半身が安定しているので、体の上下の動きが減る。すると、クラブの入射角が安定するので、トップやダフリなどのミスが少なくなります。

もちろんベタ足になると、飛距離が落ちるという懸念もありますが、ベタ足でもインパクトで左ヒザを伸ばしているのがもうひとつのポイント(❺)。伸ばさずに打つとただ安定させているだけですが、ベタ足のなかでヒザを伸ばすことでパワーが生まれます。

ベタ足だと安定したスイングができ、さらにヒザを意識することで飛距離も期待できます。

申 ジエ

●しん・じえ/1988年生まれ、韓国出身。155cm。今シーズンは開幕戦のダイキンオーキッドレディスで優勝。Tポイント×ENEOSゴルフトーナメントでは3位に入った。ツアー通算27勝。スリーボンド所属。

解説=赤坂友昭

●あかさか・ともあき/1985年生まれ、福岡県出身。選手として活動後、ゴルフコーチに転向。クラブ力学、物理学、運動力学を日々追求しながら、東京・三鷹市の東京ゴルフスタジオや新宿のトータルゴルフフィットネスにて、プロ、アマチュア、ジュニアなどのレッスン活動を行なっている。

最後に、優勝した菊地絵理香プロのスイングを解説します。

飛距離は出るけど方向性が安定しない人は、切り返しの動きを少なくしよう

②大きなスイングアークは静かな切り返しにつながっていく、④右ヒザの角度を保って腰を回すと前傾角がキープできる

ある程度は飛ばせるけど方向性が安定しない人や、一生懸命振ってボールを叩いても飛ばない人は菊地選手のスイングをマネしてください。今流行りの地面反力を使うスイングではなく、静かなスイングですが、効率よく飛ばしつつ方向性も上げるポイントがあります。

⑤の切り返しで、体が上下にも左右にも動かないのが特徴で、これはアドレスの時点で前傾させた骨盤の角度を保ったまま、腰をしっかり回すことが大事です。すると、スイング写真は角度的に少し見づらいですが、両ヒザがあまり動かない。とくに、アドレスから切り返し(①〜⑤)で右ヒザは伸び縮みさせないのが、上体の前傾角をキープするコツになっています。

切り返し以降もスイングが大きく乱れないので、スイング全体の再現性が高まる。スイングだけでなく球筋の安定感も増します。

ヒザの動きを極力抑える菊地プロのスイングをぜひ参考にしてみてください。

菊地絵理香

●きくち・えりか/1988年生まれ、北海道出身。157cm。22年シーズンはニチレイレディス2位タイ、大王製紙エリエールレディスオープン3位、リコーカップ3位に入った。メルセデスポイントランキング13位。ミネベアミツミ所属。

解説=樋村隆二
●ひむら・りゅうじ/1976年生まれ。エースゴルフクラブ千葉のチーフインストラクター。プロのスイング研究に余念がなく、それをアマチュアに合わせて教えるレッスンに定評がある。ほとんどの生徒がベストスコアを更新している。

構成=野中真一、編集部
写真=ゲーリー小林、小林司、田中宏幸、相田克己

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