【保存版】FW・UTの打ち方を完全解説!コレさえ読めば上手くなる

14本のクラブセットのなかに、フェアウェイウッドとユーティリティは3~4本くらい入っているでしょうが、1ラウンドでどれくらい使っていますか?

入れているだけで、ほぼ使っていなかったらもったいない!うまい人は積極的に使うことでスコアメイクをしています。

使える状況の見分け方やうまく打つコツを学べば強い武器になる。FWとUTのレッスンで、スコアを大きく縮めましょう!

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意外と知らないアイアンよりもFW・UTを使ったほうがいい状況とその打ち方!

編集M(以下・M) 私のハーフのスコアを見てどうですか?

遠藤 もっといいスコアで上がれた感じがします。短い、狭いホールのティーショットをFWやUTで打つのは嫌ですか?

M 嫌ではないんですが、失敗して「ドライバーで打てばよかった」となることが多くて……

出口 でも、結果的にはドライバーも曲げてラフ。そして、ラフからも失敗していますね。

M たしかに……。出だしはそれでつまずきました。

出口 2打目でFWとUTを使ったのは、2回だけですね。

M  2ホール目でUTを使ったとき、うまくいかなかったので「やっぱりアイアンがベターなのかな」と思って。14番ホールのセカンドはFWにトライしましたがチョロ。どちらもライはラフでしたけど。

遠藤 ラフだから即アイアンってジャッジは早計でしたね。むしろFWやUTを使ったほうがうまく打てる状況もあるんです。

取材日に編集Mが9ホールプレーしたときのスコアと使用番手。FWとUTは1回ずつ使ったのみ。コーチいわく「FWとUTを活用すれば、40前後で回れたはずです」とのこと。

出口 最終ホールのティーショットの「右B」は右のクロスバンカーですね?

M はい。そこから、グリーン手前に大きな池があったので、7番アイアンでレイアップして3打目に得意な距離を残すようにしました。

遠藤 ところが池ですか。

M そうなんです……。ドロップしての5打目は池が怖くてグリーンオーバー……

出口 バンカーからの2打目も、池を避けつつFWかUTでリカバリーがよかったかも。

遠藤 そうだね。アイアンでうまく打ったみたいだけど、もっと楽なスコアメイクにつながっていない。

M バンカーからのFW、UTはますます自信がないです。


出口 ラフや傾斜、バンカーでも、FW、UTの特性を知って、それが有効だと判断できる知識があれば、積極的に使ったほうがスコアはよくなるので、今回のレッスンでマスターしてください。


遠藤 それと、安全も考慮しての5番アイアンでのショットでしょうが、1回もうまく打てていません。この番手の距離も、これを機にUTかショートウッドに替えましょう!

M うまく打てるんだったら、すぐにでも替えたいです!

まずは知っておこう!それぞれの長所!

「FW・UTはライがいいところじゃないと打てない」と思っている人は、その考えをあらためよう!クラブはテクノロジーの進化で、ひと昔前よりもかなりやさしく打てるようになっている。さらに、有効に使える状況判断と打ち方をすれば、もっと簡単にスコアアップできる!

クラブの軌道や入射角をコントロールして、意図したインパクトから狙いどおりの球筋を打ちやすいのが長所

【UT】
・同ロフトの場合、FWより短いので振りやすい

・高く上がりすぎないので方向性を出しやすい

・アイアンに近い操作性があるので、意図したインパクトが作りやすい

広いソールを活用して、芝の上をすべらせる。ヘッドが多少ボールの手前から入っても地面や砂に刺さらない

【FW】
・ヘッドサイズが大きく安心感がある

・ソールが広いので刺さらずすべってくれる

・同ロフトならUTやアイアンよりも球が高く上がる

ラフ、傾斜、バンカーからのFW・UTで打つ時の「基本」を紹介していきます!

FW・UTをラフでも「簡単にミート」するコツとは…!?

ラフ、傾斜、バンカーからのショットは、フェアウェイよりもミートするのが難しい。だからこそ、ミート率が上がる打ち方をしなければいけない。その秘けつとなるが「クラブを短く持つ」ことだ!

遠藤 ラフ、傾斜、バンカーからFWやUTを打つときは、無意識にクラブを短く持っていない?

出口 持っています!フェアウェイと比べて、芝や砂の抵抗が大きくなったり、足場が不安定になるライは、ボールをミートすることがもっとも大事ですからね。

遠藤 FWやUTはクラブを短く握ることで振りやすくなる。そしてミート率が上がる。

出口 グリーンまでの状況にもよりますが、僕はたとえばフェアウェイからフルショットすると230ヤード飛ぶ3Wを、シャフト近くを握るまで短く持ち、かなりコンパクトに振って200ヤード打つときがあります。それもミートを重要視するためです。

クラブを短く握るとスイングは自然とコンパクトになる。「長いクラブを短く」と「コンパクトに振る」の相乗効果でミート率が上がる

遠藤 でも「短く持つと飛ばなくなる」と思っている人が多いよね。

出口 はい。FW、UTで打つということは残りの距離はまだ長く、飛ばしたい状況。クラブを短く持って飛ばなくなることに抵抗があるようです。

遠藤 「短く持ったら飛ばない」ではなく、「短く持つからしっかり飛ばせる」という考えにし
てほしいね。

出口 実際、短く持ってややコンパクトに振っても、飛距離って大きく落ちませんよね。

遠藤 きちんとミートできれば「激芯くって飛びすぎた!」なんてこともあるくらい。「短く
持ってミート」が、ラフ、傾斜、バンカーから打つ基本だね。

実験:短く持っても飛距離はほぼ変わらない!

「短く持っても飛距離は大きく落ちない?」を傾斜地から実験。結果、飛距離は1番手も変わらず、短く持ったほうが方向性もよくなってピンに近づいた。「長く持ったときよりもクラブをうまく“さばけ”ました。やはりミート率が上がりますね」(遠藤)

FW・UTのさまざまなライからの打ち方も教えてもらいました。

FW・UTで打てる?「ボールが 半分見えていたら…」

「ボールが半分見えている=浮いている」状態であれば、FW、UTで打ってOK。ふたりのオススメはFWでの払い打ち

遠藤 ラフにかぎらずだけど「FW、UTで打てるか?」の最重要ポイントはボールの状況。

出口 ボールの半分以上が見えていたら打てる、半分沈んでいたら打てない、ですね。

遠藤 大きく沈んでいたらボールに、横だけではなく上にも進む力をかけないといけないからロフト角が大きいアイアンで打つわけだが、半分見えていて打てる状況だったら何で打つ?

出口 僕はFWですね。

遠藤 僕も同じ。FWの広いソールをすべらせての払い打ちがベスト。

出口 多くの人は、FWはUTより飛ぶクラブとしてバッグに入れているでしょうが、飛距離は力加減や振り幅でコントロールします。

遠藤 と、聞くと難しそうに思えるけど、ラフの抵抗がかかるぶん、飛距離は多少落ちる。飛びすぎることはあまり考えなくていいかも。

出口 そうですね。アマチュアでフライヤーする人は、ほぼいませんからね。

遠藤 UTで打たない理由は、ボールが半分見えているということは、ボールと地面の間に隙間がある。UTはアイアンに近いから打ち込んでしまい、ヘッドがボールの下に入りすぎてしまうんだよね。

出口 FWはヘッドが薄いので、ラフに浮いたボールの下を潜ってしまいそうですが、きちんと払い打てばミートできる。

遠藤 だからソールをすべらせるイメージが強くもてる、ソールの広いFWがいいんだよね

浮いていても逆目はNG!↓

ボールが浮いていても逆目の芝からのFWやUTはNG。ヘッドや打ち出すときのボールに抵抗が大きくかかるため、狙った飛距離や球筋が出にくい。

ココもCheck! 目標までのライン上がずっとラフのときは注意!

目標の近くまでラフが続くときは再考。「ミスヒットするとまたラフ。しかもボールが転がらないか大きくショートしてしまう。目標をピン方向からズラしたり、花道までレイアップするマネジメントに切り替え、それに合った番手を選んでください。

半分見えていない

横や前後から見たとき「ボールが半分見えていない」状態だったら無理は禁物。ロフトが寝ている短いアイアンで打つ。

払い打ちのコツは垂直軸のキープ!

FWは長いのでスタンス幅が広めになる。すると、構えたときに右肩が下がり、軸も右に傾く。その軸のまま振るとアッパーブローになってしまう(×)ので、軸は地面に対して垂直にするイメージをもとう。

スイング中は軸の傾きだけでなく、位置も固定。軸ブレを防ぐとボールの左右でヘッドを低く振れるので、うまく払い打てる。

FWの広いソールを使うんです

薄芝、ベアグラウンドはUTでクリーンヒット!

固い地面に触れないようにFWで払い打つのは難しい。クリーンヒットするのが得策で、それにはヘッドを鋭角に入れやすいUTがいいんですよ。(遠藤)

次は積極的にFW・UTをうまく使うためのレッスンの傾斜編です。

FW・UTの“傾斜”での正しい打ち方!

「安定するか」が決め手!

出口 傾斜はいろいろなパターンがありますが、共通していえるのは「バランスを崩さず振れるか」ですね。

遠藤 足場が安定しないと、スイングも不安定になってしまうからね。

出口 バランスを保てるかは、事前に素振りでチェックすればわかります。

遠藤 スイングが崩れなければGOサイン!FWかUTかは傾斜の種類による(※上の表、参照)。

出口 傾斜でもやさしいほうといわれる「左足上がり」と「ツマ先上がり」は、どちらのクラブでもいいですね。

遠藤 クラブを短く持つのが基本といったけど、それこそボールと体との距離が近づく「ツマ先上がり」では有効な手段。

出口 ただし、傾斜も「ボールが半分見えていたら」というのはラフと同様。条件がそろったら傾斜だからアイアンで、なんて即決せずに、果敢にFW、UTにトライしてほしいです。

素振りしてバランスを崩したらNG

【左足上がり】
グリップを下から握って胸を張って構える

ダウンスイングでクラブが外から入ると入射角は鋭角になるが、左足上がりはボールの先が高いのでヘッドが刺さりやすくなってしまう。これは、胸を張った構えで防ごう。両手とも外側に回す円を描き、グリップを下から握る。すると、胸が張り、背すじも伸びてクラブが外に上がりにくくなる。

【ツマ先下がり】
長いFWのほうがしっかりボールに届く

ボールとの距離が離れるツマ先下がりは、ボールまでヘッドが届かないミスが出がち(×)。クラブを短く持たず、FWの長さを利用してボールまでヘッドをきとんと届かせる。「大振りは禁物。正確性も方向性も上げたいライなので、野球でいえばプッシュバントのイメージです」(遠藤)

【左足下がり】
ヘッドを鋭角に入れやすいUTなら斜面に沿って振れる

右サイドが高い左足下がりは、長いクラブだとヘッドが地面に早く落ちてしまう(×)。UTも長いがFWよりは短く、アイアンに近い操作性をもっているので、ヘッドを鋭角に入れやすく、左足下がりの傾斜なりにも振れる(〇)

FW・UTを積極的に使った、クロスバンカーでの重要なポイントについて教えてもらいました!

クロスバンカーでは積極的にFW・UTを使おう!

出口 打球がバンカーのアゴに当たらないことが最重要ポイント。バンカーの大きさにもよりますが、僕はバンカーを前後2分割して、うしろのエリアだったらFWで打ちます。遠藤 なるほど!アゴから遠ければ安全だからね。でも、逆側のアゴに近すぎるところは、左足下がりやバックスイングがとれなかったりしたらNGだね。出口 そうです。ライはボールがアゴに刺さることはたまにありますが、沈むことはほぼない。だから、打ち方は大きく変えなくてもOK。遠藤 出口くんはFW派?出口 はい。ウッドが得意っていうのもあるんですが、FWの打ち出しが高くなり、ボールが高く上がる性能を利用します。ソールが広いので砂に深く刺さらないのもいいですね。遠藤 僕はUT派なんだよね。アイアンが好きだから。出口 どっちを使うかは、好きな番手や打ち方で決めてもいいですよね。

クロスバンカーを前後に2分割。分割した線よりも前ならアイアン。うしろならFW・UT!

「外から」と「構えたとき」のアゴの見え方の違いに注意

「高くない」と思ったアゴでも、構えてみてもう一度チェック。写真はどちらも同じシチュエーションだが、外から見ると「高くない」と感じる(右)。しかし、構えて目線を目標方向に向けると、目線の高さまでマウンドがある(左)。「アゴでもマウンドでも、目線より高かったらアイアンにします」(遠藤)

〈打ち方〉FW

スイングは変えない!
打ち出しが高くなる性能で脱出

FWは打ち出しが高くなることが長所。払い打ってもアゴを越える高さを出しやすい

〈打ち方〉UT

ボールだけを打ちやすいUTでやや上からヒット

アイアンに近く、操作性の高いUTをコントロール。入射角をやや鋭角にしてクリーンヒットする。「UTは長いクラブなので、バックスイングしたときに遠心力で体が右に流れやすい。軸ブレはダフリの原因。右足内側を砂に埋めて振ると体が流れにくくなりますよ」(遠藤)

アイアンよりも砂に潜りにくいとはいえ砂の抵抗は必ず受けるので、遠藤はボールだけをヒットするそうだ

FW・UTは練習不足もうまく打てない原因。ミート力を身につけるドリルを行ない、本番に備えましょう。

FW・UTのミート力を上げる練習法

FWやUTにかぎらずですが、ミートは小さくゆったりとしたスイングでもできないといけません。そこでオススメなのが、狭いスタンス幅で打つドリル。もちろん芯に当たるように振ってください。スタンスを狭めることで大振りが防げるので、コンパクトスイングを体感できる。フォロー側はバックスイングより、大きくなってもOKです。

スタンス幅を狭くするとヒザを伸ばしてしまう人が多いが、普段のアドレスと同じく軽く曲げる。すると、コンパクトなスイングでもフットワークを使ってのスムーズな回転で振れる(〇)。ヒザを伸ばすと、スイングが窮屈になってしまう(×)

右ツマ先を大きく開いて打つ

ダウンスイングで右サイドが出てしまうと、ミート率が落ちてしまいます。右サイドを出さない感覚をつかむには、右ツマ先を大きく開いて打つ。すると、右ヒザや腰の右側がロックされます。この構えは練習だけでなく、本番でも有効ですよ。

右サイドが前に出るとクラブの軌道やフェースの向きが悪くなる(×)。右ツマ先を大きく開くことで、クラブをインから振り下ろせる(〇)

スプリットハンドでフェースの向きをチェック

ミートも大事ですが、グリーンを狙うには方向性も大事。そのためには、スクエアフェースでボールをとらえたいのですが、これは両手を離してグリップを握るスプリットハンドのドリルが有効です。スプリットハンドでのスイングは、ボールをつかまえる正しい腕の使い方を覚えるドリルとして用いられますが、それは体の回転に対してフェースがスクエアになっているということでもあるのです。

スプリットハンドで振ると、体の回転にそって腕も回る。フェースも開閉するが、その向きが各ポジションでの正しいフェース向き。フェース向きをチェックしながらスイングしよう

いかがでしたか? FW・UTを活用して、スコアを伸ばしましょう!

遠藤将也
●えんどう・まさや/1994年生まれ、長野県出身。長野県ジュニアを制し、東京国際大学のゴルフ部を経て、PGAティーチングプロ資格を取得。板橋区の「リバースゴルフスタジオ」でのレッスンのほか、首都圏の練習場や、コースでのラウンドレッスンも行なっている。

出口友将
●いでぐち・ともまさ/1997年生まれ、埼玉県出身。遠藤プロの後輩で、3・5・7W、3・4UTの使い手。USGTFティーチングプロのライセンスをもち、群馬県高崎市の「ゴルフヒルズ高崎」に所属。同施設のスクールや、コースで精力的にアマチュアゴルファーを指導中。

写真=田中宏幸
協力=霞南ゴルフ倶楽部

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