“正しいグリップ”をゴルフ研究者が伝授!ヘッドが「したいようにさせてやる」

ゴルフはスポーツのなかでも、とくに意図した動きができないといわれる。その原因が「細胞や脳に関係する」とわかり、自身も素早く100切りを達成した研究結果をレポート。斬新な視点と理論が、レベルアップを目指すゴルファーに光明を射す!

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アンバランスを脳は嫌う

ゴルフクラブのヘッドはスクエアに構えようとすると、ヘッドの大半がシャフトの右側にくるアンバランスな状態になってしまい、脳はこれをストレスととらえる。安定したグリップをするためには、逆に脳がもっとも落ち着く状態を作り出し、その状態から「後退角」を入れることで、スクエアを作り出すという発想が有効である

今月からは実際にボールを打ち、そこで起こっていることから、何が正しく、何が間違っているのかをしっかり判断していくためのお話をします。それによってターゲットを、ボールを投げるようにしっかり狙っていくことを目指していきたいと思います。

まずはグリップから。初心にかえって、私たちがゴルフを最初に教わったときのことを思い出してみてください。オーバーラッピンググリップだの、インターロッキンググリップだのの握り方があること。そして、左手の親指の位置や親指と人差し指で作られるV字型が、どこを指していなければならないなどの説明を受けたと思います。

当然、真っすぐ打つためには、飛球線方向に対してフェースをスクエアにする必要があります。しかし、やってみるとすぐわかるのですが、上の図のAのように、ゴルフクラブはヘッドのほとんどの要素がシャフトの右側にある特殊な形状をしています。そのため、フェースの方向合わせは、視覚的にも重量バランス的にもアンバランスな状態下で行なわなければならず、脳にとってはかなりのストレスとなる。そしてこれは、結果としてイラストBのように、フェースをわずかに左に被せた状態へと脳が補正を行なってしまうのです。

当然このまま打てばボールは左に出てしまうのはわかっているので、グリップを少し回してフェースを開き、スクエアになるよう調節を試みるのですが、アンバランスの気持ち悪さに一度気がついてしまった脳は、それを受け入れることができません。そこで仕方なく「親指をここにおいて、右手をここに被せて」などと、型にはめてグリップを強制的に制御しようとするのですが、どんなに頑張って握り直しても違和感は消えず、もう調整というレベルではどうしようもなくなってしまうものです。

安定度ポジションを利用した迷わないグリップ

この袋小路の状態を打破するためには、無理強いしていうことをきかせるのではなく、クラブヘッド(もしくは脳が)が「したいようにさせてやる」ことに尽きます。そこで別の解釈でグリップしてみましょう。まず、7番アイアンを左手の豆ができるあたりの指尖球と呼ばれる部分で軽く握り、グリップを回転させながら安定する位置を探します。このとき、もっともヘッドが安定するのはトゥ部分が下を向き、シャフトでヘッドが2分されるイラストCの状態。そして2番目に安定するのがイラストDで、トゥは上を向いていますがイラストCと同様に、シャフトを中心にヘッドの左右のバランスがとれているので収まりがよくなります。この状態を“安定ポジション”と呼ぶことにします。

安定ポジションが見つかったら、左肩前にクラブヘッドをソールさせて左肩、左上腕、左前腕、シャフトが一直線になるように構える。次に右手は握手をするときのように、右手の指尖球付近をグリップの右側から添えます。このとき右ヒジの出っ張った骨が下方を向くような感じで寄せる。このようにすると右ワキが締まり、体と腕、クラブとの一体感が増します。

話を元に戻します。安定ポジションのDの状態ではフェースは被っているため、このまま打ったらボールは当然左に飛び出すことになる。そこで、もうひと工夫が必要で、安定ポジションを保ったまま、左肩の位置はそのままでヘッドを時計回りさせて(イラストEの方向)後退させます。

そうするとイラストFのように、フェースが目標に対してスクエアな向きになる。これでフェースの方向を模索する必要のない極めて安定したグリップとなります。なお、このとき、左手の甲、右手の指尖球でターゲットを見るようにすると、より強くフェースを意識することができるようになります。この感覚をベースにすれば、先月説明したインパクトの際に一瞬フェース方向を保持する“タッチ”も確信をもって行なうことができるのです。

ちなみに、この後退させてスクエアになるインパクト位置は、クラブによっては右足に近い位置まで来てしまうこともあり、もっと野球のように左足近くで体重を乗せて打ち込みたいと思う人もいると思います。しかし、これは水平回転で考えたスイングの幻想でしかありません。前傾軸に垂直な「直線的なスイングイメージ」であれば、ボールの位置には関係なくパワーがかけられるはずです。

最後に、グリップを握る際の力加減ですが、テニス、バドミントン経験者なら説明するまでもありませんが、余分な力を抜き脱力させて最低限の力で軽く握ります。ゆるく握っていてもインパクトの際に、一瞬強く握られるものなのでラケットやクラブが飛んでいってしまうことはありません。むしろ、グリップ側から無理にクラブをコントロールしようとすると力が入りすぎてしまう。また、このときのフェースの状態は、手元をよく見るとハンドファーストになっていることにも気づくと思いますが、この「ハンドファースト」とはいったい何なのか。次回はこれについて考察をしていきます。

いかがでしたか? 次回もぜひそちらもチェックしてみて下さい。

文・イラスト=サンドラー博士
●ゴルフ好きの研究者。ゴルフの専門家ではないが、ゴルフ理論は「教える側」という「外側からの視点で組み立てられているから難しい」ということに気づいてからは、「それをどう解決するか」の研究に没頭。出た答えを多くのアマチュアに伝えたく、毎月レポートする。

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