アイアンの飛距離が出ない原因は?プロ解説「ロフトの立て方」に注目

アイアンをもっと飛ばしたい!そう思って力いっぱい振っても、思ったほど飛ばなかったり、ダフリやトップが出てしまうことはありませんか?

原因は単純なパワー不足ではなく、ロフトの使い方や身体の動かし方に隠されています。特にアマチュアはドライバーと同じ感覚で打とうとするあまり、ロフトを寝かせてしまい、芯に当たらず飛距離をロスするケースが多いのです。

本記事では奥嶋誠昭コーチが、プロが実践しているロフトの立て方や踏み込みのタイミング、厚いインパクトを生み出す動作を解説します。正しい知識を身につけ、アイアンのスキルアップを目指していきましょう。

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アイアンの飛距離に関する基礎知識

アイアンの飛距離を最大化するためには、まず基本的な構造と役割を理解することが重要です。アイアンは主にミドルレンジのショットで使用され、コントロール性が求められます。飛距離を出すためには、正確なスイングと適切なクラブ選びが鍵となるでしょう。クラブフェースの角度を意識し、ボールとの接触時にしっかりとしたインパクトを得ることがポイントです。

またスイング時の体重移動やリズムも飛距離に大きく影響します。実際のプレーでは、風向きや地形などの環境要因も考慮に入れることが必要でしょう。これらのポイントを押さえることで、アイアンの飛距離をより効率的に伸ばせます。

キャリーとランの違い

ゴルフにおける飛距離は、大きくキャリーとランの2つに分けられます。キャリーとは、ボールが空中を飛んでいる間に進む距離を指し、主にスイングの力や角度が影響します。一方、ランはボールが地面に着地した後に転がる距離で、地面の状態やボールのスピンが関与しているのです。例えば、風が強い日にはキャリーが短くなり、ランが増えることがあるでしょう。

2つの違いを理解することで、アイアンショットの戦略を立てる際に役立ちます。プレーヤーは、キャリーとランを考慮してクラブ選択を行い、打つ際のスイングを調整することが重要です。その結果、より精度の高いショットを実現し、スコアアップに繋げることができるのです。

男女別の平均飛距離の目安

アイアンの飛距離は番手と性別によって異なるため、まずは基本的な目安を知ることが大切です。一般的に、男性は7番アイアンで約140〜160ヤード女性は約110〜130ヤードが目安とされています。飛距離アップを狙うには、練習場で自分の飛距離を測定し、実際のコースでデータを活用することが有効です。

そして風の強さや地形による影響も考慮して、クラブ選択を慎重に行うことも鍵となります。最終的に、自分のスイングスタイルに合ったアイアンを選び、安定したプレーとスコアアップを目指していきましょう。

アイアンの飛距離が出ない原因と解決法

アイアンの飛距離が出ない原因は、スイングのフォーム不良、クラブ選びのミスマッチ、身体の柔軟性不足などが考えられます。まずスイングの基本を見直し、正しいフォームを身につけることが欠かせません。ボールの位置やスタンスを確認し、肩の回転を意識したスイングを心がけましょう。

また、自分のスイングスピードやプレースタイルに合ったアイアンを選ぶことも大切です。軽量でシャフトが柔らかいクラブは、スイングスピードが速くない方に適しています。さらに、ストレッチや筋力トレーニングを通じて体の柔軟性を高めていき、アイアンのスコアアップにつなげていきましょう。

身体の使い方やミート率が飛距離を左右する理由

アイアンの飛距離が伸びない理由のひとつに、身体の使い方が挙げられます。スイング中に体重移動が不十分だと、パワーがしっかりとボールに伝わらず、力強いショットになりません。また肩の回転がぎこちない場合も、クラブスピードが上がらず飛距離不足につながってしまいます。さらには、ミート率の低さも大きな要因となります。インパクトの瞬間にクラブフェースがスクエアに当たらないと、ボールに効率よくエネルギーが伝わらず、方向性だけでなく飛距離も落ちてしまいます。手首の柔軟性が乏しかったり、グリップの強弱が安定していない場合も、正確なコンタクトを妨げる原因となるでしょう。

そのためアイアンの飛距離を最大化するためには、身体の使い方とミート率の向上が重要です。体重を左足にしっかりと移動させることで、スイングのパワーをボールに効率的に伝えることができます。また肩の回転をスムーズに行うことで、クラブのスピードを上げることが可能となるでしょう。ポイントを意識し、練習を重ねていけば、安定したショットと飛距離の向上が期待できます。

アマチュアゴルファーが陥りやすいミスと改善策

アマチュアゴルファーがアイアンの飛距離を伸ばす際に直面する問題点として、スイングの安定性不足が挙げられます。スイングの速度が不均一であったり、体の動きが同期していないと飛距離ロスにつながってしまいます。これはスイングの基本をしっかりと理解していないために起こることが多く、結果として飛距離が安定しません。

このような問題を解決するためには、まずスイングの基本をしっかりと学び、体全体を使ったスイングを心がけることが重要です。具体的な練習方法としては、鏡を使ったスイングチェックや、スローモーションでのスイング練習が効果的でしょう。さらに、グリップの強度や手首の柔軟性を調整することで、クラブフェースがボールに対してスクエアに当たりやすくなり、飛距離の向上につながります。

アイアンの飛距離を伸ばす実践的な方法

アイアンで飛距離を伸ばすためには、まず正しいスイングフォームを身につけることが大切です。体の使い方、手首の角度、足の踏み込みなどをしっかりと理解することで、アイアンの飛距離と方向性のバランスが向上します。

実際に奥嶋誠昭コーチのアドバイスをもとに、アイアンの飛距離を伸ばす実践的な練習法を紹介していきます。

アイアンはロフトを立てないと芯に当たらない

アイアンは「手首の角度キープ」がマスト! アイアンでは右手首をリリースせずに、インパクトでも曲がっている状態で打つのが基本だ

アイアンとドライバーの飛ばし方で決定的に違うのは、インパクトの瞬間のロフトの角度です。ドライバーはスペックどおりのロフトよりも1、2度寝かせて、ややアッパーブローで打つのがもっとも飛ぶ。しかしアイアンは、ロフトを寝かせると大幅に飛距離ダウンしてしまいます。

プロはロフト32度前後の7番アイアンをインパクトの瞬間は24度~25度くらいまで立てて打っている

「ギアーズ」でツアープロのスイングを計測すると、アイアンはロフトを約7度も立ててインパクトしていました。ロフトを立てることによってボールスピードが上がるのはもちろん、そもそもアイアンの形状ではロフトを立てないとフェースの芯にボールが当たりません。だからプロは、ハンドファーストにしてロフトを立てて打っているのです。

アマチュアはロフトを寝かすからダフリやすい

アマチュアのデータで多いのが、ロフトを2、3度寝かせて打っているタイプ。アイアンのロフトを寝かせてしまうと飛距離が落ちるだけでなく、ダフリの原因にもなる

踏み込みが遅いとスエーしてしまう

勝みなみプロのスイング。ヘッドが頭の上にあるタイミングで左足を踏み込んでいる:切り返す前やヘッドがまだ高いポジションにあるタイミングで、すでに体を沈め、左ヒザが少し曲がるくらい強く踏み込んでいる(左から2番目)左足を早めに踏むことでインパクト前にはる“地面反力”で左足が伸びる:インパクト直前には踏み込んだ方向とは逆方向に力を向ける地面反力によって、左足が伸びはじめている。これによってボールに強いパワーが伝わる(左から3番目)

ロフトを立てるからといっても、腕の動きだけで立てるのはNG! それは手打ちのスイングです。アイアンでロフトを立てるために大事なことは、左足の踏み込みです。

トップからインパクトに向かって左足を踏み込む動作を行なっている人もいますが、ほとんどのアマチュアは左足を踏み込むタイミングが遅くて、弱い! 踏み込みのタイミングが遅いと体が左に流れてしまうスエーが起こってしまいます。

ツアープロのアイアンショットを見ると、トップが決まる前から左足への踏み込みがはじまっています。そして、インパクトの瞬間には踏み込んだ反動で左足が伸びている。この踏み込みと反動によって左足が軸となるため、ハンドファーストの姿勢で打てるのです。

ドライバーは右足を踏み込みアッパー軌道で打つ!

ドライバーはアイアンほど左に踏み込まない。むしろ、右足を踏み込むことによって適度なアッパーブローになる。

左手の甲を目標に向けて当たりをぶ厚くする

左腰を回しながら左手を引っ張る:インパクトからフォローにかけては左腰を回しながら左腕を引っ張る。すると、左手の甲が目標を向く。

昔からアイアンはダウンブローが理想とされていますが、ほとんどのアマチュアはできていません。その原因は右手の使いすぎにあり、右手で打とうとするからリリースが早くなったり、フェースを返しすぎてしまうのです。

切り返しからインパクトまでは、左手1本でクラブを引っ張るように振れば、手元は下方向に動き続けます。そうすれば、絶対に軌道はダウンブローになる。このとき、左手の甲を目標に向けたまま動かすことを意識してください。その向きをキープできればフェース面もスクエアになっているので「ぶ厚い当たり」のインパクトになる。これが飛距離アップにもつながります。

左ワキを締めたまま左手首の角度をキープする

左ワキを締めたまま左手1本でクラブを下ろすと、アーリーリリースにもならない。自然とハンドファーストでインパクトできる

右手で打つ感覚はフェースが返って「薄い当たり」になる

右手で打とうとすると急激にフェースターンしたり、リリースが早くなるため「薄い当たり」になってしまう

ドライバーとアイアンの主な違い

ゴルフにおいて、ドライバーとアイアンは異なる役割を持ちます。ドライバーは主にティーショットで使用され、飛距離を最大化することが目的です。そのため、ヘッドは大きく、シャフトも長く設計されています。一方、アイアンは精度が求められるショットで使用され、特にアプローチショットに適しています。アイアンのヘッドは小さく、シャフトも短めで、ボールを正確に打ち分けるための操作性が高まります。ドライバーのスイングは力強さが求められるのに対し、アイアンでは技術とコントロールが重要です。

それぞれのクラブの違いを理解し、プレイの質を向上させていきましょう。

ドライバーはいいのにアイアンが当たらない原因は両肩の角度!

アイアンのインパクトはアドレスの再現が理想:アイアンは、両肩のラインが平行に近いほうがスイングの再現性が高くなる。極端に右肩を下げるとロフトが寝てしまう
ドライバーは右肩を下げてもOK!:アッパー軌道で打つほうが飛ぶドライバーは、インパクト前から右肩が下がるスイングでOK

ロフト以外だと、ドライバーとアイアンの打ち方で決定的に違うのは両肩の角度です。「ギアーズ」でプロのドライバーとアイアンのインパクトを比較すると、ドライバーは右肩がしっかりと下がっていますが、アイアンでは少し下がるくらいです。

ドライバーはティーアップしているので、右肩を下げてあおり打ちの姿勢になってもボールを強く叩けます。

しかし、アイアンで右肩が下がりすぎてあおり打ちになると即ダフる。アイアンはインパクト直前に両肩のラインがほぼ地面と平行になり、フォローで少し右肩が下がるくらいが理想です。「ドライバーの調子がいいのにアイアンが当たらない」という人は、右肩に問題があるケースが多いです。

ドライバーとアイアンで肩の角度は約10度も違う!

「ギアーズ」でツアープロのデータを見ると、ドライバーでは両肩のラインが29度傾いているのに対して、アイアンでは18度だった

まとめ

アイアンの飛距離を伸ばすためには、クラブを振る力よりも、いかに効率よくロフトを立ててインパクトを迎えるかが鍵となります。プロはインパクト時にハンドファーストで構え、ロフトを立てることで自然に芯を捉えています。一方で、アマチュアに多い「ロフトを寝かせる打ち方」や「左足の踏み込みが遅れる癖」は、飛距離を奪う大きな要因となっているのです。左手の甲を目標に向け続ける意識や、トップから素早く踏み込む動作を取り入れることで、厚い当たりとスピン量の適正化が実現し、弾道も力強くなります。ドライバーとの違いを理解し、アイアンに特化した打ち方を身につければ、課題と感じていた部分が大きな強みへと変わるはずです。

本記事を参考に、アイアンの飛距離アップを狙っていきましょう。

レッスン=奥嶋誠昭
●おくしま・ともあき/1980年生まれ。ツアープロのコーチを務めながら「ノビテックゴルフスタジオ」では、ギアーズなど最先端機材を使ったスイングの研究やレッスンを行なっている。

構成=野中真一
協力=ノビテック 横浜スタジオ

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