“正しいトップ”は?「捻転はNG!本当は…!?」吉本巧コーチがレッスン!

アイアンはスイングもクラブもカッコよさが大事!

今回はスイングも弾道も美しく、強くなるスイングのコツを吉本コーチに教えていただきました。

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ねじろうとするとバランスを崩して当たりも薄くなる

頭半個ぶん右に動く、前傾なりに自然に回転、止めずに回してOK

アイアンのカッコいいスイングとはどんなスイングかと言われると、長いインパクトゾーンで球をとらえ、当たりがぶ厚く重い。打音は硬く乾いた音がします。そして、ダウンブローではあっても極端ではなく、再現性の高いゆるやかな入射角で打てるスイングを目指したいですね。

そのために何が重要かと言うと「捻転」ではなく「回転」でスイングすることです。体の上下の捻転差を大きくしようとすると、プロなど身体能力の高い一部の人以外は、リキんで逆体重になったり伸び上がりやすい。それよりもスムーズにシャープに回転して打つスイングをするほうがカッコいいし、インパクトもぶ厚くなるのです。

アマチュアにとって捻転は危険な動き

無理に捻転しようとするとリキみやすく、逆体重になったり(左)、前傾角度が崩れやすい(右)

”Xファクター”は25~40度で十分

旧来は捻転差を大きくするため腰を回しすぎず肩を深く回せと言われてきたが、腰を大きく回し、捻転差は小さくてOK!

左肩と右腰をセットで右に向けてバックスイング!

胸の面が右下を向くように腰ごと右に向ける

ねじれは生じずにそのまま右を向く感覚です!胴体の”対角線”を意識しよう

回転でスイングするためには、バックスイングでまずは腰と肩をセットで回すことが必要です。腰を止めて上体をねじるのではなく、骨盤と両肩でできる上体の面全体を右に向けるイメージ。

とくに始動では右腰を背後に動かす感覚が必須です。これによって腰がスムーズに回ってバックスイングがはじまり、回転運動をスタートできます。

右腰と左肩の上体の「対角線」が、伸び縮みせずに長さと角度を保ったまま上体を右に回す

そしてバックスイングでは左肩が下がることを忘れないでください。前傾したまま回転すれば、左肩はアドレスよりも下がるのが自然なんです。

ポイントは右腰と左肩を結んだ上体の対角線部分が一緒に動くイメージをもつこと。その結果、胸の面が右下を向いたリキみのないトップに収まりやすくなります。

バックスイングのPoint1 右腰を背後に動かす

バックスイングの始動では腰の右側が後ろに動いて腰が回転することが大事。

腰が右に流れるとスエーになるので注意しよう(×写真)

ズボンの右腰のベルトループを後ろに引っ張るようなイメージ

バックスイングのPoint2 左肩はアドレスより下がる

左肩はアドレスの位置から右下に動く。上体の回転に伴い、左肩が少し下がりながら右足に近づくようなイメージだ

バックスイングで左肩が下がらないと、前傾が崩れて伸び上がってしまう

バックスイングのPoint3 胸の面は右下を向く

上体の前傾を保ったままスムーズに回転してバックスイングすると、トップで胸は右下を向く

左ヒザを伸ばしつつ左カカトに乗って腰を回転させる

ダウンスイング以降で大事なのは、左カカトに乗っていくことです。バックスイングとは反対に、左腰を背中側に動かしていきます。よく「左ツマ先側に踏み込んでから回転」という指導がありますが、多くのアマチュアはこれでは回転が間に合いません。

左足のツマ先側に踏み込むと腰が回らずにスイングが詰まってしまうので注意

左カカト方向に乗っていくことで左腰が切れ上がり、左ヒザは伸びます。「左のカベ」は意識せず、左足のツマ先側がめくれるくらい思い切ってカカトを踏んでOKです。左ヒザが伸びてお尻が上がれば相対的に頭が下がるので、前傾姿勢もキープできます。

このとき右足は内側に倒すイメージ。インパクトまで右足の土踏まず側を地面にくっつけておきましょう。

切り返しは左足カカト方向に

切り返しの直後から、左ヒザを伸ばしつつ左足のカカト側に乗っていくことで回転を促進する

お尻が上がれば頭が下がる

前傾を維持するにはお尻の位置が上がるイメージが有効。左ヒザが伸び、右腰が切れ上がればお尻が上がり、結果的に頭も下がる

お尻が下がると頭が上がって上体が起き上がり、手元も浮いてダフリやすい

右足の内側が”線”で接地するように倒す

ダウンスイングでは右足を内側に倒していく。右足の内側が線で接地したままインパクトを迎えるイメージをもとう

右足のツマ先を踏むと右足がねじれ、体の右サイドが出てカット軌道になってしまう

手は何もしない!ただしちょっとだけ上がる

「グリップアップ」が起こることを知っておこう

インパクト
ソールがピッタリ

ここまで体の動きにフォーカスしてきましたが「じゃあ手はどう振るの?」と思うかもしれません。理想は「手は何もしない」ことです。腕を振ろうとか手を返そうという意識がなくても、体が正しく回転し、切り返しではジェットコースターが最高点から下ってくるように「回転戻し」で動けば、手やクラブはいい位置に動きます。

アドレス
トゥ側が少し浮く

唯一気にしてほしいのが、「グリップアップ」です。インパクトの形を作ると、アドレスよりも手元は少し高い位置にきます。これは意図的に作らなくてもいいのですが、こうなるということを理解しておいてほしい。これはインパクトゾーンで、地面をこする素振りで体感してみてください。

前傾が起きて手元が浮くのではなく、正しいインパクトができても手元の位置はアドレスよりも少し上がるのが自然

”グリップアップ”のインパクトゾーン素振り

インパクトの形を作ったまま、ボール前後30センチくらいをソールで地面をこするように掃くことで、インパクトゾーンの「グリップアップ」を体感できる

ダウンスイングは”回転戻し”の自然な動き

切り返しからダウンスイングの動きは、ジェットコースターが頂点から下りてくるときのような重力に任せた自然な動きが理想。これを「回転戻し」と呼ぶ

ダウンスイングで能動的に腕を振ったり上体を回そうとすると、頭が突っ込んでしまいカット軌道になりやすい

いかがでしたか? 身体の回転を意識して、よりよいスイングを手に入れられるよう、練習してみましょう。

レッスン=吉本巧

●よしもと・たくみ/1980年生まれ、兵庫県出身。14歳で渡米し20歳のときにアメリカでプロ資格を取得。現在は「現座ゴルフアカデミー」を主宰し、アマチュア指導に注力。

写真=田中宏幸
協力=取手桜が丘ゴルフクラブ(アコーディア・ゴルフ)

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