原英莉花の“飛ばし”の秘密を解説!「腕をムチのように…」とコメント
人気も実力もある岩井明愛選手のスイングを解説していきます。体重移動や回転の仕方などを参考に、自分に合う飛ばし方を見つけよう! ※選手の記録は11月4日現在のもの
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ダウンスイングで前傾を深めると方向性も安定する
岩井明愛選手の特徴は、全身のパワーを使って飛ばしていることです。体重移動や地面反力、コッキング、フェースローテーションを使い、最後はジャンプする動きも入れて振っています。そのスイングを詳しく説明していくと、バックスイングでは右足に体重を乗せながら(❷)、トップまでに手首のコッキングを入れて(❸)、ダウンスイングでは左足で地面を蹴って体を回転させている(❹)。
さらにインパクトからフォローにかけては、ジャンプする動きでヘッドを加速させていく(❺❻)、飛距離アップのテクニックの〝全部乗せ”のスイングです。そのなかでも特筆すべきは、インパクト後のジャンプをする前に、1度しゃがみこむ動きですね。ジャンプする選手は方向性が不安定になりやすいのですが、岩井選手は精度の高いティーショットを打ちます。
その秘けつは、上半身を丸くして前傾を深くしていることにあり、上半身が伸び上がらず前傾角度を深めると、ボールにしっかりパワーを伝えられる。クラブの軌道も正しいプレーンから外れないので加速力も上がる。パワフルでも打球が暴れないスイングですね。
岩井明愛
●いわい・あきえ/2002年生まれ、埼玉県出身。161cm。今シーズンはKKT杯バンテリンレディス、住友生命Vitalityレディス 東海クラシック、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで優勝。メルセデス・ランキング3位。Honda所属。
※選手の記録は11月4日現在のもの
軸をキープしたまま体を回転させてヘッドスピードを上げる
岩井明愛選手、原英莉花選手は、体重移動を使った飛ばし方でしたが、菅沼菜々選手は回転で飛ばすタイプです。バックスイングでは積極的な右足への体重移動よりも、軸をセンターにキープしたまま上半身を最大限に捻転させているのが特徴で、手首を使うコッキングも少なめ(❷❸)。ダウンスイングも同じく、体重移動よりも軸をキープしたまま体を回転させることでヘッドスピードを上げています。
アマチュアの参考になるのは、右足ツマ先の動きです。菅沼選手のダウンスイングは右足をツマ先立ちにして、ツマ先を支点にしながら体を回しています。これは、下半身をスムーズに回転させるコツで、フォローで両足のカカトが浮くのは回転力を高めるためのテクニックのひとつといえます(❻)。また、菅沼選手はバックスイングからトップでは頭が少し左に動きますが、頭を無理に固定させないから、ここまで深い捻転ができる(❸)。
しかし、ダウンスイングからフォローまで(❹〜❼)は、ほとんど頭が動いていません。回転系のスイングは、軸をキープすることが大切なので、切り返し以降は頭の位置を動かさないことを意識してください。
菅沼菜々
●すがぬま・なな/2000年生まれ、東京都出身。158cm。今シーズンは、ブリヂストンレディスで3位タイ、アース・モンダミンカップで4位タイを記録し、NEC軽井沢72ゴルフとマスターズGCレディースで優勝を果たす。あいおいニッセイ同和損保所属。
※選手の記録は11月4日現在のもの
体重の“揺り戻し”で回転スピードをさらに上げる
身長170センチを超える原英莉花選手は体格に恵まれているだけでなく、バックスイングでも両手を伸ばしたままクラブを上げているのでスイングアークがすごく大きい(❷)。さらに手首をやわらかく使ってスナップを効かせて振っています。女子プロでも、ここまで手首をやわらかく、腕をムチのようにしなやかに使う選手は珍しい。
手首だけではなくヒジもやわらかく使う腕の使い方は、男子ツアーで5回も年間平均飛距離ナンバー1になった額賀辰徳選手のスイングに似ています。もうひとつ注目してほしいのは、ダウンスイングでの体重移動です。切り返した瞬間に左足に体重をかけていきますが(❸)、その反動で一旦、右足に体重が戻り(❹❺)、最後に全体重を一気に左足に乗せていきます。
単純に右から左に体重移動するダウンスイングではなく、1度、体重を揺り戻す動きが入る。それが反動となり、ターボのような加速力を生み出すスイングは、女子ツアーではトップクラスのヘッドスピードが出ているでしょう。
原英莉花
●はら・えりか/1999年生まれ、神奈川県出身。173cm。今シーズンは、Tポイント×ENEOSで3位タイ、ニトリレディスで9位タイに入り、日本女子オープンでは2位に3打差をつけ、3年ぶり2度目の優勝を果たす。NIPPON EXPRESSホールディングス所属。
※選手の記録は11月4日現在のもの
解説=奥山ゆうし
●おくやま・ゆうし/1983年生まれ、埼玉県出身。トーナメントプロ資格をもち、プレーヤー時代の経験と研究をもとにゴルフレッスンを行なっている。YouTubeチャンネル【OKゴルフ‐関節フリーで飛ばす】は登録者数9.4万人を超える。
構成=野中真一
写真=ゲーリー小林
取材トーナメント=ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ
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