“ぶ厚いインパクト”を作る方法をゴルフ好き研究者が解説!

ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。斬新な視点と理論が、レベルアップを目指すゴルファーに新しい上達のヒントをもたらす!

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前提ひとつで感覚は変えられる

ゴルフでのインパクトのイメージは、イラストAのようにボールを目標方向に後方から傍観者目線で眺めるというのが一般的だと思うが、これは左足付近で後ろから叩くイメージが強く、ハンドファーストで体の正面でスクエアに打つイメージからはかけ離れてしまう。加えてこの視点では、地面も否応なく視野に入る。これに対しイラストBのようなプレーヤーの主観目線では、正面のボールを右サイドから叩く違和感がなくなり、ボールも宙に浮いているものと考えると地面も気にならなくなるため、スクエアなインパクトが行なえる

前号、前々号とボールに厚く当てにいきながら、ナチュラルな下方スライドでバックスピンをかけるという話をしました。今号はそれを受けて、実際に厚くボールを打ちにいくコツを説明したいと思います。

一般的にゴルフでは、ボールの赤道から南極までにリーディングエッジを打ち込めばいいのだから難しくないといわれます。確かに範囲も広いのでやさしそうに見えるのですが、じつは私たちはこのような漠然とした範囲内を通す作業は得意ではないのです。たとえば、自転車が両脇にずらっと並んだ狭い路地を車でギリギリ通り抜けるときのことを考えてみましょう。このピンチな状態で左右の自転車を確認しながら隙間をすり抜けようとするより、右側の自転車との距離だけに注意を払って通ったほうが確実です。なぜならばセーフゾーンというのは、漠然としていてむしろ外すことの恐怖からマイナス思考に陥りやすいのに対し、逆に右側1点に集中した場合は、そこをクリアすればいいとポジティブ思考になれるからです。ゴルフでも赤道から南極までのセーフゾーンは、外したときの惨事の記憶を呼び戻し、むしろ緊張してしまうことになります。そこでお勧めしたいのが、フェースでボールの1点を打ちにいくしかないという状況を作ってしまうテニス式のポジティブ思考のとらえ方なのです。

まずは、7番アイアンを手に取ってみましょう。そして、60から80ヤード前後の短い距離をアプローチ的にコントロールショットで打つことを考えてみます。プル角を意識し、ハンドファーストにしてアドレスすると、イラストBのように右足寄りにヘッドがくると思います。これが打ちやすいかどうか、ここで関連してくるのがヒットイメージです。多くの人はショットの際、イラストAのようにボールの後ろ側から見ているイメージをもっていると思いますが、この視点では手前から打ち出すイメージなので右足寄りで打つのは辛く感じますし、同時にダフりも気になるところだと思います。オープンスタンスにすれば腰が開いて見かけ上、ボールを左に移動できるので違和感は緩和できるのですが、限度があります。

じつは、これまであえて触れないできましたが、これを打破するために視点をアドレスの際の目線にしてみます。ハンマー投げのハンマーを振り回して鉄球でボールを右側面からたたくことを想像してみるといいのですが、この視点でインパクトをイメージするのであれば、フェースをスクエアにしっかり合わせて体の正面、もしくはそれよりも右側にボールがきても何の違和感もなく楽に打てると思います。さらに、ボールは地面に置かれているのではなく、宙に浮いていてそれを打ちにいくと考えてみましょう。このように考えることで地面の存在を意識から消すことができるので、地面に置かれたボールを打つことに対するプレッシャーをさらに軽減できます。

ピンポン球のように軽々とボールを打つ

さて、テニスではスピンをしっかりかけるため、短く打つ際もインパクト圧、スピン量で対応し、意図的にストロークを小さくしてスイング速度の調節はしません。今回もフルストロークを意識します。左腕が水平まで上がったら、自然に右手首の背屈を行ないクラブを立ててトップを作る。その背屈をキープしたまま腕を自重で落下させるように、上半身リードで切り返しを行ない加速してください(ヘッドから振ってしまうと手打ちになってしまうので注意!)。左腕が真下に垂れ、インパクトを迎える直前にインナーカウンターで左ワキを引き締めると、左腕が減速、右腕を受け止めるような形になって、逃げ場を失った運動エネルギーは背屈を解き、左手首を軸とする二重振り子運動を誘発、一気に加速します。この加速後は、勝手にスイングが進行するため制御できない状態に陥ります。すると、気弱になってインパクトを緩めたくともできない状態になる。覚悟を決めて事前に決定していたインパクトでのフェースの状態「インバースキネマティクス」(2023年5月号参照)の実現を目指し、自信をもってポジティブに打ち切ります。

こうすることで、インパクトは方向性、強度面で安定し、フェースに厚く乗ったボールはピンポン球のように軽々と飛んでいくのです。もちろん意識するスイングはインパクトのそのときまでで、インパクト後は惰性にまかせます。

ちなみにインナーカウンターによるブロックは、左手と右手の行き違いを利用した、ある意味テコを利用した加速です。これとまぎらわしいのが、右手を支点、左手を力点とし、意図的に上下させてヘッドを加速する、いわゆる「テコの原理」というものがあります。現象面だけ見ると、テコの原理で同じことをいっているように見えるのですが、恣意的に人が関与しているか否かという部分では決定的に違うわけです。フェースターン同様、こういった再現性を必要とする部分は、人為的に関与すると不安定となるため、やるべきではないとしっかり区別をつけておきましょう。

いかがでしたか? 少し違う方向から思考することで新たな発見が見つかるかもしれません、ぜひお試ししてください。

文・イラスト=サンドラー博士

●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。

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