大西魁斗、攻撃的ゴルフでつかんだ初優勝

ツアーで活動しているプロたちは誰もが自分のゴルフを「よりよいもの」にしていくために様々なことを考え、走り続けている。「どんなこと」を考え、「どのように」ゴルフに向き合っているのか。インタビューをとおして、その姿を探っていく。

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攻撃的ゴルフでつかんだ初優勝

大事なのは負けたあとに自分がどれくらい成長するか

—―昨年はどんなシーズンでしたか?

大西:前半戦のシード権しかもっていなかったのですが、開幕戦の東建ホームメインカップは予選落ち……。2戦目の関西オープンも成績が奮わず、残りの出られる試合でどれくらい結果を出せるか、すごく不安でした。でも、終わってみると思った以上の結果が出たので、とても楽しかったシーズンでした。

――3戦目のISPS HANDA 欧州・日本では4位と、好成績を残しましたが、気持ちの切り替えなどができたのですか?

大西:メンタル面はそんなに深く考えていなくて、変わらず自分のできることをやる、という感じでした。開幕戦の東建はショットもパットもよくなかったので、それを調整したり、直したりして、あの4位からすべてが少しずつまとまってきましたね。

――そこからはコンスタントに上位に入賞し、フジサンケイクラシックで初優勝。振り返ってみるといかがですか?

大西:夏の前までは好調だったんですが、夏以降は、自分の納得のいくゴルフができていませんでした。だからフジサンケイでは、とにかく攻撃的にいこうと。自分はドライバーが得意なんだから、得意な部分を生かしてやってみようと思った結果、優勝できました。

――その後、アメリカの下部ツアー(コーン・フェーリーツアー)のQTに挑戦。そのきっかけは?

大西:もともと、そこを目指していました。アメリカのコースはスタイルや設計が、とくに最初の5試合は状況や環境が毎回違う。いろいろなコースを見て、やってみて、今のところはまだ自分のゴルフができていませんが、今出てる成績が自分の現状なので、それを受け入れて、何をするべきかを考えて練習しています。

――アメリカに移ってみて、気づけたことはありますか?

大西:下部ツアーの出場シードをもっているアメリカ人の友だちは、みんな自分をもっているというか、練習場に行ってもまわりが何をしているかっていうのをあまり気にしてない。自分が何をしなきゃいけない、というのが明確に頭に入っていて、黙々と練習しています。オンとオフの切り替えも上手で、試合になったらオンになるけど、試合が終わったら楽しく話したりして、そういう部分がみんなうまいし見習いたいと思いました。

信頼できるコーチとの出会い

チャレンジせずに失敗するよりはチャレンジして失敗するほうがいい!

――昔からドライバーが得意だったのですか?

大西:大学生のときはアイアンのほうが得意だったんですけど、ドライバーが1番よくなったのは、1番気分がいいっていうか(笑)。大学時代に不調だったとき、3年生ぐらいからスイングをいろいろと改善して、プレッシャーのなかでも再現しやすいスイング作りをはじめたんです。

――改善は独学で?

大西:内藤雄士コーチに全部まかせていました。信じられるコーチさえ見つかれば、僕は全部おまかせしてしまうタイプなので。

――内藤コーチと出会ったきっかけは?

大西:丸山茂樹プロのコーチということで、紹介していただいて、19年に習いはじめました。そこから二人三脚でやってきて、日本に帰っている間は毎日会って、スイングやアプローチ、パットを直していて、アメリカに行ってもほぼ毎日連絡はとっています。

――内藤コーチのどういう部分を信頼していますか?

大西:コーチとしての鋭い感覚ですね。自分がスイングのときになんかちょっとおかしいなと思っていたら、内藤コーチも同じことを思っていたり。選手は正直フィーリングでしかわからないんですよ。でも、内藤コーチは「スイングに嫌な感触があるんです」と伝えると、メカニカルにしっかり言語化して説明してくれるんです。いっていることがすごくシンプルでわかりやすい、というのが僕は1番好きですね。

――大西プロに合っているのですね。

大西:僕が結構心配性なので、毎試合ルーティンもほぼ決まっている。試合が木曜日にはじめるとすると、火曜日か水曜日くらいにスイング動画を送って、スイングチェックをしてもらっています。毎回だいたいそのチェックポイントっていうのは、ほとんど同じなんですけど、僕は毎週聞いちゃう。内藤コーチの「これをやったほうがいいよ」っていうのを聞きたいんです(笑)。

――心配性なのはゴルフ以外でも?

大西:そうですね。大学生のときも学校の試験とかの前は焦りたくなくて、十分な時間と「これぐらい勉強した」という自信がないと心配になっちゃう。なので、みんなが3日、4日前に勉強しはじめるところを僕は2週間くらい前からはじめていた。効率がいいっていうわけではないんですが、焦ったらできないんです。

――コーチもそういう面もわかっているからこそ、毎週聞かれてもちゃんと教えてくれるのですね。

大西:どこに行ってもいつでも、僕のことを気にしてくれています。人柄も本当に好きで、僕の目標に向かって内藤コーチもすごくガンバってくれています。本当にすごくいい関係で感謝しています。

――内藤コーチに伝えておきます(笑)。

大西:いやいや(笑)。でも本当にそうで、大学2年生まではすごくいいゴルフしていたのに、3年生のときにけっこう苦しんだ。プロになるにはあと少しだけど、どうしようかなって悩んでいたときに、内藤コーチと出会ったからこそ今の僕がいる。調子がよくなくて、いい成績出てないときも僕を信頼してくれて、信じてくれたっていうのがすごくありがたかったです。

――今はコーチと、どんな課題に取り組んでいるのですか?

大西:日本ツアーではチャンスホールがいくつかあるので、少しこぼしてもすぐに取り返せますが、アメリカのコースコンディションは難しいので、スコアを出すんじゃなくて、どれくらい耐えられるか、というゴルフをしないといけない。なので、

大西:日本ツアーではチャンスホールがいくつかあるので、少しこぼしてもすぐに取り返せますが、アメリカのコースコンディションは難しいので、スコアを出すんじゃなくて、どれくらい耐えられるか、というゴルフをしないといけない。なので、チャンスのパー5では、必ずバーディを獲る。難しいパー4は耐える。アメリカでは1アンダーならいいスコアなんです。そのためにはどうすればいいか、日本にいるときには気づけなかった自分の弱点を直しています。

――その弱点を具体的にいうと?

大西:基本となるメカニカルな部分を全部直してから練習に取り組んでいます。ショットだけでなく、アプローチやパットも少しずつ崩れていくので、まずは基本のいいフォームに戻して、あとは時間をかけて練習するのみです。

――海外選手に圧倒されることはないですか?

大西:全然されないですね。あまり見ていないからかも(笑)。まわりの選手を見たほうがいいのかもしれないですが、とにかく自分を磨いてスコアを伸ばしたいなと思っています。下部ツアーの選手はみんなうまいので、その日の流れだったり、少しのミスで差が出ますが、正直自分のショットのほうがうまいとは思っています。でも、終わってみるとほかの選手のほうがスコアがよかったりするんですけどね(笑)。

――プライベートはどのように過ごしていますか?

大西:スポーツ観戦が好きなので、アメリカンフットボールやF1を観戦しています。でもやっぱり、オフでもトレーニングや練習をすることが多いです。

――ゴルフ中心の生活ですね。ゴルフを続けられているモチベーションになっていることは何ですか?

大西:試合の結果がダメだと悔しいんですけど、そのときにダメだったところを内藤コーチに相談して、それを練習して自分を磨いて、次はどう戦えるか、というのがモチベーションですね。

――磨かれた自分がどうなるか、楽しみなんですね。

大西:負けたくないっていう気持ちがすごく強いので、負けたあとの自分がどれくらい成長したか、というのはすごく気になります。自分が本当に完璧なゴルフをしたら、負けるとは思わない。そういう気持ちでやっています。

――大西選手が憧れる選手は?

大西:幼いときから丸山茂樹プロです。日本ツアーからアメリカツアーに挑戦してみて、丸山茂樹プロが達成してきたことが、あらためてすごいことだとわかりました。それに、丸山プロ以上にアプローチとパットがうまい人は会ったことがありません。僕があの技術に追いつけるかはわらからないですが、それくらいうまい選手がいるっていうのは心強いし、目標にもなります。

――最後に、今年の目標を教えてください。

大西:アメリカの下部ツアーから、PGAツアーの出場権を獲ることです。自分が何をしなきゃいけないか、というのを大切にし、失敗するのはもちろん嫌なんですけど、チャレンジせずに失敗するよりは、チャレンジして失敗するほうがいいと思っているので、積極的にチャレンジします!

いかがでしたか? 大西プロの今後の活躍に期待しましょう!

大西魁斗

●おおにし・かいと/1998年生まれ、愛知県出身。70kg、177cm。22年シーズンは、フジサンケイクラシックで初優勝を果たし、11月には下部ツアー、コーン・フェリーツアーのQTを通過。今年はアメリカが主戦場に更なる飛躍を目指す。ZOZO所属。

写真=ゲーリー小林

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