アイアンの“飛距離を伸ばす”には?「ロフトを立てないと…」と奥嶋コーチ

アイアンも飛ばしたい! でも、ドライバーと同じスイングでいいの? 

奥嶋誠昭コーチは「ノー!」と断言。その理由とアイアンで飛ばすためのメカニズムをギアーズを使って解説してくれた。

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アイアンはロフトを立てないと芯に当たらない

アイアンは「手首の角度キープ」がマスト! アイアンでは右手首をリリースせずに、インパクトでも曲がっている状態で打つのが基本だ

アイアンとドライバーの飛ばし方で決定的に違うのは、インパクトの瞬間のロフトの角度です。ドライバーはスペックどおりのロフトよりも1、2度寝かせて、ややアッパーブローで打つのがもっとも飛ぶ。しかしアイアンは、ロフトを寝かせると大幅に飛距離ダウンしてしまいます。

プロはロフト32度前後の7番アイアンをインパクトの瞬間は24度~25度くらいまで立てて打っている

「ギアーズ」でツアープロのスイングを計測すると、アイアンはロフトを約7度も立ててインパクトしていました。ロフトを立てることによってボールスピードが上がるのはもちろん、そもそもアイアンの形状ではロフトを立てないとフェースの芯にボールが当たりません。だからプロは、ハンドファーストにしてロフトを立てて打っているのです。

アマチュアはロフトを寝かすからダフリやすい

アマチュアのデータで多いのが、ロフトを2、3度寝かせて打っているタイプ。アイアンのロフトを寝かせてしまうと飛距離が落ちるだけでなく、ダフリの原因にもなる

踏み込みが遅いとスエーしてしまう

勝みなみプロのスイング。ヘッドが頭の上にあるタイミングで左足を踏み込んでいる:切り返す前やヘッドがまだ高いポジションにあるタイミングで、すでに体を沈め、左ヒザが少し曲がるくらい強く踏み込んでいる(左から2番目)左足を早めに踏むことでインパクト前にはる“地面反力”で左足が伸びる:インパクト直前には踏み込んだ方向とは逆方向に力を向ける地面反力によって、左足が伸びはじめている。これによってボールに強いパワーが伝わる(左から3番目)

ロフトを立てるからといっても、腕の動きだけで立てるのはNG! それは手打ちのスイングです。アイアンでロフトを立てるために大事なことは、左足の踏み込みです。

トップからインパクトに向かって左足を踏み込む動作を行なっている人もいますが、ほとんどのアマチュアは左足を踏み込むタイミングが遅くて、弱い! 踏み込みのタイミングが遅いと体が左に流れてしまうスエーが起こってしまいます。

ツアープロのアイアンショットを見ると、トップが決まる前から左足への踏み込みがはじまっています。そして、インパクトの瞬間には踏み込んだ反動で左足が伸びている。この踏み込みと反動によって左足が軸となるため、ハンドファーストの姿勢で打てるのです。

ドライバーは右足を踏み込みアッパー軌道で打つ!

ドライバーはアイアンほど左に踏み込まない。むしろ、右足を踏み込むことによって適度なアッパーブローになる。

ドライバーはいいのにアイアンが当たらない原因は両肩の角度!

アイアンのインパクトはアドレスの再現が理想:アイアンは、両肩のラインが平行に近いほうがスイングの再現性が高くなる。極端に右肩を下げるとロフトが寝てしまう
ドライバーは右肩を下げてもOK!:アッパー軌道で打つほうが飛ぶドライバーは、インパクト前から右肩が下がるスイングでOK

ロフト以外だと、ドライバーとアイアンの打ち方で決定的に違うのは両肩の角度です。「ギアーズ」でプロのドライバーとアイアンのインパクトを比較すると、ドライバーは右肩がしっかりと下がっていますが、アイアンでは少し下がるくらいです。

ドライバーはティーアップしているので、右肩を下げてあおり打ちの姿勢になってもボールを強く叩けます。

しかし、アイアンで右肩が下がりすぎてあおり打ちになると即ダフる。アイアンはインパクト直前に両肩のラインがほぼ地面と平行になり、フォローで少し右肩が下がるくらいが理想です。「ドライバーの調子がいいのにアイアンが当たらない」という人は、右肩に問題があるケースが多いです。

ドライバーとアイアンで肩の角度は約10度も違う!

「ギアーズ」でツアープロのデータを見ると、ドライバーでは両肩のラインが29度傾いているのに対して、アイアンでは18度だった

左手の甲を目標に向けて当たりをぶ厚くする

左腰を回しながら左手を引っ張る:インパクトからフォローにかけては左腰を回しながら左腕を引っ張る。すると、左手の甲が目標を向く。

昔からアイアンはダウンブローが理想とされていますが、ほとんどのアマチュアはできていません。その原因は右手の使いすぎにあり、右手で打とうとするからリリースが早くなったり、フェースを返しすぎてしまうのです。

切り返しからインパクトまでは、左手1本でクラブを引っ張るように振れば、手元は下方向に動き続けます。そうすれば、絶対に軌道はダウンブローになる。このとき、左手の甲を目標に向けたまま動かすことを意識してください。その向きをキープできればフェース面もスクエアになっているので「ぶ厚い当たり」のインパクトになる。これが飛距離アップにもつながります。

左ワキを締めたまま左手首の角度をキープする

左ワキを締めたまま左手1本でクラブを下ろすと、アーリーリリースにもならない。自然とハンドファーストでインパクトできる

右手で打つ感覚はフェースが返って「薄い当たり」になる

右手で打とうとすると急激にフェースターンしたり、リリースが早くなるため「薄い当たり」になってしまう

いかがでしたか? この記事を参考に、アイアンでのスイングを改造していきましょう。

レッスン=奥嶋誠昭
●おくしま・ともあき/1980年生まれ。ツアープロのコーチを務めながら「ノビテックゴルフスタジオ」では、ギアーズなど最先端機材を使ったスイングの研究やレッスンを行なっている。

構成=野中真一
協力=ノビテック 横浜スタジオ

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