「自分をしっかり把握できているか」
ここに「いいゴルファー」か「そうでないか」の
違いが出てくると思う


 5月に開催された「関西オープン」で今季初優勝、ツアー3勝目を果たした時松隆光。「最後まで諦めなかったこと。これが優勝への決め手になった」。時松は「関西オープン」を振り返り、こう語った。
 優勝が目前に迫った最終日の単独トップはアマチュアの久保田皓也。1打差2位でのスタートは当然、1打ごとに精神的なプレッシャーがかかる。こうしたシーンで彼は、どんなことを考えていたのだろう。
—— 「関西オープン」の最終日、どんなことを考えながらプレーをしていましたか?
時松隆光(以下、時松):久保田くんの調子がかなりよかったので「あまり離されないように」と考えていました。本当にいいプレーをしていたので「自分で追いつくのは無理だ」と思ったのが正直なところです。でも、誰にでも絶対に波はある。「ちょっとミスした時」を待つしかないと思いました。
—— 優勝がかかった最終日、しかも2位スタートということで、1打ごとへのプレッシャーが大きかったと思います。そういうシーンでは自分の気持ちにどう対処していますか?
時松:1打1打に集中して、あまり考えないようにしています。いつも通りの自分のプレーに集中するだけ。他人のことを考えだすとうまくいくこともうまくいかなくなる。それがわかっているので、どれだけ相手が伸ばそうと「自分のゴルフ」をする。それはいつも考えています。
—— 「自分のゴルフ」の持ち味は、どんなところにあると思いますか?
時松:僕は飛距離が出るタイプではないから、アプローチとパターかな。「迫力はないけれど、コツコツと行く」というようなゴルフが、僕のスタイル。100ヤード以内の距離からが、スコアを作る基盤になっていると思います。
—— アプローチとパターなら、他の人に負けない自信がある?
時松:そうですね。やっぱり飛距離では勝てない。だからアプローチとパターで、少しずつ飛距離を補っていくしかないんです。

1打、1打。
「自分」と向き合い、「自分のプレー」に集中する

「ツアー選手権 森ビルカップ」開催時点で、時松は賞金ランク1位。ランク1位、2位の選手に送られる「全英オープンへの出場権」を獲得した。24歳の時松にとって、この「全英オープン」が初の海外でのメジャー大会となる。すでに海外で活躍している松山英樹など同世代のプロらを見て「もちろん、追いつきたいという気持ちはある」と彼は話す。
—— 「追いつきたい。だからこういうことをしよう」とか、考えていることはありますか?
時松:米国のPGAツアーって、やっぱり飛距離が求められると思うんです。それに比べて、宮里優作さんらが出場しているヨーロピアンツアーは「テクニックで行く」ということを見ていて感じる。「迫力で行く」のではなく「テクニックで行く」。こっちの方が僕には向いているのかな。そんな気はします。いずれはそういう世界で闘いたいとは思うけれど、今はまだ考えられない。日本で勉強するべきことがたくさんあるから。今はいろんなことを勉強して、経験を積んで……あわよくば、そのうちヨーロピアンツアーとかに行ってみてもいいかな、とは思います。でも今は考えられません。
—— 自分のゴルフをさらに進化させてから、ということですね。では、自分のスキルをさらに高いレベルへ持っていくために、「テクニック」や「考え方」を含め、どういうことが必要だと思いますか?
時松:まずは、今以上に小技に磨きをかけること。あとはしっかりとカラダを作って体力をつけて、飛ばせるようにすることですね。
—— 小技はアプローチとパターをメインに?
時松:そうですね。とくにパターは打てば打つほどうまくなると思うので、できるだけボールを打って、感覚をしっかり養っていきたいと思います。
—— カラダ作りに関しては、どんなトレーニングをしていますか?
時松:トレーナーについてもらったりはしていないので、自分で器具を使わずにできるランニング、腹筋、背筋などがメインです。ランニングは30分ぐらい。腹筋と背筋は数十回だから大したことはないけれど、毎日欠かさずに続けられる時間や回数が大切だと思います。
—— テクニックや体力はもちろんですが、物の見方、性格や考え方など、ゴルフにはさまざまな要素が複合的に必要とされると思います。どんなゴルファーが「いいゴルファー」だと思いますか?
時松:いろんなタイプがあるから難しいですね……。でも、長くツアーに出場し続けている選手はすごいなと思います。常に安定して成績を出していて、絶対にシードを落とさない。
—— そういう「いいゴルファー」は、どんなところが違うのでしょう?
時松:自分をしっかり把握できているかどうか。ここで違いが出てくるんじゃないかな……。把握できている人は「ここは攻め時」「ここは守る時」という、ゲームの組み立てがしっかりとできる。やっぱり上に行く人は、テクニックはもちろんだけど、そういう部分も絶対的にうまいんです。そういうプレーヤーがいい。そういうプレーヤーに、なりたいです。
—— では最後に。今後も大会に出場し続けていきますが、読者のみなさんにはどんなところを見てもらいたい?
時松:ドライバーで見せるタイプではないので、少し細かい部分にはなりますが、渋いアプローチとパターを見ていただければ、と思います。少しでも一流選手になれるようにがんばるので、応援をよろしくお願いします!

※インタビューは2018年6月に行ったものです

時松隆光

●ときまつ・りゅうこう/1993年生まれ。16年の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」、17年の「ブリヂストンオープン」、18年「関西オープンゴルフ選手権競技」で優勝し、ツアー3勝を挙げている。筑紫ヶ丘GC所属。福岡県出身。

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