ドライバーの“飛距離を伸ばすコツ”って?女子プロ3人のスイングを解説!

賞金ランキング上位の女子プロの“効率のいいスイング”は要チェック。今回は石井忍コーチが、女子プロ3人のスイングの見どころを解説する!

最初は、2022年シーズンの年間女王に輝いた山下美夢有プロのスイングを解説!

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ボールをしっかりつかまえるスイング

3 Point ヒザを回してもいいが右足の傾きが地面と垂直にならないように注意
5 Point 頭を右のツマ先と同じ方向に向けることでボールのつかまりがよくなる

まず山下選手のアドレスですが、両肩が上がらない、いい構え方です。両腕を内側に回してしまう(内旋)と両肩が上がってしまいますが、腕を少し外側に回す(外旋)と両肩が下がり、同時に重心も下がるバランスのいいアドレスがとれます(1)。

2のバックスイングは手先だけではなく、骨盤やお腹を同時に動かしています。右腕を伸ばしたまま振り上げることで、上半身の回旋を促す。

3のトップで右ヒザも上半身に引っ張られるように回転し、このスイング写真は斜めから撮っているので右足の角度が変わっているように見えますが、正面から見たらアドレス時と同じ斜度を保っています。アマチュアはトップで右足が地面と垂直になってしまうことが多いですが、ヒザを回転させても傾きをそのままにすることで、スムーズに切り返せるため、クラブが下ろしやすくなります。

5のダウンスイングでは、バイザーのツバの向きが右ツマ先の方向を向いています。そうすることでクラブのシャフトとヘッドが自然とローテーションするので、ボールをしっかりつかまえることができます。パワーがないアマチュアでもマネしやすい、効率のいいスイングです。

山下美夢有
●やました・みゆう/2001年生まれ、大阪府出身。150cm。今季はワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップと宮里藍サントリーレディスなどで優勝。2022年は5勝を挙げて、年間トップ10回数は21と圧倒的な強さを誇り、年間女王に輝いた。加賀電子所属。

次に、資生堂レディスでツアー通算3勝目を挙げた青木瀬令奈プロのスイングを解説!

地面を蹴り上げて地面反力を使う

②腕が地面と平行になるまで上がっても手元とヘッドの位置関係を変えない
⑦右手とクラブが一直線になるように動かすとフィニッシュが大きくなる

青木選手も、リキみのないきれいなアドレスですね(①)。バックスイングは胸板の回転と手元の動きを同調させながらクラブを上げていて、ヘッドだけが先行して動かない。アドレス時の手元とヘッドの関係性を変えずにキープしています(②③)。アドレスの前傾どおりに体を回転することで、クラブをオンプレーンで振り下ろすことができる(④⑤)。青木選手は軌道がいいのも長所ですが、その秘けつは、自分でスイング軌道を作りにいかない「受動的なスイング」だから。これは再現性を上げるコツにもなります。

切り返し以降は、椅子に座りこむようにお尻を下げ(⑤)、その後、しっかり地面を蹴り上げて地面反力を使って打っています。⑥のインパクト直前で右足の蹴り上げがマックスになり、最大の力が手元やシャフト、ヘッド、ボールにまで伝わっていますね。持ち前の筋力以上のパワーを発揮するスイングです。

このスイングはクラブをアウトサイドにループさせてしまい、ダウンスイングの軌道が外から入り、ボールを擦って飛ばない人にマネしてほしいですね。

青木瀬令奈
●あおき・せれな/1993年生まれ、群馬県出身。153cm。今季はワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップで2位、ブリヂストンレディスで3位タイのほか、資生堂レディスではツアー通算3勝目を挙げた。フリー。

最後に、アース・モンダミンカップでツアー初優勝を果たした木村彩子プロのスイングを解説!

手からではなくお腹からスイング

⑤顔をブレーキにしてナチュラルにヘッドを返していく⑦右サイドを上げることでヘッドターンを
ゆるやかにできる

木村選手も体でクラブを上げていきますが、右腕を少し曲げることで、低いトップを作っています(②③)。これはパワーヒッターに多く、方向性を高めるコツになる。ジョン・ラームなどもこのタイプのスイングですね。飛距離よりも、打ちたいところに正確に運びたい意識があるのでしょう。

③のトップでは右に体が倒れず、軸をしっかりキープしています。トップ以降、胸は回っていますが、顔の向きが(バイザーのツバの向き)が変わりません。こうすることで手元に自然とブレーキがかかり、ヘッドがナチュラルにターンする。ボールをきちんとつかまえて打てるので、飛距離も伸びます。

インパクト以降に、右肩が下がらないようにしているのもポイントです(⑥⑦)。むしろ、右サイドが上がっていくようにも見えますが、これもボールをつかまえるための手法。意図的にヘッドを開閉させてボールをつかまえるのもいいですが、手元で操作する量が増えるとミスも多くなります。右肩を上げていく動きは、テニスのフォアハンド打ちのようにヘッドを大きくゆるやかに返すことができる。引っかけすぎてしまう人は、ぜひマネしてみてください。

木村彩子
●きむら・あやこ/1995年生まれ、大阪府出身。155cm。今季はアクサレディスゴルフトーナメントで5位タイに入り、アース・モンダミンカップでツアー初優勝を果たした。フェアウェイキープ率が高い、曲がらないスイングの持ち主。富山常備薬所属。

いかがでしたか? この記事を参考に、パワーがなくても飛ばせるスイングを手に入れましょう。

解説=石井忍
●いしい・しのぶ/1974年生まれ、千葉県出身。日大ゴルフ部を経て98年にプロ転向。その後、コーチとして大西葵など多くのツアープロを指導。現在は千葉市や東京の赤坂、神保町でエースゴルフクラブを主宰し、アマチュアのレッスンも行なっている。

写真=小林司、田中宏幸
※選手の記録は9月10日現在のもの

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