木村彩子、“初優勝”の秘訣を語る「キャディとコーチの存在が…」

ツアーで活躍しているプロたちは誰もが自分のゴルフを「よりよいもの」にしていくために様々なことを考え、走り続けている。「どんなこと」を考え、「どのように」ゴルフに向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。

今回は木村彩子プロにインタビューしました。

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キャディとコーチの存在が大きい

距離が出せない選手でも戦えるっていうところを見せていきたい

――シーズンも後半戦に入りましたが調子はいかがですか?

木村:オフにいい過ごし方ができたので、開幕からいつもよりも調子がよかったのですが、5月、6月の前半が少し調子が悪かった。でも、6月末のアース・モンダミンカップで優勝できたので、今のところはいいシーズンだなって思います。

――オフはどう過ごしたんですか?

木村:いつもはショットの練習をメインにしていたのですが、アプローチとパットを重点的に練習していました。春先はコースの状態的にグリーンを外すシーンが多いのですが、今年はそれも少なかったです。

――アース・モンダミンカップの優勝の要因は何ですか?

木村:前の週のニチレイレディスで南秀樹コーチにキャディをしていただき、普段ラウンドでは出ないクセを指摘してもらいました。すごく調子がよかったというわけではなかったのですが、自分のなかでクセが理解できていたので、気をつけるシーンなどがわかって、やりやすかったのはありますね。苦手な部分もコースマネジメントで対応できました。

――3日目は9位タイでしたよね。

木村:1日目は普通の天気だったのですが、2日目以降が爆風で、トップのスコアもどんどん落ちていったので、最終日もスコアの伸ばし合いにはならないと思いました。キャディの坂口悠菜さんと「明日ハーフ2アンダーのトータル4アンダーで回れたらワンチャンあるよね」と話していました。コースもフェアウェイが狭く、ラフの長さがすごかったのですが、ラフにさえ入れなければ勝てるかな、とも思っていました。

――プレッシャーはありました?

木村:あまりなかったです。最終日の15番くらいからは緊張しましたけどね。でも坂口さんの存在が大きくて、普段どおりの会話をしてくれて、カチカチにならずにすみました。

――坂口さんはよくキャディをしてくれるのですか?

木村:南コーチに一緒に習っているひとつ上の先輩プロなのですが、オフも一緒にラウンドしたりと、毎日一緒に練習しています。私のことをよく知ってくれているので心強かったです。

――坂口さんの存在が大きかったんですね。では得意なプレーは何ですか?

木村:ティーショットが得意で、周りからも曲がらないよねといってもらえます。ショットの正確性は自信をもっています。

――曲がらない秘けつは?

木村:昔から得意だったのですが、コースによってはフェアウェイが狭かったりするので、ティーイングエリアで立つ位置などを工夫しています。

――反対に課題は?

木村:アプローチとパットです。

――南コーチはパッティングコーチとしても有名ですよね。

木村:はい。南コーチとは2019年に出会ったのですが、当時はショットがひどくて、ショットを見てほしいとお願いしていたんです。でも南コーチの考え方的にアプローチとパットから直したほうがいいといわれました。ショットはアプローチの延長で、そう考えるとどのライからでも打てるようになると教えていただいて、技術的にすごくタメになりました。それまではスイングはこうあるべきだっていう固定概念がすごくて、スイングばっかり気にしていたので、南コーチに出会えたのはすごくよかったです。

遠い場所の試合でも自分で運転していく

アース・モンダミンカップはキャディの坂口悠菜さんの存在が心強かった

――目標としている選手はいますか?

木村:西村優菜ちゃんみたいなプレースタイルを目指しています。コースマネジメントも上手ですし、グリーンを外したときにもパーを獲るのは本当にすごいなって思います。あと、飛距離面は申ジエさんを参考にしています。

――周りの女子プロからも技術を吸収しているんですね。

木村:私の飛距離だと、セカンドショットでユーティリティなどの長い番手になりますが、そうするとアイアンで正確なセカンドショットを打つ選手と戦わないといけないので、精度が求められます。なので、その2人はすごく参考にしています。あと、青木瀬令奈さんとはゴルフの話をよくするのですが、自分のプレースタイルを貫いていてカッコいいなと思います。

――今までゴルフを続けてきてターニングポイントとなった出来事はありますか?

木村:昨年のスタンレーレディスで初めてプレーオフをしました。それが初めて勝てるかもしれないと思えた試合だったので印象に残っています。

――その試合はいつもと何か違っていたんですか?

木村:スタンレーレディスは東名カントリークラブで試合が行なわれるのですが、富士山の横でアップダウンがきつくて得意じゃないコースでした。でも南コーチと傾斜からのショットをたくさん練習したおかげで、アップダウンのあるコースが得意になりました。得意コースが増えたんだと思います。

――19年から南コーチと確実にステップアップしているんですね。

木村:そうですね。自分でもすごく実感しています。

――つねに上を目指していける理由は何ですか?

木村:やっぱりどんどんうまくなりたいと思うのと、上田桃子さんのようなベテラン選手でももっとうまくなりたいとおっしゃっていて、トップ選手でも足りない部分があるんだなって。自分はまだまだで、単純にもっと練習しなきゃなって思います。

――プライベートはどう過ごしていますか?

木村:買い物と車が好きでドライブすることが多いです。

――車で遠出とかするんですか?

木村:どこにいくにも車で行っちゃいます。ツアーでも、関東から兵庫県くらいなら行きますね。

――木村選手が運転を?

木村:はい。運転が好きなので、母を隣に乗せて運転しています(笑)。

――運転の魅力は?

木村:ほかのことを忘れて没頭できるのがいいです!

――ツアー中ではなかったらどこに出かけたいですか?

木村:今の時季だと海に行きたいですね。ゴルファーは夏はシーズン中なので、なかなか遊べない。底が透けて見える海とかに車に乗って行ってみたいです。

――ゴルフをしているときと普段は結構切り替えていますか?

木村:あまり変わってる自覚はないですね。周りからも「あまり変わらないね」「いつも楽しそうにラウンドしているね」っていわれます。緊張とかもあまりしないので。気合いが入った感じにも見えないのかな? ガッツポーズとかも出ないんですよね。

――それはどうして?

木村:カッコいい感じが自然に出せないんです。誰かがしているのを見るとカッコいいなって思うのですが……。カッコいいガッツポーズを練習しようかなと最近本気で考えています(笑)。

――試合でガッツポーズが見られるのを楽しみにしています。

木村:練習したやつだ! と思ってみてください(笑)

――ゴルファーとしての最終的な目標はありますか?

木村:トーナメントコースの総距離が伸びているのですが、距離が出せない選手でも戦えるっていうところを見せていきたいなって思います。スポーツは体格差が出ますが、ゴルフはそれが出にくい。ゴルフは飛ばしだけじゃないと証明していきたいです!

――そう思ったキッカケは何かあるのですか?

木村:私は宮里藍さんに憧れてゴルフを始めたので。藍さんはアメリカでも活躍されていて、100ヤード以内のショットの精度も高くて、武器があれば戦えるんだなって思いました。

――残りの試合はどう戦っていきたいですか?

木村:夏はラフも伸びて、自分の得意な試合が増えていくので、今年中にもう1勝したいです!

――最後に試合を観にくるファンにひと言お願いします!

木村:つねに楽しくラウンドしている姿を見てください!

いかがでしたか? 今後の木村プロの活躍にもぜひ注目してみて下さい!

木村彩子
Profile●きむら・あやこ/1995年生まれ、大阪府出身。155cm。今季はアクサレディスゴルフトーナメントで5位タイに入り、アース・モンダミンカップではツアー初優勝を果たした。富山常備薬所属。

写真=小林司

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