穴井詩のスイングを徹底解説!“飛距離1位”の秘けつは…!?

飛ぶ女子プロでも、飛ばし方は人それぞれ。クラブを大きく動かすタイプ、下半身を土台にして上半身を捻転させるタイプ、フットワークを使うタイプなどがあるが、あなたに合う飛ばし方をマネてみよう!

最初に穴井詩選手のスイングを石井忍コーチが解説します。

【関連記事】7番ウッドを選ぶ時の「4つのポイント」!最新15モデルを試打解説

シャフトがクロスしても下半身リードでスクエアヒット!

飛距離1位の秘けつはバックスイングの助走距離にあり

(❸)シャフトがクロスしていてもフェースはシャット

昨年の女子ツアーで平均飛距離1位の穴井詩選手のスイングの特徴は、トップでシャフトがクロスするくらい大きなスイング軌道でバックスイングの助走距離が長いこと(❸)。それが35歳になっても飛ばせる秘けつです。

一般的にはシャフトがクロスすると、インパクトでフェースが開きやすくなり、スライスの原因になるといわれています。それは上半身でクラブを下ろそうとすることで体が突っ込んでしまうから。穴井選手はトップでシャフトをクロスさせたあとに右足を強く蹴って下半身リードでスイングしています。上半身が少し遅れることでハーフウェイダウンではフェースが閉じて(❹)、インパクトではスクエアに戻っています。オーバースイングやシャフトがクロスするクセが直らない人は、穴井選手のように切り返し以降の下半身リードを意識してみてください。

もうひとつ、穴井選手がスクエアヒットできる要因は、バックスイングでフェースを開いていないこと。ハーフウェイバックではフェースが地面を向くくらいシャットフェースになっているので(❷)、シャフトがクロスしてもフェースが開いていません。これもマネてみるといいですよ。

穴井詩

●あない・らら/1987年生まれ、愛知県出身。165cm。昨シーズンはあと一歩のところで優勝を逃していたが、今シーズンはヤマハレディース、パナソニックオープンで早くも2度の優勝を果たす。ツアー通算5勝。GOLF 5所属。

手打ち解消のヒントになる上半身の押し込みで飛ばす!

右ワキを締めたままのコンパクトなトップでも飛ばせる理由は?

ヒザをほとんど曲げず前傾角度を浅くしてややツマ先体重で構える
(❺)インパクトでも右ヒジを曲げたまま打っている

昨年は妹の千怜選手が2勝して、今年は姉の明愛選手が優勝しましたが、明愛選手のほうがパワフルでアスリート系のスイングです。体幹が強い選手ですが、ムダな動きが少ないのでアマチュアのお手本になると思います。

一番参考にしてほしいのはコンパクトなトップ。トップで右ワキが締まっているので上半身に一体感があります(❸)。ダウンスイングでも右ワキが締まった姿勢をキープして(❹)、インパクトでは右ヒジを体にくっつけたまま打っているので体全体のパワーがボールに伝わります(❺)。そして、インパクトからフォローにかけては、曲げていた右ヒジを伸ばすことによってボールを押すことができるので飛距離が伸びる。このトップからダウンスイングまでの動き方が、手打ちのゴルファーとは決定的に違います。手打ちになっている人はトップで右ワキがあいて、ダウンスイングでは右腕と体が完全に離れています。こうなると、インパクトの瞬間には腕の力しかボールに伝えられません。

スイング中のバランスがいい明愛選手ですが、アドレスではややツマ先側に体重をかけることで体が後ろに倒れない。土台となる下半身の強さと安定感も飛ぶ理由のひとつですね。

岩井明愛

●いわい・あきえ/2002年生まれ、埼玉県出身。161cm。今シーズンはダイキンオーキッドレディス6位タイ、明治安田生命レディスで10位タイに入り、KKT杯バンテリンレディスでツアー初優勝Honda所属。

体が硬い人もマネしやすい左ヒザの曲げ・伸ばしで上半身をフル回転!

トップからの沈み込みで入射角が安定

(❸)沈み込みによってトップの時点で頭が低く下がっている
(❺)インパクト前には左ヒザを伸ばして胸を目標に向ける

同じ飛ばし屋でも、岩井明愛選手と真逆なのが川岸史果選手。岩井選手は下半身の動きを抑えて上半身を回していますが、川岸選手はフットワークもしっかり使うことによって上半身をフル回転させています。

1番のポイントは左ヒザです。バックスイングでは左ヒザを曲げて内側に入れることで上半身を右方向に回しやすくしています(❷)。そして、ダウンスイングでは左ヒザを伸ばし、目標方向に胸を回す動きでヘッドスピ速させています(❺)。体が柔軟な女性なら下半身を止めたまま上半身を捻転させることも可能ですが、男性アマチュアは体が硬い人のほうが多いはず。川岸選手のようにフットワークを使って振ると、上半身を回しやすくなると思います。

また、今年の川岸選手は飛距離だけでなく、方向性もよくなりましたが、その理由はトップからの沈み込みによってダウンスイングの入射角が安定したことにあります。レッスン用語では「シットダウン」という動きですが、切り返し直後に椅子に座るように腰を落とすことで上半身が伸び上がったり、前に突っ込んだりすることがなくなるため、再現性の高いスイング軌道になっています。

川岸史果

●かわぎし・ふみか/1994年生まれ、神奈川県出身。166cm。今シーズンは明治安田生命レディスで6位タイ、アクサレディスで3位タイ、パナソニックオープンで3位に入って順調な滑り出しを見せている。加賀電子所属。

解説=石井忍

●いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。日大ゴルフ部を経て98年にプロ転向。その後、コーチとして大西葵など多くのツアープロを指導。現在は千葉市や東京の赤坂、神保町でエースゴルフクラブを主宰し、アマチュアのレッスンも行なっている。

構成=野中真一、編集部
写真=ゲーリー小林、小林司、田中宏幸

【あわせて読みたい】

最新アイアンシャフトの“失敗しない”選び方!クラブの専門家が伝授

「7番アイアンで200ヤードも飛ぶ」ってマジ!?“飛距離”に特化したアイアン4選

「天使か」西村優菜、“かわいすぎる”ウェア姿を披露!ファンから称賛の声集まる

関連記事一覧